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第62会 赤と青と白と

なかなか寝付けない朝方。


何か機械をいじっている私。

パソコンではない、何か据え置きの機械だ。

防水対策をしているようにも思う。


「2回目に開かなければ水は入らない。」


それが結果らしい。

1回なら耐えられる。

ただ、2回目に栓を開けるとダメ。


我ながら謎な夢を見ている。


その中に表替えされた古い畳がある。

機械に水が入らないことを知って畳に誰かが乗る。

リーフェではないようだ。


機械の進行先はわずか1メートル。

前に動くだけで終わりという謎の機械だ。


機械の動作スイッチを入れ、機械が動く。

1メートル先まで機械がレールに乗って動き、停止する。

そんなに遅く動いた感じはしないのだが

出てきた子の持っていた懐中時計を見ると……、


5分遅れてずれている。


また実験を繰り返す。

時計を合わせ、機械に乗り、動かす。

出てきた子の持つ懐中時計はやはり5分遅れてずれている。


中では5分経っていた。

そういうことだろう。


中からは再設定できないデジタルな時計を設置してまた別の子が機械に乗る。

1メートル進んで乗っていた子が……。

いや、随分年を取って出てきた。


中を拝見して時計を見ると……、


40年進んでいた。


どう生活をしていたかは分からないのだが、

外と中で時間の進行軸が違う、という機械なのだろう。

リーフェなら何て言うだろうか。


「変な夢見てるわねぇ。」


「おや。」


リーフェだ。


「機械が動くときに次元が変わるんでしょうね。

時間の進行軸が変わるということはそういうことなんでしょうし。」


「ふーむ。」


空間がぐるん、と回って書斎に着いた。

いつもの場所だ。


テーブルには何かボードゲームが乗っている。

自分の手で動かすオセロやチェスとは異なる、

デジタルゲームだ。


「なにこれ。」


「あぁ、進軍ゲーム。」


「赤と青と、白の駒が置いてある……。

我ながら何の夢を見ているんだ。」


「赤は炎魔法を使うのよ。

攻撃嗜好がある。」


「ふんふん。」


「青は氷魔法を使うわ。

防御反応があるわね。」


「どう繋がるんだろう……?」


「白は光魔法を使うの。

通軍礼拝、だったかしらね。」


説明書を片手にリーフェが説明する。


「つうぐんれいはい?」


「チェスで言うキングよ、白は。」


「チェスにしても駒が3種しかないんですが。」


「赤と青が主に戦うそうだわ。

白を落とされたら負け。」


「その白は城にいると。

なかなか洒落が効いている。」


片側に座ろうとすると、服の裾が引っ張られる。


「……あ。」


「もう、いつになったら自発的にしてくれるの?

あなたらしくない。」


「照れるんだよ、なんというか。」


「はい。」


下からずい、と頭を出すリーフェ。

撫でる私。


「じゃ、私は反対に座るわね。」


「対戦型なのね……。」


スイッチを押すと、赤と青の兵士が盤面に投影される。


「ホログラム!?」


「夢なんだから何でもありでしょ。」


「すっげぇな。」


目を落とすとボタンが光っている。

選択ボタン。

あとは光ってないが赤のボタンと青のボタン。

それにスタート、小さい液晶に方向ボタン。

押すボタンが結構ある。


進軍するか守るか、選択肢があるんだろう。


アクティブ制の模様。

常に盤面を見ながらボタンを押して命令を下す。

というものらしい。


液晶に何かが映される。


……陣形まで決めれるの?


とりあえず扇形に広がる陣形を選択してみた。

先頭には青の兵士が囲み、中央を赤の兵士が鎮座する

守りの陣形だ。


スタートボタンが光った。


「お、ぽち。」


盤面からファンファーレが鳴る。


「本格的で笑う。」


「あなたが作ったルールのゲームなんだから。」


「ほんと、夢してるなぁ。」


と、リーフェの陣形は矢じりのように一点突破の陣形だ。

先頭には赤の兵士が武器を構え、

中央には青の兵士が盾を構えている。


……初手からミスをしたような気がする。


ずんずん兵士が進み、ぶつかった。


兵士そのものにレベルがあるわけではないようだ。

拮抗している。


しかし、リーフェの鋭い陣形がこちらの陣形を崩していく。

陣形を戻す方法はないかな?


青のボタンを押す。

陣形を戻そうと青の兵士が中央に寄る。

しかし、リーフェの陣形が強いのか陣形が戻らない。

方向ボタンを押し、兵士を下げようするが

リーフェが何か命令を下したらしい。

中央付近まで切り込んだ兵士はそのままに

リーフェの青の兵士が毒のように広がる。


「マジか!

攻めも撤退もできない!」


そのままリーフェの赤い兵士が城まで到達。

城がボコボコ攻められている。


「はて、白のボタンはなんだろうか。」


押してみると盤面にレーザーが降り注ぐ。

リーフェの陣形が崩れる。


「あっ、やったわね!」


何をやったんだ。

我ながら意味不明である。


リーフェの兵士にキングが攻撃を加えた、ということなのだろう。

逆に言ったらリーフェにもある手段なわけで。


そのまま城は落とされ、負けてしまった。


「あら、勝ったわね。」


「ガチャガチャいじってれば勝てるゲームでもないわけで

結構難しいぞこれ。」


「なんか私の兵士、攻撃が結構避けられていた気がするわ。」


「確かに、青の兵士が結構頑張って……うん?」


液晶に文字が浮かんでいる。


「二閃命中のち一閃回避、って書いてある。

なにか命令を下してたんだね。」


「青の兵士に主に命令を下してたのね。

確かに初めの方はいい感じだったんだけど

途中から急にやりづらくなったわ。」


「なんかこのゲーム顕現したら面白そうだね。」


「有名になればお声がかかるかもよ?」


「有名になりたくない。」


「変な人ねぇ……。」


「そういえばひめはなんか言ってた?」


「可愛い方ですわね、って。」


「でしょでしょー。」


「甘え方がちょっと似ているような……?って。」


「似てるんだ。

本人が言うなら似てるんだろうね。」


「あなた甘えられるの好きなのねー。

まぁ、そんな感じに見えるけど。」


「見えるんかい。」


「だから私もまぁまぁ甘えてるんでしょうが。」


「甘えているのは僕の方では?

紅茶とか珈琲とかなんなのさ。

お茶菓子までつけてもらって。」


「あれは私の趣味。」


「最近見ないけど陽菜と双葉は?」


「あなたが来る時間がねー、夜だからね。」


「おや、今日は朝方だと思うのですが。」


「健康な子がこんな時間に起きてるわけないでしょうが。」


「久しく顔見てないからさ。」


「どこかで時間経過軸を反転させておこうか?」


「会えるならそれで。」


「あなたに負荷がかかるんだけど。」


「それならいいや。」


「良くないんだけどねぇ。」


「そういやひめは?

今日見ないね。」


「お店やってくるって言ってたかしら。」


「漢娘飯店か!

いつか食べに行きたいな。

今日は朝過ぎたね。」


「そうねぇ。」


謎の夢とゲームをしながらその日は目が覚めた。

Copyright(C)2026-大餅 おしるこ

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