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某年1月2日。晴。  作者: あみれん


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31/35

その31

救急車のサイレンが止むのを待っていたかのように、Kが話しだします。


「太っちゃって、着る服やズボンがなくなっちゃって、もう毎日ジャージ。家でも外でも。近所では、ジャージのあんちゃん、って呼ばれてた」


私はKの太った姿を想像してみようとしました。

20年前までのKは、体を鍛えていて、服の上からでも分かる筋肉質な体が、ある種のオーラを放っていました。

目の前にいるKは、あの頃に比べるとだいぶ線が細く見えます。


「Kちゃんの太った姿、想像できない。写真ないの?その頃の」


「ないよ。あっても見せない」


Kは、奥さんの言葉にそう返すと、ヒャヒャヒャと笑います。


「どれくらい、その叔母さんのところにいたの?」


「一年前まで」


「一年前って……19年間?」


「う〜ん、それくらい…いたかな」


「仕事せずに?」


「そう」


「ずっとブラブラしてたの?」


「そう」


私は少し驚きましたが、こうも思っていました。


まぁ、病気だからな…

辛さは本人にしか分からないだろうし…


「じゃあ、変化のない毎日を19年間も過ごしていたんだ」


「そう……だったんだけどさ」


Kは天井を仰ぎました。

私は無意識に身構えました。


この条件反射のような体の反応……まだ残っていたんだ……


「ある朝起きたら家の中が静かだったんだよ。いつもは、隣の部屋から叔母さんが見ているテレビの音がするんだけどよ」


無意識に私の体に力が入ります。


「でさ、”叔母さん?”って声かけても返事がないんだよ」


私は固唾を飲む代わりに、ビールを一口飲みます。


「叔母さん、どこか出かけたんだと思ってさ、隣の部屋の襖を開けたらさ、布団の上で叔母さん寝てるんだよ」


私はもう一口ビールを飲みます。

私は、ビールを飲みながらKの顔をチラ見します。

そして、Kの目から光るモノが少し溢れているのに気付きましたーー


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