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某年1月2日。晴。  作者: あみれん


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20/23

その20

私の目の前に揚げ出し豆腐を置いた店の奥さんは、小さな声で「お待ちどうさま」と言います。

私は、氷で薄くなってジョッキの底に溜まったホッピーを急いで飲み干して言います。


「すみません、ホッピーのナカ、それと、焼き鳥のカワ、ネギマ、塩でお願いします」


奥さんは小さな声で「はいよ」と言って、伝票に書き込み、私のジョッキを持って厨房に戻って行きます。

私は、目の前に置かれた揚げ出し豆腐に箸を付けます。


うん、美味い――


Kは黙ってショートピースをふかしています。

沈黙が続きます。


「焼き鳥、取りにきましたー」


中年の女性が店に入ってきました。

店の奥さんが、厨房から包みを持って出てきます。

二人はしばらく談笑していました。


私は何も言わず、Kの言葉を待っていました。


「とにかく、アイツは病気になった。オレらに出来ることは......アイツが回復することを待つことだけだ」


私は、揚げ出し豆腐を食べながら頷きます。


「せっかく、ストラト買ったのにな」


私は、揚げ出し豆腐を食べながらまた頷きます。

Kは私の方をチラ見して、ジョッキのホッピーを飲み干します。


「マスター、ウーロンハイ」


Kはそう言って、ショートピースに火を付けました。

私は思います。


今日はタバコのペースがやけに早いぞ......


奥さんが、ホッピーのジョッキ、ウーロンハイと焼き鳥の皿を持ってきました。

私がジョッキにホッピーを注いでいると、Kが言います。


「あのさ…好きな子がいるんだよ」


私はマドラーを持つ手を止めてKを見ました。

普通だったら、自然に、かつ好意的にこんな風に言っていたことでしょう。


「へぇー、そうなんだ、よかったじゃん、どんな子?」


しかし、私が思ったのは


「それ、今言う?」

でもって

「え?また?」でした。


まあ、Kの中ではSの話は今日のところは終了していたのでしょう。

そして、Kからそんな告白を聞いたのは初めてだったので、この"また?"は意味を成していないのですが、

恐らく先日の美人局の一件が私にそう思わせたのだと思います。


私はとりあえず言葉を返します。


「へぇー、そうなんだ、よかったじゃん、どんな人?」


「ああ……でもなぁ、人妻なんだよな」


「え?…」


やっぱ、"また?"でいいんじゃん!!

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