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某年1月2日。晴。  作者: あみれん


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22/23

その22

現在。

某年1月2日。晴。

私の部屋。


陽はすっかり暮れていました。

部屋の南側の大きな窓ガラスに、テーブルを挟んで座る、私とKの姿が映っています。

私は、窓ガラスのカーテンを引こうと立ち上がります。


「オレさ、生活保護手当もらっているから、働いてないじゃん」


私はカーテンを引き終え、椅子に座ります。


「うん」


「時間が沢山あるからさ、よく出歩くんだよ」


「出歩くって、どこを?」


「あちこちだよ。施設の近くの商店街とか公園とか、いろいろ」


「うん」


「でさ、たまにさ、"昔の場所"に行きたくなってさ、電車に乗って行くんだよ」


「うん」


「お前、覚えてる?"カナちゃん"って」


「ああ...まぁ」


私は少し、ドキンとします。


「たまにあの娘を思い出すんだよ。それでさ、一度、昔務めていた会社に行ってみたんだよ」

「そしたら、もうその会社なくてさ。駐車場になってた」

「ちょっとだけ、期待したんだよね。会えるかな、って。いや、見れるかな、だな」


「カナ"さん"って、その同じ会社の人だったんだよな」


Kが私の顔を見て、ニヤァ~っと笑います。


「お前、覚えてんだ。俺が怒ったこと」


「忘れるわけないじゃん、当時さ、俺が彼女のこと"カナちゃん"って呼んだら、お前突然怒り出してさ」


Kは、ヒャヒャヒャっと笑います。


「『オレは彼女から"カナちゃん"って呼んでって言われてんだ。お前は言われてないだろ!会ったこともねぇんだから。気安く"カナちゃん"って呼ぶな!』ってな」


Kは、ヒャヒャヒャっと笑い続けています。


コイツ——


私は一緒には笑えませんでした。


Kは冷めたお茶を一口飲むと、大きくため息を吐きました。


「オレさ……やっぱ好きだったんだよ、あの娘のこと。あの笑顔、可愛くてさぁ、今でもはっきり覚えている。いい娘だったんだよなぁ」


私は黙っています。


「でも結局さ、オレがあの娘を苦しめちゃったんだよな」


私は、Kから突然「会社を辞めた」と聞かされた日の事を思い出していました。


いつもの週末でした。

いつもの店で、いつもの生ビールとポッピー。

そしていつものチャーハンとスパゲッティ・カルボナーラ。


でも、Kはいつもと違う空気を、少しだけ纏っていたのです――

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