第二十一話 怪我
迫りくる蛙型モンスターの攻撃。
アリスは目を瞑った。
その時、
「アリス!」
蒼が飛び出し、アリスを抱き締めた。
蛙型モンスターの鋭い爪が容赦なく蒼の背中を切り裂く。
赤い血が宙に飛び散り、彼女の顔が歪む。
「蒼!」
「問題ないわ」
蒼はコートの裏に隠していた拳銃を取り出し、銃口を蛙に向ける。
冷たい目で彼女はモンスターを睨み、何の迷いもなく引き金を引いた。
直後、銃声が鳴り響き、拳銃から放たれた弾丸が蛙型モンスターの頭を撃ち抜く。
モンスターは悲鳴を上げないまま、ゆっくりと地面に倒れる。
「蒼!私の……私のせいで怪我を!」
涙を流すアリス。
そんな彼女に「死ななかった。それで十分よ」と言って落ち着かせる蒼は、右太腿を覆う装甲を軽く叩いた。
すると装甲がパカリと開き、注射器が飛び出す。
蒼は注射器を握り締め、首に突き刺した。
注射器に入っていた緑色の液体が蒼の身体に流れ込むと、彼女の背中の傷が一瞬で塞ぐ。
「傷が一瞬で!?」
「回復促進剤よ。こういう時のために用意しておいたものよ」
蒼は慣れない手つきでアリスの頭を撫でた。
「泣いてる暇があるなら次は避けなさい」
不器用に撫でられたアリスは俯く。
蒼に怪我をさせたことへの悲しみと罪悪感。
それらが襲い掛かり、アリスは泣くことしかできなかった。
「私は……私は……」
嗚咽を漏らし、涙を手で拭うアリス。
けれど手で拭っても拭っても、彼女の涙が止まることはなかった。
「……今日は帰りましょう」




