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某年1月2日。晴。  作者: あみれん


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9/10

その9

Kに深々と挨拶した男が去った後、Kは何事もなかったように話し始めます。

私達は、私達のバンドのライブを計画していて、その選曲について話をしていたのです。


「やっぱスリーピース・バンドだし、歌えるのがSしかいないからなぁ。曲が限られるよなぁ」


"S"というのは、Kを私に紹介した私の高校時代の友人で、バンドではベースとボーカル担当です。


「Hちゃん、ポリスが演りたいっていってたじゃん。いいと思うよ、スリーピースだし、アイツも好きだし」


もう私はKの言葉に反応できる状態ではありません。

同じ言葉が、頭の中でリピートし出していました。


――副番…ふくばん…フクバン…FUKUBAN…


Kは話し続けています。

私は「うん」とか「ああ」とか言っていましたが、呼吸のように、自律神経によってのみ発せられていたと思います。

そして、Kとの初対面の時に感じたあのイヤ〜な感覚が、体中に広がっていくようでした。


その時です。

別の男が私達のテーブルの前に現れ、


「Kさん、お久しぶりです。また今度ゆっくりお話しさせていただきたいです」


そう言って、深々と頭を下げ、去って行きました。

私の目は、男の革ジャンにリーゼントという後ろ姿を無意識に追っていました。


その後、あっけに取られた私をよそに、知らない男達が次々に現れ、Kに挨拶し、深々と頭を下げて去って行きました。

何人来たのかもう覚えていませんが、まるで”K詣”のようでした。


私は心の中で叫んでいました。


「お前、やっぱ本物の副番じゃねぇかよ。」

「何が、大した話じゃない、だよ!」

「こんなん見たら、ビビるに決まってるだろ!」

「頼む、もう帰らせてくれぇ〜〜!」


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