↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
某年1月2日。晴。  作者: あみれん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
33/35

その33

「ちょっくら失礼!」


Kはそう言うと、手刀を切ってトイレに行きました。


変わってないな……


私は口元からフッと息を漏らして奥さんの方を見ます。

奥さんは無言で私を見ていました。

お互いに言葉を発しません。


コレ、聞き続けてもいいの……?


奥さんの表情はそう言っているように見えます。

私は、軽く首を傾げました。


トイレから戻ったKは「っしょ!」と言って椅子に座ります。

Kは唐揚げを一口つまみ、ウーロンハイでそれを喉に流し込みます。

私は缶ビール、奥さんは缶のレモンサワーを口にします。


Kは、ふぅ~、大きく息を吐き、腕組みをして天井を仰いでいます。

そして、咳払いをして私の顔を見ると話を続けました。


「叔母さんの家を出てから、死に場所を探したんだ」

「高層マンションの非常階段で最上階まで登ってさ、そこから飛び降りようかと思ったけど……」

「下を見たら足がすくんじまってダメだった」


っ!マジで死ぬつもりだったのか?!


「あと、橋の上から飛び降りようとしたけど、高さが十分じゃないから、これじゃぁ死ねないと思ってやめたな」


Kは、ヒャヒャヒャと笑います。


おいっ!

笑いごとじゃないだろ、コレ!


「で、思ったよ。いざとなったらできないもんだな、ってな」


・・・・・・・・・


「しばらくあちこち歩きまわって、夜はマンガ喫茶とかで過ごしたな」

「いくらか金があったから、金が尽きたら本気で死ぬ気になるだろう、そう思った」


「アタシもトイレ!」


奥さんはそう言ってダイニングルームから出ていきました。

私は、冷蔵庫から缶ビールと缶ウーロンハイを取り出し、テーブルの上に置きます。


「フライドポテト食うか?冷凍だけど」

「お、いいね」


私は冷凍庫からフライドポテトの袋を取り出し、皿に盛って電子レンジに入れます。

私は、Kに背を向けて電子レンジの前に立ち、カウントダウンしていくタイマー表示を見つめていました。

Kは黙っています。


「う~寒い……」


奥さんはそう言いながら戻ってきました。

電子レンジがピーピーピーと鳴ります

私はフライドポテトの皿を電子レンジから取り出し、テーブルに置きます。


Kは軽く咳払いをして、話を続けます。


「何日経ったか覚えてないけど、ついに金が尽きてさ、電車に乗ったんだよ」

「Sの葬儀の斎場に行った時に降りた駅、覚えてるだろ?あそこで降りてさ」

「で、ホームの反対側に行ってさ……」


私の体は微電流に刺激されたように、ピクっと少しだけ痙攣しました。


「そんでさ……電車がホームに入って来てさ……」


・・・・・・・・・


「飛び降りたんだよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。