オーガ殺し
俺たちは今馬車に揺られている。村へは半日ほどかかるという話だった。
搭乗客は俺たちの他に一人、ギルドにいたいつも何か言ってくる例の男だ。
「まさかお前らがこんなに早くドラゴン退治に行くことになるとはな」
「こんなに早くということは、いずれはそうなると思っていたのか?」
「まぁな。才能のあるやつってのは見ればわかるもんだ。お前らならその内ドラゴンを相手にすることもあるだろうと思っていた」
フロストドラゴン退治の依頼はAランク。俺たちはBランク。ギルドでは1ランク上までのクエストは受けられる。受ける時に散々注意されたものだが、要は死んでもギルドは関知しないということだった。
「あんたはあるのか?ドラゴンを相手にしたことが」
「一度だけな。あれは中々に強敵だった」
「倒したのか?」
「まぁな」
「その時はパーティを組んでいたのか?」
「俺は一人が好きなタチでな。その時もそうだ」
一人でドラゴン退治をした実績を持つ男か。英雄譚に出てくる英雄。化け物だな。
「俺の名前はガドゥ。人呼んでオーガ殺しのガドゥ。Aランク冒険者だ。よろしくな」
オーガはドラゴンに次いで強力な魔物だ。ドラゴンスレイヤーを名乗らないあたり何かこだわりがあるのだろう。自分で二つ名を名乗るのはおいといて。
そうして昼頃には村に着いた。
簡単に聞き込み調査をすると、どうにもフロストドラゴンは供物を要求しているらしい。村人は困っているという話だ。逆らえば皆殺しにあうことになるのは目に見えている。村はずれの岩場に陣取っているという話だが。
「さっそく行くだろ?」
「何仕切ってんのよ?パーティを組んだわけでもあるまいし」
「まぁそう言うな。ドラゴン退治は命懸けだ。先達はいるに越したことはない」
「ふむ、そうだな、よろしく頼む」
俺たちは3人でドラゴンがいるという岩場に行くことになった。
もうすぐ岩場が見えてくるというところでガドゥが言った。
「ここで止まれ」
「どうしたんだ?」
「鷹の目を使う」
鷹の目は遠くのものを見ることができるスキルだ。
「……こいつはやばい。すぐ引き返すぞ……」
「どうしたんだ?」
「……あれは成竜だ。とてもじゃないが太刀打ちできない。Sランク級の化け物だ。倒すには同じSランクのパーティか国家規模の戦力が要る」
俺から見たら十分化け物である存在がそう言った。ちなみに人に接触してくる可能性があるのは若竜で成竜はめったに姿を現さないらしい。そのはずだったのだが――
「帰りたければ帰れば?」
「おい、命をむざむざ無駄にする気か?」
「足手まといに用はないわ」
「高飛車なのも大概にしろ。才能のあるやつをこんなところで失わせる訳にはいかん」
「……セティ行けるのか?」
「余裕よ」
魔剣であるセティが余裕だと言っている。だが俺にできるのか?相手は国家規模の武力だぞ?
「……毒を食らわばなんとやらか」
「まさかお前まで」
「ガドゥ。色々とありがとう。だが俺たちは行くよ」
「……そうか。精々死ぬなよ」
そしてガドゥは去り、俺たちはフロストドラゴンへと向かっていった。




