第18話:激浪の大阪湾と、海を翔けるヤマト
「戦艦ヤマト、突撃ぃッ!!」
大和猛艦長の咆哮が、荒れ狂う大阪湾の風を切り裂いた。
エンジンが咆哮を上げ、巨大な艦体が海面を叩きながら急速に加速していく。
目の前の海面を割って浮上してきたのは、ビルのごとき巨躯を誇る超巨大半魚人――『海将種』。その周りには、百頭を超える半魚人の群れが海を埋め尽くしていた。
だが、猛の瞳に躊躇の色は一切ない。曾祖父から受け継いだ『ヤマト』の誇りを胸に、超巨大な影へと正面から向かっていく。
その勇姿は、衛星生中継を通じて全世界のモニターにリアルタイムで映し出されていた。
『見ろ! 日本の艦艇が逃げずに、あの怪物へ突撃していくぞ!』
『あれが……伝説の“戦艦ヤマト”の魂を継ぐ船か……!』
世界中の人間が息を呑んで画面を見守る中――激しく揺れるヤマトの甲板上に、一機のヘリから一人の男が滑り降りた。
防弾ベストを羽織ったスーツ姿の男、佐々木達也だ。
「でかいな、この船」
海風に髪を煽られながら、佐々木は手慣れた手つきで肩にロケットランチャー(RPG)を構えた。
その背後から、ロケランの筒を抱えた猛が駆け寄ってくる。
「あなたが……噂のA.G.I.S.特別顧問か!」
「ああ。……それより艦長、この船、もっと素早く動かせないか? あの敵、見た目以上に動きが素早い。このままだと囲まれてジリ貧になるぞ」
佐々木が指し示した先では、大阪湾を埋め尽くさんばかりの巨体と百頭以上の群れが、ヤマトの艦体を囲むように水圧弾と爪を叩きつけ始めていた。凄まじい耐久力を誇るヤマトの装甲だが、このまま装甲を削られ続ければ持ちこたえられない。
猛は不敵に唇の端を吊り上げた。
「……ハッ、言なってくれる! この船の機動力を舐めてもらっては困るな。操縦は俺がやる!」
猛は一言そう吐き捨てると、旋回して艦橋の操縦室へと駆け戻っていった。
『顧問! インカムは繋がっているな!? 指示を出せ! 俺がその通りにこの船を走らせてやる!!』
操縦席に座り、舵を握りしめた猛の声が、佐々木のインカムに響く。
「頼むぞ、艦長。敵の側面に回り込む! 右へ急旋回だ!」
『了解! 面舵一杯ッ!!』
次の瞬間、巨大なヤマトの艦体が、巨大船とは思えないほどの恐ろしいスピードと鋭さで滑るように海面を急旋回した。
「よし、いいぞ!」
『―――――』
ドクン!!
脳が加速し、『クロノ・ヴィジョン』が完全発動する。
急旋回するヤマトの上で、波飛沫も、襲いかかる半魚人の水圧弾も、すべてが止まったようなスローモーションの世界に変わる。
(超巨大種の左脇腹……甲殻の継ぎ目が丸見えだ)
佐々木はスローの世界で落ち着いて狙いを定めると、ロケットランチャーの引き金を次々と弾いた。
シュボオオンッ! ズドォンッ!
超絶的な操舵で敵の死角へと滑り込むヤマトの甲板から、正確無比なロケット弾が超巨大種の弱点へと容赦なく叩き込まれていく――!




