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氷光恋愛  作者: グレンリアスター
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第四十八話 激闘

「今、助けるわ。アリス」


 散弾銃と短機関銃を構えながら蒼は白い床を強く蹴り、走り出す。

 二つの銃から銃弾を放ち、アリスを搭載した巨大ロボットに攻撃を仕掛ける。

 しかし装甲が硬すぎるあまり、ヒビ一つ入らない。


『敵を捕捉。魔法による排除を実行』


 ロボットから機械的音声が響いた。

 直後、何もない空中に四本の光の剣が出現。

 四本の光剣はまるで鳥のように勝手に飛び、蒼に襲い掛かる。

 迫りくる光剣たち。

 それを蒼は散弾銃と短機関銃で狙い撃つ。

 銃声が鳴り響き、無数の銃弾によって二本の光剣は甲高い音を立てて砕け散る。

 しかし残り二本は無傷。

 二本の光剣は蒼が持っていた散弾銃と短機関銃を細かく切り刻む。


「想定内よ」


 ローブの内側から二本のナイフを取り出し、蒼は素早く振るう。

 鋭い斬撃は二本の光剣を破壊。

 蒼は忍者の如き動きで床の上を走り、ロボットに突撃する。


「シッ!」


 身体を回転させ、振るわれた斬撃。

 それをロボットは光の盾を生み出し、防ぐ。

 火花が飛び散り、金属音が鳴り響く。


「これも想定内。次よ」


 二本のナイフを投げ捨てた蒼は、懐からいくつもの発煙弾を取り出す。

 そしてロボットに目掛けて投擲。

 発煙弾から大量の煙が発生し、ロボットの視界を塞ぐ。

 大量の煙に満たされた広い部屋。

 その中を走りながら、蒼は衣の下から取り出したワイヤーをロボットの腕や脚に巻き付かせる。

 限界まで巻き付いたワイヤーに、蒼はある装置と合体させた。

 そして装置のボタンをカチッと押した直後、ワイヤーは爆発。

 ドゴン!!という轟音が鳴り響き、白い煙が消し飛び、黒い煙が舞い上がる。

 やがて煙が晴れていき、ロボットは姿を現す。


『魔法実行。魔法実行』


 ロボットは無傷。

 カメラを怪しく光らせたロボットは、無数の光の剣を生み出す。

 しかし蒼は慌てない。

 彼女は素早くローブの内側からスーツケースのようなものを取り出す。

 カチリとボタンを押すと、スーツケースはガチャガチャと音を立てて変形を開始。

 変形が終わった時には、スーツケースは対物ライフルへと姿を変えていた。


『攻撃開始』


 無数の剣が一斉に蒼に襲い掛かる。

 雨の如く降り注ぐ光剣。

 しかし光剣たちを蒼は紙一重で躱す。

 正確に敵の攻撃を回避しながら、彼女は対物ライフルを構える。

 そして引き金を引き、特殊な弾丸を放つ。

 放たれた弾丸は出現した光の盾を貫き、ロボットの脚の関節部分に直撃。

 蒼はさらに弾丸を撃ち込み、六本の腕の関節部分を攻撃する。

 だがわずかに傷がついた程度。

 それを見て舌打ちした蒼は、対物ライフルをガチャガチャと変形させる。

 変形させたのは、大きな戦斧。


「これならどうかしら」


 大戦斧で次々と光の剣を破壊する蒼。

 全ての光剣を砕き斬った彼女はロボットに突撃し、大戦斧を力強く振るう。

 あらゆるものを壊す重い一撃。

 それをロボットは六本の腕で受け止め、防ぐ。

 ガキン!という金属音が鳴り響く。


『排除。排除』


 ロボットは六つの拳で怒涛の連打を放つ。

 襲い掛かる拳の嵐を大戦斧で迎え撃つ蒼。

 機械の拳と斧が激しくぶつかり合い、火花が飛び散る。

 拮抗する攻撃の嵐。

 しかしそれは長く続かなかった。


 バキンッ!!


 音を立てて砕け散る大戦斧。

 武器を失った蒼は、背中に背負っていた『それ』を盾のように構える。

 布に覆われている『それ』をロボットは六つの拳で殴り、蒼を吹き飛ばす。

 重い衝撃に襲われ、背中から壁に激突する蒼。

 彼女の身体が壁に深くめり込む。


『終わりですね』


 天井から男の声が響いた。

 直後、ロボットは無数の光の剣を生み出し、一斉に放つ。

 超高速に飛ぶ光剣の雨は、蒼がめり込んでいる場所に容赦なく突き刺さる。


『排除完了』


 男とロボットは一人の少女を倒したと認識した。

 しかし、


「どこがよ。よく見なさいよ」


 少女の声が聞こえた。

 振り返ったロボットのカメラに映るのは、平然と立っている蒼。


『バカな。どうやってあそこから』


 天井から響くのは男の戸惑いの声。

 彼も予想外だったようだ。


「特別なことはしていないわ。ただ……避けただけ」


 そう言ってローブを脱ぎ捨てる蒼。

 同時に彼女は手に持っていた『それ』を覆う布を外す。

 露になったのは、白い機械鎧と白い大剣。

 鎧と大剣には水色のラインが走っており、まるで回路のよう。

 特に膝から指先まで覆う白と水色の機械の長靴は、まるでシンデレラのガラスの靴の如く美しい。


『その鎧と剣……まさか!《竜》で作られた!!』

「ええ。正解よ。友人に頼んで作ってもらったものよ」


 大剣を構え、膝を曲げる蒼。

 彼女は愛する人を救うために、化物となる。

 瞳を強く光らせ、シーと静かに息を吐く。


「行くわよ」


 刹那、青き光が輝く。

 青き軌跡を描きながら天井や壁、床の上を蒼は縦横無尽に走る。

 音速を超えた速度で動き回る氷の女王。

 彼女はロボットに向かって跳び、身体を回転させ、強烈な蹴りを放つ。

 冷気を纏った蹴撃はロボットの三本の腕を一瞬で凍らせ、破壊。

 破砕音が鳴り響き、部品が飛び散る。


『今すぐ奴を殺せ!』


 驚きと焦りに満ちた男の声が天井から響く。

 ロボットは主の命令に従い、無数の光の剣を空中に生成。

 そして飛ばそうとした直前、蒼は駆け出す。


「遅いわよ」


 超高速に動き回りながら、蒼は大剣を振るう。

 白く輝く大きな刃で無数の剣を斬る!斬る!!斬る!!!

 全ての光剣を細切れにした蒼は、ロボットに突撃。

 閃光の如き速さで走る彼女は大剣を振るう。

 重い斬撃は、ロボットの三本の腕を容赦なく斬り飛ばす。


『敵は脅威。最大出力で排除』


 追い詰められたロボットは、巨大な光の剣を生み出す。

 あらゆるものを殲滅する絶対の光剣。

 それが蒼に向かって飛ぶ。

 回避も防御も不可能な一撃。

 しかし蒼は恐れない。

 大剣を構え、彼女は瞳を強く光らせる。


「アリス。私はあなたに伝えたいことがあるの」


 白き大剣に走っていた水色のラインが眩しく輝き、強い冷気が発生する。


「あなたのことを……愛してる」


 大剣の柄を握り締める力を蒼は強くする。


「いっぱい抱き締めたい。キスがしたい。デートしたい。一緒に食事をして、一緒に寝たい」


 床が陥没するほど蒼は力強く踏み込み、大剣を振り下ろす。


「だから……あなたを不幸にするものを全て!凍り殺す!!」


 放たれた絶対凍結の斬撃。

 その一撃は巨大な光の剣を一瞬で凍らせ、切断する。

 機械人形の身体も完全に凍結。

 天井や壁、床なども凍り、広い部屋の中を冷気が支配する。

 凍った世界に立つのは、氷の女王だけだった。

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