第三十三話 看病
家である巨大な倉庫に帰ってきた蒼はアリスを背負い、ベットに運ぶ。
そしてアリスのガスマスクを外し、戦闘服を脱がせ、パジャマに着替えさせた。
「ちょっと待ってて、アリス」
すぐに蒼は棚から薬を取り出す。
包帯や消毒液が入ったプラスチックの容器などが床に落ちるが、彼女は無視する。
「アリス……これを飲んで。少しはマシになると思うわ」
苦しそうに息をするアリスに、蒼は優しく瓶に入っている液体を飲ませる。
少し慌てた動きでプラスチック製の桶に水道の水を入れ、蒼はタオルを用意していた。
そんな時だ。
できることをしていた彼女を邪魔するかのように、着信音が鳴り響く。
「なによ、こんな時に!」
苛立った様子でコートのポケットからキューブ・デバイスを取り出した蒼は、電話をする。
『こちらハンター協会。凍冷蒼ハンター、《竜》の現在状況を―――』
「今、忙しいの。電話してこないで」
『そういうわけには。多くの人の命が―――』
「《竜》は死んだわ」
『……は?』
「だから《竜》は死んだのよ。詳しい話は後でしましょう」
『え!?それはどういう!』
受付嬢の言葉を待たず通話を切った蒼は、水に濡らしたタオルを絞る。
そして絞ったタオルをアリスの額にのせた。
「アリス……」
ハァハァと荒い息を漏らすアリスを、蒼はただ見ていることしかできなかった。
本当に大丈夫なのか?
このままじゃあ死ぬんじゃないか?
そんな不安が蒼の中で溢れ出そうだった。
(神様……)
蒼は自分の両手でアリスの手をギュッと包み込み、祈った。
それから蒼は何度も水でタオルを濡らし、アリスの額にのせる。
しかしアリスは目覚めない。
眉を八の字にする蒼は、アリスの額に手を当てた。
「ダメ……熱が引かない」
五時間以上看病しているが、アリスの体調はよくならなかった。
(闇医者のところに連れていくべきかしら。高いけど、腕が確かなところを知っているし)
蒼が腕のいい闇医者のところに、アリスを連れて行こうか考えた。
その時、アリスの瞳がゆっくりと開く。
「アリス!」
「蒼……ごめんね。心配……かけちゃったわね」
微笑みを浮かべるアリスを見て、蒼はホッと安堵する。
「アリス……本当によかった」




