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氷光恋愛  作者: グレンリアスター
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第四十七話 機械人形

 バイクでドアを破壊し、部屋の中を見渡す蒼。

 そこにいたのは、白衣を着た若い男女のみ。

 彼らは怯えた顔で身体を震わせていた。


(ここにもいない)


 あちこちの部屋に侵入した蒼だが、アリスを見つけられていなかった。

 苛立ちを感じながら蒼はバイクから降り、一人の女に近付く。

 そして蒼は拳銃を構え、銃口を女の額に押し当てる。

 科学者らしき女は涙目を浮かべ、ズボンを尿で濡らす。


「アリスは……聖女はどこにいるのかしら?」

「せ……聖女ですか?」

「頭をぶち抜かれたくなければ、三秒で答えなさい」


 蒼の冷徹な瞳に睨まれた女科学者は慌てて答える。


「通路の奥にある大きな扉の先です!そこで我々の上司が聖女を使った実験をしています!」

「実験?」

「え……えっと……聖女を自由自在に操れる装置の開発だとか」

 

 その言葉を聞いた蒼は嫌な予感を感じ、バイクに乗って通路を走る。

 一直線に高速で走っていた蒼は、大きな扉を見つけた。


「あそこね」


 ローブの内側からバズーカを取り出し、ミサイルを発射。

 一直線に飛んだミサイルは扉を爆発させ、破壊する。

 舞い上がる黒い煙の中を突き進む蒼。

 巨大な部屋に辿り着いた彼女は大型バイクを横に滑らせ、ブレーキする。

 キュルルルルルルルルルル!とタイヤが擦れる音が鳴り響き、床に黒い跡が残った。


「ここは……」


 辿り着いた部屋はとても広く、白く、そして天井が高い。

 埃一つもなく、ただ天井のライトの光によって照らされているだけの部屋。

 バイクから降りた蒼が周りを見渡していると、


『やぁやぁ、凍冷蒼くん。まさか乗り込んでくるとは思わなかったよ』


 天井から男の声が響き渡る。

 その声を聞いた蒼の頭に、眼鏡を掛けた白衣の男の姿が思い浮かぶ。

 彼女は悪魔すら恐れる冷酷な目で天井を睨む。

 口から漏れるのは、怒気を宿した静かな声。


「アリスを……返してもらうわ」


 ポキポキと指の関節を鳴らす蒼を、男は嘲笑う。


『返すわけないでしょう。彼女はこの世界を救う聖女様です』

「黙れ。アリスは……私のものよ」

『アハハハハハ。そんなに会いたいなら、会わせましょう』


 次の瞬間、天井の一部がスライドし、そこから白い大きななにかが落ちてきた。

 その白い何かの正体は、装甲に覆われた機械仕掛けの人形。

 四本の足に六本の腕。

 三つのカメラが搭載された頭。

 そして胸のあたりに埋め込まれたガラスの棺。

 まさに機械の怪物。

 その怪物を見て、蒼は一瞬だけ目を見開く。


「やってくれたわね」


 歯を食いしばり、眉間に皺を寄せる蒼はロボットを睨みつける。

 ロボットに埋め込まれたガラスの棺。

 その中で裸の金髪の少女—――アリスが眠っていた。

 悲しそうな顔で目を瞑っている聖女。

 それを見て蒼は頭に血が上りながらも、冷静さを失わせないようにしていた。


『聖女制御機械装置『奇跡』。聖女様の魔法を完全完璧に扱い、全てのモンスターを殲滅するロボット……どうです?素晴らしいでしょ?』


 楽しそうに喋る男の声。

 蒼はその声を聞いて、心から思う。


「あなたを今すぐに凍らせて殺してやりたいわ」


 絶対零度の殺意と怒りの声が蒼の口から漏れた。


「アリスを道具のように扱うあなたは絶対に許さない」


 蒼は羽織っていたローブを広げる。

 ローブの懐には銃や剣、手榴弾などの武器や道具が収納されていた。

 彼女は衣の下から短機関銃と散弾銃を取り出し、構える。


「今、助けるわ。アリス」


 機械人形の怪物に囚われた光の聖女。

 彼女を救うために、立ち向かう氷の女王。

 凍冷蒼の戦いの火蓋が切られた。

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