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「…利幸君。私はあなたのことを好いています。……好きなんですよ」
驚きに弾かれて、東雲君の顔を見遣る。
声には冗談と思えないような重みがあった。眼差しもそれに劣らず、意志を感じられる強い眼だ。
これほど彼の強い眼差しを見たことがあっただろうか。
「ふふ。動揺するような事を言われて固まってしまうのも、私はかわいいと思っているのですよ」
ふふふ、と東雲君が嗤うと長い睫毛が伏せられる。細目で笑む彼はそこはかとなく艶かしい色気を醸し出す。同性でもハッとさせられるくらいだ。さすが美男子といわれるだけあった。
東雲君は、美しい。
焦がれ、憧れ、魅力的にも思った彼が、自分を口説いているーーそれも驚くほど情熱的に。
「東雲君が、僕を…? それは、友人としてですか?」
呆れた様に、フゥッと溜息を漏らされる。それもかなり大層に。
「今の私をみてそう思いますか。あまりにも理解力が無さすぎですよ」
顎を上げて僕を見下ろすかのようにして、嫌みったらしく言い放つ。
いつもならばムッとしてしまう物言いも今では、いつもの東雲君だ、と思って、少しホッとしてしまう。
「仕方ないでしょう。だって、君は男で、僕も男なのですよ。戸惑うのが当たり前でしょう」
そう―――そうなのだ。
僕と君は男同士。同性同士だ。常識的に考えて、この告白には嫌悪感を感じるはず。
はず、だった。
それなのに、はずには、ならなかった。
認めたくない。認めたくないけれど、この告白に好ましくさえ受け止めている僕がいた。
「あぁそうでしたね。はい、恋人にしたいという意味で…私はあなたが好きなのです。恋をしています」
あなたの気持ちはどうですか、と東雲君は結んだ。
一般的に考えたら、ここで東雲君を気持ち悪がるところだ。
「東雲君……同性ですよ、僕達は。一般的に考えたら」
普通はとか、常識的にとか、一般的にとか。そんなことばかり。
「一般的にとか、そういうこと聞いてませんよ。ちゃんと話聞いてました?僕が聞いてるのは、あなたの気持ちですよ。」
そんなことばかり考えるのはどうして。自分の気持ちから逃れるように一般論ばかりを探しているのはどうして。
わからない。
ちっとも解せない。




