どうなんだい…リルネット
──荒ぶる神──
ルシファスの目の前にいる美しい少年は、まさにそう表現できるのではないだろうか?
ルシファスの周りには、濃い霧がかかり、風が吹き、雨がザアザアと降り、雨が強く顔に打ち付ける。
ルシファスの金色の美しい巻き髪も雨でびしょびしょに濡れ、強風で髪の毛は乱れていた。
────雷がピカリと光り、轟いた。
怒りに満ちた濃い紫色の2つの目が、ルシファスを見ている。
ルシファスは今まで感じたことのない恐ろしさを感じ、身体がガクガクと震え出すのてあった。
強い雨と風が身体を引き裂きそうである。
(身体がイタイイタイイタイ恐いわコワイコワイ!
だけど……だけどあぁなんてなんてネイク様は美しいのかしら?怒りに満ち満ちた目で私を見つめているわ……私を見つめている!あぁ、なんてなんて素敵な事なのかしら!!)
恐怖と苦しみの中に恍惚とした喜びが襲ってくる。
雷がルシファスの命を脅かすかのようにビリビリと纏わりついてきた。
身体中熱く痛みが走る。
「お前のような者が、僕の愛しい人と同じ空間にいるだけでも許しがたいことなのにね。
汚い眼差しを僕の愛しいリルネットに向ける事は僕にとって非常に耐え難い事なのだよ。」
ネイクか低い声を出し、首を傾ける。
「次はないと思いたまえ。」
ネイクが言い捨てるようにルシファスに伝えた。
ルシファスは一言も発することができず、ただただ呆然とし、震えることしかできなかった。
やがて霧が晴れてきた。
ネイクが霧の中から出てきて、リルネットを見る……。
な、何ということだ!!……!!
リルネットが金髪金目で山のような筋肉……ほぼ上半身半裸のエイルの後ろにいた。
いや、正確にはリルネットと、何故だかジーサスもエイルに守られるような感じでエイルの後ろにいたのだ。
「キャッ逞しい筋肉!流石ね~美しいわ!ありがとう。急にあっちの方だけ霧が出て変だったものね~。」
「何が起こるかわからない異様な空間だったからな。何もなく霧か晴れて良かった。リルネット様……何もなくて良かったです。」
「ありがとうございます。エイル様」
リルネットは微笑みながらお礼を言った。
エイルもにこりと微笑んだ。上半身のボタンが全開で制服がはだけている。
逞しい筋肉が除く金目金髪のエイルは男らしく格好良かった。
と、ネイクがいつの間にかリルネットの後ろにピタリと立ち、片手はリルネットの腰に、もう片方の手でリルネットの目を塞いだ。
「天気の儀。素晴らしかったよ…。流石は僕のリルネットだ。さぁ…僕たちの席に戻ろう。」
制服のマントがヒラリとリルネットとエイルを遮るように舞い上がった。
──教師のマイリーン・サリバンが教壇を手で叩き、じっとリルネットとネイクを見つめた。
ネイクにチッと舌打ちをしたが、リルネットの方に向き直した。
「リルネットさん…大変素晴らしい天気の儀でした。」
マイリーン先生が、拍手をすると他の生徒も皆つられて、拍手をした……。
金髪、ピンク目のルシファス以外は……。
ルシファスは未だに呆然として、震えていた。
しかし、ピンク色の目だけがギョロギョロとしている。
────な、な、何てナンテナンテなんて凄いのかしら。
圧倒的な力の差を…脅威を見せつけられたわ!!
あぁ、あぁ。私は何て素晴らしい体験をしたのかしら!あの神のような存在が、いち人間の私に全力で怒りを向けたのよ!
あぁっ、まだ震えているの私の体。あの方の怒りによって…。
私は気付いてしまったわ!!
そう、今まではあの方に好かれたいとばかり考えていた。あの方にあの美しい瞳で愛を語われたら……。何て事ばかり考えていたわ!
なんてナンセンス!
どんなものでも、私が原因で生み出された感情というのは尊いものなの!
ネイクに向けられた怒りの感情によって震えながら悦に入っていくルシファスであった……。
そして、ネイクに熱い眼差しを注ぐのであった。
ネイクに注がれる熱い視線をリルネットは見逃さなかった…。
その後、2限程授業があった後、軽く学食で昼食を済ませた。
放課後、学園の図書室に2人で行くことにしたのだ。
同じ制服に身を包み同じ色の紫色のブローチ…。マントが歩く度にヒラリと揺れる。
2人が並んで歩くと、その空間は美しい絵画のようであった。
(フム……。あの虫けらどもの事は兎も角……)
(こうやって、リルネットと同じ制服でこのように過ごす……2人で図書室に行く……放課後デートだな!)
(……良いものだ!)
一つ一つの出来事を噛み締めてリルネットと過ごして生きたい!
なんの感情もなく自分の思いどおりに過ごしていた日々と今の生活は全く別のものであった。
紫目の僕とリルネット
他の人間と比較すると、比較にならない程の膨大な魔力。
それのせいだろうか?
僕もリルネットも………ないのだ。
他の者が持つであろう感情が……。
僕はリルネットに出会い、リルネットに対しては様々な感情が芽生えた。
相変わらず、他の者はどうでも良いのだけれど。
しかし、リルネット…。リルネットは違うね。
どんなに酷い目ににあっても、虐げられても……君は君がどんな目に遭おうとも………、
その者を慈しみ、自分の持つものは全て差し出してしまうのだね……。
そして、微笑んでくれるのだ。
僕にしてくれる事は、僕が相手でなくてもそうなのかい?
リルネット。
僕の可愛くて可愛そうなリルネット。
僕のとても愛しい人。
………続く……
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