第十八話 不安
食事を食べ終えた蒼とアリスは食器を片付け、シャワーを浴びる。
温かいお湯を浴びていた蒼は、ピクピクと眉を痙攣させた。
「……で、なんでアリスも一緒に入っているのよ?」
「え~、いいじゃん。一緒に入ろうよ」
「ちょっと、くっつかないで」
アリスは笑いながら、蒼に抱き付く。
恥ずかしそうに顔を赤く染める蒼の胸を、アリスは両手で「えい!」と揉む。
「ア、アリス!なにをして!!」
「うわ~蒼……胸が小さいとは思ってたけど、本当に小さい。いや……これはないね。まさに絶壁だね」
「……」
蒼の表情が一瞬で氷のように冷たくなった。
彼女はなにも言わずアリスから離れた直後、無言のまま手を振るう。
そしてアリスの大きな胸を強くビンタする。
バシン!と大きな音がシャワー室で鳴り響き、アリスの胸が大きく揺れた。
「いった~い!」
「次、私の胸を絶壁って言ったら、あなたの胸をもぎ取るから」
胸を両手で押さえながら蹲るアリスを置いて、蒼はシャワー室を出た。
シャワーで身体を洗い流した蒼は、シンプルなデザインのジャージに着替える。
(そろそろ……いいわよね)
ふかふかのベットに座って可愛らしいパジャマに着替えているアリス。
そんな彼女の目を見つめながら、蒼は真剣な声で喋る。
「アリス……少し話があるわ」
「ん~?な~に?」
「明日からモンスター討伐の依頼を受けましょう」
パジャマに着替えていた手が止まり、アリスは不安そうな顔を浮かべた。
「どうして?」
「この世界はクソよ。モンスターがうじゃうじゃいる。そんな世界で生きるためには、戦う力が必要なの。戦闘経験はとても重要。それに討伐系依頼は他の依頼よりも報酬が美味しいのよ」
話を聞いていたアリスはおずおずとしながら、「でも……」と少し上ずった声を漏らす。
「大丈夫よ。近くには私がいるし。それにこういう時のために戦闘訓練はさせたはずよ?」
「……わかった」
アリスは渋々ながら了承するのだった。
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翌日、蒼はアリスと共にハンター協会にやってきた。
Eランクの依頼を探していた蒼は、一枚の紙を手に取る。
「これがいいわね。犬系モンスター三体、討伐。これは私がまだEランクハンターになったばかりにやってたやつだし」
そう言って蒼は紙をアリスに渡す。
「う……うん」
モンスター討伐依頼が書かれた紙を握り締めたアリスは、僅かに身体を震わせていた。
そんな彼女を見て、蒼は思い出す。
ハンターになったばかりの自分が、初めてのモンスター討伐をする時に怯えていたことを。
「アリス……なにかあったら私が守ってあげるわ」
蒼の言葉を聞いて、震えていたアリスの身体が止まる。
「だから……まずはモンスターを討伐することだけを考えなさい」
「……うん」
アリスは力強く頷いた。
「蒼を……信じるよ」




