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某年1月2日。晴。  作者: あみれん


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26/34

その26

土曜の夜七時。

私とKは、私の部屋でウーロンハイを飲んでいます。

四畳半の私の部屋で、床に新聞紙を敷き、その上にはスーパーで買った惣菜、焼酎の紙パック、ウーロン茶のペットボトル、アイスバッグ、グラス、そしてKの前に灰皿が無造作に置かれています。

私の部屋には、ソファはもちろん、来客用のテーブルや椅子などないので、床に直座りなのです。


Kの買ってきた惣菜は、焼きそば、唐揚げ、たこ焼き、お好み焼き...という、まるで祭りの屋台で買ってきたようなラインナップです。

Kは魚と野菜を食べないようです。

少なくとも、私はKが魚や野菜を食べる様を見たことがありません。

私のツマミは、寿司のパック詰め、枝豆、ゴマ豆腐です。


何故、私の部屋で飲んでいるかと言いますとーー


会社を辞めたKは、まだ仕事をしておらず、金銭的に余裕がなくなってきたので、住んでいたアパートを引き払って、Kの知り合いの家に居候しているらしいのです。

同居していたKの母親は、次男坊に預けたそうです。

そして、居酒屋で飲む金銭的な余裕もないようです。


「それでオレさ、2号って呼ばれてたんだよ、二週間」


「……なにそれ?」


「留置所の看守にそう呼ばれてた」


「……」


「タバコ、吸っていい?」


「ああ…いいよ」


Kは、いつものショートピースに火をつけ、深く吸い込んだ煙を天井に吐き出します。


「ケンカ、やっちまってな」


「それで捕まって、留置所に、ってこと?」


「ああ」


「何でケンカになったの?」


「うん……」


Kは指に挟んだショートピースの先を灰皿で軽く叩くと、再び深く吸い込みます。


私は立ち上がり、窓を少し開けました。


「外で飲んだ帰りにさ、前からツッパッたガキが二人歩いてきたんだよ。デケェ声出して、エラそうな態度でよ」


「そいつら見てたら、無性にムカムカしてきてさ、オレ、わざとそいつらとぶつかるように近づいて行ったんだよ」


「そいつらがオレを避けたら見逃してやろうと思ってたんだけどな」


Kはたこ焼きを一つ摘み口に放り込むと、数回咀嚼してウーロンハイで流し込みました。


「でまぁ、結局オレは留置所で、アイツらは病院。近所の誰かが警察に通報したんだろうよ」


Kは天井を仰ぎ、ショートピースの煙を吐き出します。

心なしか、疲れているように見えました。


留置所でのこと、居候生活のこと、職探しのこと……

私は何も聞きませんでした。


しばらく、たわいのない話をした後で、Kは帰っていきました。


Sの死、カナさんとの別れ、退職、アパートを出て居候生活……


私は思います。

さすがのKもストレスが溜まっていたに違いない、と。

Kの今後が心配になりますが、私に出来ることは思い付きません。

Kも私には何も期待していないでしょう。


私は開いた窓に手をかけて、暗い夜空を見上げました。

何故かため息が漏れます。

そして、窓をゆっくりと締めました。

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