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氷光恋愛  作者: グレンリアスター
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第四十五話 門破壊

 黒い雲に覆われた空の下。

 研究施設の巨大な門の前で警備をしている二人の戦闘兵。

 男の戦闘兵は銃を構えたまま、ハァとため息を吐く。


「あ~……彼女が欲しい~……」

「おい、またかよ。何度目だよ、それ」

「だってよ~……ぜんぜん出会いがないんだぜ?休みの日、頑張ってナンパしているのに」

「あのな~……」


 女の戦闘兵は呆れた声を漏らし、肩をガクリと落とす。


「ナンパ以外にないのか。休みの過ごし方。ほとんどそればっかじゃねぇか」

「うるせぇよ。世界が滅ぶ前に恋人の一人は作りたいんだよ」

「まぁ……気持ちは理解できる。だけど聖女様が帰ってきたおかげでこの世界は救われる。だから心配するな」

「聖女様ね~……上の人はどれだけ外道になれるんだか」


 肩をすくめる男の戦闘兵に、女の戦闘兵は「おい、口を慎め」と注意する。


「お前が言いたいのはわかる。だがあの子に犠牲になってもらう必要がある。……私の旦那と娘のためにも……」


 女の戦闘兵の真剣な声を聞いて、男の戦闘兵は黙り込む。


「たった一人の犠牲で世界が救われる。なら私はそれを望むし、そのためなら私は手を貸す。仕事だからというのもあるが、私は旦那と娘の未来のためにも今はこうして働いている。お前もそうだろう?」


 女戦闘兵の問いに、男の戦闘兵は「そうだな」と返事をして頭を掻く。


「内容はクソだけど給料がよくて、休みもあるから今はこういう仕事をやっている……っていうのもある。だけど……一番の理由は、両親が生きていけるようにするためだ。俺をここまで育ててくれたお袋と親父には感謝しかねぇ」

「……ここにいる連中は全員がそうだ。だから子供を兵器にする政府で働いている。この世界を平和で安全な場所にするんだ」

「へいへい。俺も真面目にやりますよ~……ん?」


 なにかに気が付いた男の戦闘兵は、一瞬だけ動きを止める。

 だがすぐにヘルメットの中で目を鋭くし、彼は素早く銃を構えた。


「どうした?」

「敵だ」

「!」


 女戦闘兵も銃を構える。

 二人の視界に映るのは、大型バイクに乗って猛スピードで突撃してくる少女。

 水色の髪を揺らしながら走るその少女は、片手でなにかを構えていた。

 そのなにかは大砲のような大きな筒。

 バズーカだ。


「冗談だろ!?」

「撃て撃て!」


 二人の戦闘兵は引き金を引き、銃弾を連射。

 ドドドドドド!という連続的な銃声が鳴り響く。

 しかし彼らが放った弾は、大型バイクを覆う装甲によって弾かれる。


「邪魔よ」


 低く響く声で呟いた少女は、バズーカから大きなミサイルを放つ。

 高速に飛ぶミサイルは、巨大な門に直撃。

 大きな爆発音が鳴り響き、門は崩壊する。


「やりやがった!」

「クソ!」


 破壊された門を見て、驚きを隠せない二人の戦闘兵。

 すぐに彼らは敵を睨み、銃の引き金を引こうとする。

 だがそれよりも早く、少女はバイクを回転させた。

 コマのように回転するバイクは、二人の戦闘兵を吹き飛ばす。


「ちっ…ちくしょう」

「やられた」


 地面に倒れた二人の戦闘兵は意識を失う。

 気絶する直前、彼らの目に焼き付いた。

 バイクに乗り、堂々と壊れた門から研究施設に侵入する少女の姿が。

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