第61会 リーフェとひめと
夜だねー。
今日も書斎に……。
おや。
「いらっしゃい。」
「いらっしゃいですの。」
「……ひめがいる。」
「いてもいいと聞きましたけど。」
「言いましたね。」
「リーフェ的には大丈夫そ?」
「妹みたいなものだからねー。」
「私から見たらお姉さんですわね。」
「ひめちゃん、珈琲と紅茶どちらがいい?」
「選べるんですのね。
うーん、紅茶にしようかしら……。」
「はいはーい。」
席に着く。
「……儀式はいらないよね?」
「あ、こら。」
「ひめの前だよ?」
「私の気が済まない。」
「はぁい……。」
席を立ち、リーフェの頭を撫でる。
「うん、お茶菓子出してあげるわね。」
「どもども。」
「……ぽかーん。」
「ほら、ひめが驚いてる。」
「ひめちゃん、私たちってこんな感じ。」
「私も撫でてもらえるんですの?」
「撫でないよ!?」
「けちー。」
「実際にいたらこんな感じだったんだろうね。
君からデレアマって言葉を知ったよ。」
「ふふん、頭を撫でてもよろしくてよ。」
「いや、撫でませんって。」
「なんでー。」
「はい、お紅茶。」
「どもども。」
「りふぇちゃんのお紅茶かー。
顕現出来たら飲みたいと思ってましたのよねー。」
二人そろって紅茶を飲む。
「……む、味がだいぶ薄くなったな。」
「ご実家帰ったのにマリアージュフレールに寄らなかったんでしょう?」
「通販あると思ってたらうまくいかなくてね。」
「しゅららー。」
「誰ですか。」
「こっちではシュライザルって名前だって聞きましたわ。」
「そうですね。」
「あーたーまー。
なーでーてー。」
「あぁもう、わかりましたよ。」
隣に座っていたひめの頭を撫でる。
「ふあーっ。」
「どうした。」
「そういや、これも20云年振りですわ。
あの頃は撫でてくれたのに。」
「彼女がいなかったからね。」
「今は奥さんがいるのに撫でたわね?」
「ひめは認知されてるからね。」
「あぁそういう。
はい、お茶菓子のよもぎ餅。」
「変わったもの食べてますわね……。」
「美味しいよ?」
「ふむ、もぎゅ。
……ん!
美味しいですわ。」
「和って感じするでしょ。」
「一応私、日本人のはずなんですけど。」
「ひめちゃん日本人なの?」
「らしいですわ。」
「シュライザルの趣味から生まれたんだっけ。」
「拠り所ですわね。」
「趣味とか拠り所とか、人をなんだと。」
「あまえんぼ?」
「そりゃひめでしょーが。」
「えーへーへー。」
「ほめてない。」
「そう、そうだったわね。
ひめちゃんとあなたって揃うと漫才になるのよね……。」
「ならない!」
「なってますでしょ?」
「……。」
「よもぎ餅、食べたら?」
「は、はい……。」
「珈琲も出しましょうか?」
「お願います。」
サイフォンで珈琲が淹れられる。
「不思議な道具を使いますのね。」
「知らなかったっけ、サイフォン。」
「動きを見るのは初めてですわね。」
「ひめって純粋だよねぇ。」
「奥さんのそこにも惚れたんでしょ。」
「まぁ。」
「夢ですからねー。
奥さんには干渉できないのが残念ですわ。
しゅららの色んなこと聞きたいのに。」
「夢を通してリーフェと話したことはあるけど。」
「……死にますわよ、あなた。」
「はーい……。」
珈琲が出来上がって。
「ふーふー。」
「小動物みたいだね、ひめ。」
「気にしてますのに。」
「小人症なんだっけ。」
「特にそういうのじゃあないんですけどね。」
「昔どういう設定でひめが生まれたんだっけ。」
「忘れましたの?もう。」
「ごめんって。」
「身長が動物並みに低い人間で、
バランスの悪いお胸があるチャイナドレスのキャラ。
あとデレアマ。
しゅららの趣味だった気がしますわ。」
「……そうだっけ?」
「そういうキャラが居たら面白いよなーって。」
「だよね、そんな感じだった。」
「……。」
「りふぇさん?何か?」
「ひめちゃん、シュライザルの奥さん見たことある?」
「ないですわね。
久しぶりに顕現してやることが多い感じで。」
「時間があったら見るといいわ。
あなたと奥さん、似てるまでも行かなくても
通ずるところはあるわよ。」
「あらー。」
「通ずる?どの辺?」
「デレアマだっけ、そういうとこは完全に一緒。」
「そうかなぁ。」
「ちょっと見てきますわー。」
「行ってらっしゃい。」
「どこに見に行くの?
奥の部屋で僕の記憶漁るんじゃないでしょうね。」
「そうですけど?」
「そ、そうなのか。」
「ではー。」
ひめが行ってしまった。
「リーフェ。」
「なぁに?」
「ひめのこと、どう思う?」
「あなたがつらかったんだろうなって。」
「そうかな。」
「甘える対象が欲しいように見えるわね。
案外あなたは尽くし性なのかもしれないけど。」
「そうだろうか。」
「奥さんも尽くしてくれる人よね。
尽くし性同士ぶつかって面白いと思うわ。
させろさせろって揉めてるんだからね。」
「ケンカは滅多にしないね。」
「そうねぇ。」
「……ひめ、いつ帰ってくるだろうか。」
「すぐすぐじゃないと思うわよ。
所感は聞いておくから。」
「ありがとう。」
珈琲を啜る。
「ねぇ、あなたってさ。」
「はい。」
「あぁいう子、好きなの?」
「外見の話ですか?」
「全部ひっくるめて?」
「昔は、ですね。
そこらにいなさそうでしょう?」
「まぁねぇ。」
「だからって妻とは別です。
妻の方が好きかな?」
「言いきっちゃうあたりあなたのいいところ。」
「事実ですからねぇ。」
「でもあなた、女性の、その、
そういうところ大きい人苦手じゃない?」
「幼女趣味でもないんですがね。」
「それは知ってるけど。」
「リーフェも小っちゃくなっちゃったしさ……。」
「悪かったって言うの。
だってそれならあなたウリエル様に惹かれないでしょう?」
「そうですね。」
「あの方もねー……、まぁまぁ大きいからね。」
「自分の理想から大体反対のものを詰めたんですがね。
ひめって。」
「あら、背の高い人好きなの?」
「そもそもそこを見てませんね。
だったら低いと面白いかなって。」
「ひめちゃんいくつの身長なの?
私とほぼ同じくらいじゃない。」
「118ですね。」
「ひっく!」
「ありえないって突っ込まれて一時期設定を変えてましたね。」
「奥さんにも言われてたわね。
生みの親は神様なんだからしゃんとしてればいいのよ。」
「あはは。
ひめ、娘いますし。」
「ひめちゃん、子供いるの?」
「仮の娘ですがね、いますよ。」
「いるんだー。」
「身長は188ですね。」
「また極端な……。」
「縁あって娘を描いていただいたんですけどね、
すごく好きになりまして。」
「高身長女子ってあなた結構はまるんじゃない?」
「どうでしょう。
スタイルはいいと思いますが、本人は気にするんじゃないですかねー。」
「気にしないとしたら?」
「見てて気持ちのいいものだと思いますよ。
スーツとか着てほしいですね。」
「あー、わかるかも。」
「背が低い人はそれなりの良さがありますし、
高い人はそれなりに良さがあります。
だから背は気にしないですね。」
「なるほどねぇ。」
「どちらかと言えばひめは心の部分では理想です。」
「インチキ臭いしゃべり方?」
「それも癖だとは思いますが、
そうじゃなくて、デレアマの方ですね。」
「奥さん似てるのよねぇ。」
「ぱっと見似てるようには感じないのですが……。」
「んー、説明できないんだけどね。
感覚だから。
でも似てるわ。」
「そうですか。」
よもぎ餅を齧る。
そろりと日が差してくる。
明日来た時には何て言われるんだろう?
ドキドキしながら目を覚ました。
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