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『侵略者(バグ)の動きがコマ送りに見えます 〜絶望の未来から戻った平社員、世界最速の狙撃手として人類を救う〜』  作者: 水原伊織


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第9話:日光東照宮を守れ!大洗海岸の秘密オブジェクト

「全速力で大洗へ向かってくれ! 一刻を争う!」


防衛省の高速ヘリの中、ローターの爆音が激しく響く中、俺は窓外の景色を睨みつけていた。


1周目の記憶が、激しい焦燥感とともに脳裏を駆け巡る。


(超巨大地下掘削種……あいつを今、ここで叩かなければ未来はない)


1周目において、奴は大洗海岸の海上にひっそりと落下した。

攻撃してくる様子もなく、ただ不気味に海に浮かんでいるだけだったため、当時の自衛隊は「害のない謎の飛来オブジェクト」と判断し、攻撃目標から除外してしまったのだ。


だが、それは人類の致命的な誤算だった。


落下から三日後、潜伏期間を終えた超巨大地下掘削種が突如として活動を開始。

地底深くへと潜り込み、関東全域の地盤を内側から網の目のように掘り崩していった。

結果、関東平野は大崩落を引き起こし、数百万の人々が地底の闇へと飲み込まれたのだ。


(それだけじゃない……あの地盤沈下によって、本来なら堅固な地盤と山々に囲まれ、災害に最強とされていた『栃木県・日光東照宮』の地盤まで崩落してしまったんだ)


1周目の防衛隊の生き残りが、絶望の中で語っていた言葉を俺は鮮明に覚えていた。


『もし……もしあの大洗の地下掘削種さえ倒せていれば、日光東照宮の地盤は無傷だったはずだ。あそこなら霊脈と強固な地層を生かして、人類最大の【絶対不可侵拠点】を建造できたというのに……!』


(東照宮に人類の最強拠点を作る――そのためには、今ここで奴を絶対に殺さなきゃならない!)


数時間後。


ヘリは大洗上空へ到達し、俺は大洗海岸を見下ろせる高台へと降り立った。

急ぎ足で海岸が見える絶好のポジションに陣取る。


「……出た」


俺の呟きと同時に、雲を割り、黒く禍々しい超巨大な塊が海へと重重しく落下した。


ドシャァアアンッ!!


凄まじい水柱が上がる。

だが、落下した『超巨大地下掘削種』は、まるでただの巨大な岩塊のように、静かに海の上にぷかぷかと浮かんでいるだけだった。

弱点である発光器官も甲殻の奥に隠れ、一切露出し出していない。


遠くで展開していた自衛隊の沿岸部隊が、困惑したように望遠鏡で観察しているのが見えた。


「な、なんだあれは……? 攻撃してこないぞ?」

「ただの構造物オブジェクトか……? 警戒を維持しつつ、上部の指示を――」


(1周目と同じだ。放置すれば三日後に地獄を見る)


俺はためらうことなく、高台を降りて砂浜へと歩き出した。


背中には、横須賀から持ち出した大型スナイパーライフル。

そして両手と腰には、近接戦用のサブマシンガンを無造作に携行している。

弾帯を身体に巻き付けたその重装備な姿は、まるで昔のミリタリー映画のワンシーン――『ランボー』そのものだった。


「ひ、避難してください! 危険です!」


海岸線で警戒にあたっていた自衛官が、重装備の俺を見て慌てて制止しようと走ってくる。


「大丈夫です。ここからは俺の仕事だ」


俺は手で制し、自衛官をその場に立ち止めさせた。


視線の先、静かに海に浮かぶ超巨大地下掘削種。

そして――俺の『クロノ・ヴィジョン』と未来の記憶は、すでに次の脅威を捉えていた。


(来るぞ。奴の着弾に反応して、地下から『露払い』のお出ましだ)


ズズズズ……と、足元の砂浜が不気味に震え始める。


海岸の砂を突き破り、黒く光る強靭なハサミと甲殻を持った『カニ型超甲殻種』が、数十体一斉に這い出てこようとしていた。

俺はサブマシンガンのセーフティを静かに解除し、冷たい笑みを浮かべた。


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