第三話 孤独
東京都、池袋のとある大きな倉庫。
その近くにある駐車場に大型トラックを停めた蒼は、車から出る。
荷物を持って倉庫の中に入ると天井のライトが自動で光り、蒼を照らす。
倉庫の中にはいくつもの道具があった。
槍、斧、銃や刀などの武器。
ランニングマシンやダンベルなどの運動器具。
そして料理など作り出すフードプリンターやベットなどの生活道具。
あらゆるものが揃っており、綺麗に整頓されていた。
「……ただいま」
誰もいない家にそう言った蒼は荷物を近くの棚の上に置き、鎧の上に着ていた戦闘用コートを脱ぐ。
そして彼女は首の部分にあるボタンを指でカチリと押した。
すると機械仕掛けの鎧がガチャガチャと音を立てて、変形を始める。
変形が終わった頃には、鎧はスーツケースへとなっていた。
スーツケースとコートも棚の上に置き、蒼は家の中を歩く。
スポーツブラとスポーツパンツ姿の彼女の身体は細く、しかし戦士の如く鍛えられた筋肉質。
胸は小さく、あちこちの身体に古い傷跡があった。
「フゥ―……」
ソファーに座った蒼は口から息を静かに吐き、目を閉じる。
そして十五分ぐらい何もせず、ただボーとした。
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十五分後、蒼はいつもの日課を行う。
腕立てをし、腹筋をし、ダンベルを持ち上げ、スクワットする。
「フゥ…フゥ……」
汗を流しながら、限界まで筋トレをする彼女は無表情だった。
そしてランニングマシンで限界ギリギリの速さで、蒼は一時間以上も走る。
「ハァ…ハァ……」
口から息を漏らし、汗を流す彼女は「キツイ」だとか「もう無理」だとかの弱音を吐かない。
ただトレーニングを淡々とこなした。
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トレーニングを終えた後、蒼はフードプリンター器を起動させ、冷蔵庫から浄化された水が入っているペットボトルを取り出す。
タオルで汗を拭き、蒼がゴクゴクと水を飲んでいる間、フードプリンター器は糸のようなもので料理を作っていく。
そして完成したのは、カクカクとしたサンドイッチ。
白いパンの間に挟まっているのは、カクカクとした緑と赤の板のようなもの。
味よりも栄養に重視した化学合成料理を手に取った蒼は、がぶりと齧る。
少ししょっぱいだけのサンドイッチを咀嚼し、呑み込んだ蒼。
美味しくないサンドイッチを彼女は食べ続けた。
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食事を食べ終えた後、蒼は風呂場でシャワーを浴びた。
ちょうどいい熱さのお湯で汗を流す少女は、水色の目を細める。
『蒼、おやすみ』
『おはよう、蒼』
『蒼ちゃん、またね』
父と母、そしてかつての友人の顔が頭の中に突如現れた。
懐かしき記憶を思い出した蒼はガリッと歯噛みし、壁を強く殴る。
ドン!という打撃音がシャワー室で鳴り響く。
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シャワー室から出た蒼は新しい下着を着け、ベットの上に仰向けに倒れた。
彼女は近くにあった棚から一冊の本を取り出す。
本に描かれているのは、イケメン男子二人が裸で抱き合っているイラスト。
いわゆるBL漫画だ。
「……」
蒼はBL漫画を眠くなるまで読み続けた。
ページを捲る音だけが倉庫の中で響く。
そして読み終えた後、蒼は漫画を棚に戻し、リモコンで天井のライトを消す。
毛布を被った彼女は静かに目を閉じる。
ハンターとして仕事をし、報酬を貰い、武器屋で装備を整え、家に帰り、身体を鍛え、飯を食い、シャワーを浴びて、寝る。
そんな日々が毎日続いていた。
氷の女王のような少女は、一人でただ生きているだけだった。




