第六話 謎の少女
「どうしようかしら……この子」
凍冷蒼は困っていた。
大型トラックに乗っていた彼女はハンドルに両手を置き、指でトントンと叩く。
運転席に座っていた蒼は助手席にチラッと視線を向ける。
「スー…スー…」
蒼の氷のような水色の瞳に映るのは、黄金の髪を伸ばした少女。
目を閉じ、吐息を漏らす謎の美少女は蒼の戦闘用コートを羽織っていた。
流石に裸のままでいさせるのはダメだと思い、蒼が着させたのだ。
「とりあえず車に乗せたけど……これからどうすれば」
蒼は考えた。
モンスターがいる危険地帯にいた金色の謎の少女をどうするか。
ハンドルを指で叩く速度を上げ、蒼は目を細める。
トントントントン!と叩く音だけが運転席で響く。
一分ぐらい経ったとき、蒼の指が止まる。
「しょうがない……とりあえず連れて帰ろう」
蒼は車を運転し、家に向かった。
モンスターがいる道路を走りながら、蒼は片手でキューブ・デバイスを操作し、電話を繋げる。
『はい。こちらハンター協会です』
「こちら凍冷蒼。八王子市の調査を終えたわ。さっき写真を送ったから分かっていると思うけど、あえて言うわ」
蒼は真剣な表情で告げる。
「新種の正体は災害モンスター《竜》で間違いないわ」
キューブ・デバイスから受付嬢の息が詰まる音が聞こえた。
『そう……ですか。上に急いで報告します』
「ええ。お願い」
『それ以外になにかありましたか?』
蒼は一瞬だけ口を閉じ、隣にいる少女に視線を向ける。
「……いえ、それ以外はなにもなかったわ」
『わかりました。調査お疲れさまでした』
電話が切れた後、蒼はなにも喋らず運転を続けた。
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家である大きな倉庫にやってきた蒼は、金髪少女をベットまで運ぶ。
今までと息を漏らしながら寝ている少女の身体を、蒼はあちこちを確認する。
「嘘……怪我一つない。それどころか……バーサーカー・ウイルスに感染していない」
蒼は信じられないという顔で、謎の少女を見つめる。
強力なモンスターが生息し、殺し合いをしている八王子市で気絶していたというのに少女は傷がまったくなかったのだ。
それどころかバーサーカー・ウイルスによる感染の症状もない。
普通なら死んでいるのに。
ガスマスクをつけていないのに、そんなことがありえるのか?
答えは否。
「ありえない」
蒼の口からそんな言葉が自然と零れた。




