第四十三話 新装備製作
闇市にある武器屋。
そこで働いていた少女—――ミクは化学合成コーヒーを飲んで、休んでいた。
「ふぅ~☆今日はあと少しで終わりだね~☆」
ミクがコーヒーをズズズと飲んでいた時、扉がバン!と勢いよく開く。
驚きのあまり口からコーヒーを吹き出したミクは、ゲホゲホと咳をする。
武器屋に入ってきたのは、険しい顔をした蒼だった。
「あ……蒼?どうしたの、そんな怖い顔をして☆」
「ミク……ある素材で武器と鎧を作ってほしいの。大急ぎで」
「え?なに、どうしたの?ある素材ってなに?」
「《竜》よ」
「へぇ~……《竜》か☆……は?」
一瞬だけ思考が停止し、ミクは口をポカ~ンと開ける。
「……ごめん☆今、なんて言ったの?」
「《竜》の素材で武器と鎧を大急ぎで作ってほしいの。素材はトラックのコンテナに載っているわ」
「ちょ、ちょっ……待って!まさか倒したの?というか大急ぎって言われても……」
なにがなんだかわからず困惑の表情を浮かべるミク。
蒼はコートのポケットからキューブ・デバイスを取り出し、指で操作。
キューブ・デバイスから数字が空中に投影される。
その数字を見て、ミクは首を傾げた。
「九千万円」
「え?」
「私がハンターの仕事でコツコツ貯めた全財産。これで……《竜》の素材で装備を作ってほしい」
まさかの莫大な報酬金額。
そして眉間に皺を寄せ、瞳を強く光らせる蒼。
彼女の覚悟と本気さを感じ取ったミクは言葉を失う。
「……いったい。なにがあったの?」
「アリスが誘拐された」
「!あの子が!?」
「誘拐した組織はあまりにも大きいの。そいつらを潰してアリスを救うには、化物クラスの装備が必要なの」
苦悶の表情を浮かべる蒼は、血が出るほど唇を強く噛む。
初めて見せる彼女の表情に、ミクは心から驚く。
(氷の女王の彼女がこんな表情をするなんて……それほどまでにアリスって子が大切なんだ)
孤独で生きると思っていた蒼に、大切な人ができた。
それは驚くことであると同時に、友人としてミクはどこかで嬉しく思う。
「お願い。私に……力を貸して」
深く頭を下げる蒼。
友人からの頼み。
それを断ることは、ミクには無理だった。
「しょうがないな~☆作ってあげるよ、最高の装備を☆」
友を助けるために、ミクは本気を出す。
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数日後、ミクが作った武装を蒼は装備し、黒いローブを羽織る。
「行くんだね☆」
「ええ」
「場所はわかっているの?」
「情報屋に行って、モンスター対策組織の研究所がどこにあるのか……すでに聞いてきたわ。そこにアリスがいる」
「そっか」
蒼はミクに頭を下げ、「ありがとう」と感謝の言葉を告げる。
「あなたのおかげで……アリスを助けられるわ」
「……そう言うのは、あの子と一緒に帰ってきてから言ってね☆」
「そうね……そうだったわ」
ミクは笑顔を浮かべ、手を振る。
「いってらっしゃい☆」
「ええ……行ってきます」
友に見送られながら、蒼は向かう。
愛する人を救うために。




