第十四話 報酬
廃墟と森が一体化したような場所にやってきたアリスは、依頼された草や木の実を採取していた。
粒子を放つ花を摘み取り、浅く光るどんぐりを拾う彼女を、少し離れたところで蒼は見守っている。
頑張って採取するアリスを眺めながら、氷の女王は考えた。
(いったい……アリスは何者なのかしら。いや、それよりも考えないといけないのは《竜》のことよ)
目を細めた蒼は思い出す。
八王子市にあった痕跡を。
今でも彼女は強力なモンスターたちの死体と大きな斬撃の跡が忘れられないでいた。
(アリスのことで頭がいっぱいだったけど……《竜》のことを考えないと)
ゴクリと唾を呑み込んだ蒼は、一筋の汗を流した。
(多くの街を滅ぼすほどの力を持つ最悪にして最凶のモンスタ―…《竜》。まさに災害そのもの。私よりも上のSランクハンターですら死ぬことがある化物。そんな奴が……この東京にいる)
その時、蒼は強制的に思い出してしまう。
《竜》によって滅んでしまったかつての故郷を。
蒼の顔が歪んでいったその時、
「蒼!見て見て!」
大きな箱を持っていたアリスは、子犬のように蒼に近付いた。
箱の中には花やどんぐりが大量に入っている。
頑張って集めたのか、アリスの両手は土だらけだった。
「どうどう!いい感じかな?」
「え……ええ。すごいわ。初めてにしては上出来よ」
「えへへ」
ガスマスクで口元はわからないが、確かにアリスは嬉しそうに笑っていた。
そんな彼女を見て、蒼は胸が温かくなるのを感じる。
「さぁ……ハンター協会に行きましょう」
「うん!」
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ハンター協会にやってきたアリスは、どんぐりと花がたくさん入った箱を受付嬢に渡す。
「確かに受け取りました。依頼報酬は現金にしますか?それとも電子にしましょうか?」
「現金で!」
「かしこまりました。こちらが報酬の一万三百円になります。
受付嬢は一万円札と三枚の百円玉をアリスに渡した。
初めての依頼報酬を受け取ったアリスは、嬉しそうにジャンプする。
「やった!やったよ、蒼!初めての依頼達成だよ!」
「よかったわね、アリス」
近くにいた蒼がそう言うと、喜んでいたアリスは頷いた。
「これも蒼のおかげだね。ありがとう!」
「……別に私はなにもしてないわ」
ぷいっと顔を逸らす蒼は、僅かに頬を赤く染めた。




