Episode 2.5 ~first impressions~
あの後、見守っていたら、突然変な奴は消えて、
夜のような闇は消え、夕方の空。
ん?夕方?
「あ」
「ん?どうしたのかしら?」
「寮どこにあるか聞き忘れた!!」
「どの寮?」
「男子寮の椿って所だったはず…」
「あー、女子寮の茜の隣の寮ね。」
「私は茜に住むことになるからついてくればわかるわよ。」
「あ、ああ」
つか、なんで時ヶ丘なのに寮の名前は花なんだ。
そうして、なんだかんだ寮の自分の部屋に入り、
(ここまで来るのになぜ確認しなかったと3回か馬鹿にされている。ひどい目にあった。)
「疲れた」
開口一番、これである。
晩御飯を簡単に済まして風呂に入って、
俺はそのまま眠りこける。
その晩は夢を見なかった。
翌日、編入生として紹介された。
4人ほど一緒に。
「…は?」
学校来て、ホームルームの先生に会いに行って、
「…」
そこでほかに3人いることに気がついた。
あまりの人数で絶句した。
1年は5クラスあるのに1個に編入生を入れるなんて。
謎過ぎる。校長はさぞかしご乱心か。
まあ、その辺はさておき、そろそろホームルームといったところだろう。
3人目が俺だそうな。
1人目が入る。
「荒谷 甲輔です。えっと…よろしくお願いします。」
体格の割におとなしいのか、やや萎縮してる感じがする。
この反応には他の生徒たちも驚いて、きょとんとしている。
「はい、そこ驚かないあげてね♪」
チョークを持ったままの笑顔が怖いっす。先生。
「2人目の人、入ってきて。」
荒谷の名前を消し、新しく名前を書く。
「佐藤…マリアです、以後お見知りおきを…」
同い年ぐらいのちょっと小柄でなぜか高貴な感じを醸し出す少女が名乗る。
「彼女は、ある理由で本名を伏せているの。深く詮索しないであげて。」
あ。
彼女には見覚えがある。
俺の父さんの知り合いの娘。
アリストス・佐藤・マリアンナ。
アリストス家の跡継ぎ娘。
佐藤とは彼女の母親の苗字であり、ミドルネームは俺も聞いたことがない。
と、考えているうちに呼ばれている。
それに応じて俺は入る。
「藤道 修哉です、よろしくお願いします。」
みんなあらそうとでも言いたそうなほど無反応。
そんなに無個性か、俺は。
そして4人目。
「陽乃 優里です。」
よろしくもなしかよ。
ただ、凄まじい何かを感じているのか、今度は逆に生徒側が萎縮している。
「ま、まあとりあえずみんな仲良くしてあげてね。」
とりあえず先生がこの場を締めてくれたおかげで難は逃れた、危うくこのまま1時間硬直するところだった。
その後、編入生としてはもはや定番となる質問攻めを受けた。
そうして、この日は、何も起こらず平和に終わった。
Episode 2.5 ~first impressions~ 終




