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72.依頼の結果

 一通り買い物を終え、冒険者ギルドが閉まる時間の直前に大ネズミの代金を引き取りに向かった。

 広場に積まれていた大ネズミはすっかり消え、テーブルの上に袋が3つ並んでいた。小さめの袋が2つと、それよりも二回りくらい大きめの袋が一つだ。

 買取エリアの男性が入ってきた私たちに気づいて、


「よお、待ってたぞ」


 と話をかけてきた。

 マルセルは札を買取エリアの男に渡した。


「いくらになった?」


「今日の相場では大ネズミが1体銀貨68枚」


「銀貨20枚分くらい値が落ちたのか?」


「お前らが持って来すぎたんだよ。さすがに同じ日に37体も持ってこられたら値下がりもする。高値を付けてもらいたければ日をずらせ」


 マルセルは諦めたように「あ~」と声を漏らした。

 確かに需要を上回ったら値崩れもする。一気に出さない方が良かったのかもしれない。


「37体で金貨25枚と銀貨16枚。確認してくれ」


 と言って買取エリアの男はマルセルの前に小さめの袋を二つ出した。

 マルセルは受け取った袋の一つを私に渡してきた。


「こっちの枚数確認して。俺はこちらを確認する」


 マルセルから渡された袋には金貨が入っていた。25枚入っていれば正しい。私は6枚ずつ分け、1枚の余り金貨を手にした。そして、買取エリアの男に、


「これを銀貨に替えられますか?」


 と訊ねた。4等分のためには必要なのだ。


「大丈夫だよ」


 買取エリアの男は私から金貨を受け取って、別の男に渡した。別の男は奥に入っていって、小さな袋を持って戻ってきた。


「こちらを確認してください」


 と私に小さな袋を渡した。

 中を確認すると確かに銀貨が100枚くらい入っていそうだ。私は、銀貨を4等分しながら数えていった。25枚の銀貨タワーが4列出来た。


「金貨24枚と銀貨100枚確認」


 私はマルセルに告げる。

 マルセルは頷いて、買取エリアの男に伝える。


「買取金額の分、確認できた」


 マルセルも銀貨4枚ずつのタワーを4つずつ作っていた。

 4等分したお金を私たちはそれぞれ手にして、それぞれしまった。


「で、こちらはどうする?」


 買取エリアの男が二回り大きな残りの袋をマルセルの前に出した。


「大ネズミの魔石が34個。こちらも買取か?」


 マルセルは私に「どうしたい?」と訊いてきた。大ネズミの魔石は既に100個以上ある。

 私は買取エリアの男に訊いてみた。


「大ネズミの魔石は1個いくらなんですか?」


「銀貨6枚と銅貨80枚だな」


「そんなもんなんだ」


 そこにマルセルが補足説明を加えた。


「イメージ、本体の買取金額の1割だ。だから大ネズミ1体のレートが銀貨90枚だった場合は魔石は銀貨9枚だ」


「なるほど、理解。つまり、別の日に売れば魔石の買取額は上がる可能性はあるということね」


「そうなる。ただ、レートは国によって違うからベンチャ王国では今どうかは分からない」


「この世界にも相場変動があるんだね。どうなるか分からないけど魔石は持ち帰ろう。何かに使うかもしれないし」


 マルセルは魔石の袋を手にして「これは持ち帰る」と買取エリアの男に言う。

 男は分かったという風に手を上げた。

 その後、私たちは冒険者エリアの裏に回った。

 昨日と同じようにアルノルドが出迎えてくれ、昨日と同じ応接室に通された。


「情報は増えましたか?」


 アルノルドに訊いてみると、


「情報の枠を広げたので一日の情報量は増えましたが、銀貨6枚分くらいですね」


「又聞き話が多いということですか?」


「そうですね、但し1件、面白い情報があったんですよ」


 とアルノルドはメモの束の中で目印の付いているページを広げて、私たちの前に置いた。

 私たちはそのページを見る。


「半年前の話ではあるんですが、マチュヤ王国のヘルギムというキレネー山脈の麓にある街で勇者一行が巨大な扉を作っていたと」


「どういうことですか?建物ではなく扉だけ?」


「扉だけらしいんですよ」


 全く意味が分からない。どこでもドア的なもの?

 マルセルが私と遥に訊いてきた。


「前の世界では扉だけ造ることあるのか?」


 私も遥も首を横に振る。

 遥は少し考えて「何かのゲートかな」と呟いてから、マルセルとアルノルドとヤニックを見て訊いた。


「この世界には転移魔法以外で、異世界とか別の空間にワープするゲートという概念ある?」


 マルセルとヤニックは首を横に振って「いいや」とそれぞれが否定する。

 しかしアルノルドだけが首を少しひねって、違う反応をした。


「私は知らないです。しかし、絶対に存在しないと断言はできません。知らないだけで、実は存在している可能性もあります」


 そしてアルノルドは両手で私と遥を指して言った。


「なにせ目の前に竜巻に巻き込まれて異世界から転移してきた人がいるのですから、ワープできるゲートなるものが存在している可能性は否定できません」


 確かにアルノルドの言うとおりである。この世界、何が存在しているか全く分からない。


「この話以外は、比較的古い目撃談や、背びれ尾ひれのついた又聞き話になってますね」


 アルノルドはメモの束を私たちの方へ押し出した。受け取れということだろう。


「情報料としては、目撃談が全部で9件で銀貨4枚銅貨50枚、又聞き話が185件で銀貨9枚銅貨25枚、合計で銀貨13枚銅貨75枚。これにギルドの手数料が1割の銀貨1枚銅貨38枚となり、合計で銀貨14枚銅貨113枚あるいは銀貨15枚銅貨13枚となります」

 

 マルセルは私と遥に訊いた。


「前払いしている銀貨50枚から15枚引いてもらって銅貨15枚を別に出すのと、銀貨16枚引いてもらって銅貨85枚もらうのどちらがいい?」


 私が答える前に遥が答えた。


「銀貨16枚引いてもらう方が銀貨の2等分が楽。銅貨は42枚ずつ分けて、残りの1枚は私がお小遣いで貰う。いいよね、夏ちゃん」


 私は「どうぞ」と答えた。

 こうして私たちの初めての依頼は完了した。あとは、このメモの束を一通り見るだけだ。

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