第七話 記憶喪失
ベットの上で眠っている謎の少女。
そんな彼女が目覚めるまで蒼は椅子に座り、BL漫画を読んでいた。
しばらく時間が経ち、窓から見える空がオレンジ色に染まっていった時、金髪少女の目がゆっくりと開く。
蒼は素早く、そして丁寧にBL漫画を棚にしまい、なにごともなかったように腕を組む。
「ここ…は?」
「目が覚めたようね」
「あな……たは?」
イエローダイヤモンドの如く金色の瞳が蒼を見つめた。
少女の問いに、蒼は氷の如く冷たい声で答える。
「私は凍冷蒼。ハンターよ」
「ハン……ター?」
「そう……まさか知らないの?」
「うん」
コクリと頷いた金髪少女を見て、蒼は怪訝な顔を浮かべる。
(ハンターを知らない?この世界で生きているなら知ってて当然のことなのに?)
蒼が顎に手を当てて考えていると、グゥ~という音が聞こえた。
音の発生源は金髪少女の腹からだ。
金髪少女は顔を赤く染め、恥ずかしそうに目を左右に動かす。
「……食事を持ってくるわ」
椅子から立ち上がった蒼はフードプリンターでサンドイッチを作り、冷蔵庫から水が入ったペットボトルを取り出す。
「これを飲んで食べなさい」
「あり……がとう」
少したどたどしい声で感謝の言葉を告げた金髪少女は、蒼からサンドイッチと水を受け取る。
ベットから上半身を起こした少女は小さな口でサンドイッチをパクリと齧った。
そして、
「おえ」
顔を歪めた。
まずいという気持ちが少女の声に宿っていた。
「栄養を重視したものよ。まずくても食べなさい」
「……わかった」
蒼の言葉を素直に従い、金髪少女は頑張って美味しくないサンドイッチを食べ続けた。
そして最後まで残さず食べた少女に、蒼は真剣な表情で問う。
「単刀直入に聞くわ。あなたは何者?」
「えっと……私は……」
金髪少女は口を開き、そして……ゆっくりと閉じる。
黄金の瞳と髪を持つ彼女は右手で頭を押さえながら、静かな声で呟く。
「私は……誰?」




