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67.アスルスネイク

「大丈夫、今のところ勝率100%」


 遥は根拠のない自信でマルセルの占いを後押しした。

 私たちは占い板を信じて、遥が見つけた洞窟を目指して前進した。動物の音が聞こえたら静かにして、注意深く。そして、遥が見つけただろう洞窟が目の前に現れた。

 「本当にあった」とヤニックが呟いた。

 マルセルは事前に拾っておいた枝を地面に刺し、その先を十字に切り、マジックバッグから藁のようなものを取り出して挟み、そこに火打石で火を付けた。火のついた枝を地面から抜いて、火の様子を確認してから、それを洞窟の入り口にかざした。上から下、右から左。火は消えない。そして、火を投げ入れる。爆発はしない。が、バサバサバサという明らかに何かの羽音が聞こえた。


「今、何かいる音がしなかった?」


 私は思わず訊いた。


「コウモリはいそうだな。ただ、ガスは無さそうだ」


「コウモリはいいの?」


「触れないようにすれば問題ない」


 遥はニヤッと笑った。


「これで魔鉱石が見つかったら、当たる確率100%の占い板確定だよ」


 マルセルは右手人差し指でこめかみの辺りをかいた。


「100%当たる占い板なんて見たことないんだがな…」


 私たちは光るブローチを身に着けて洞窟の中に入っていった。先頭にマルセル。その次が遥で奥を確認する。私は三番手で一定間隔で石壁を光らせていく。最後尾がヤニックだ。

 時折、コウモリがバサバサという羽音をたてて奥へと飛んでいくけれど、特に何がが出てくるわけでもなく、順調に奥へと進んでいった。しかし、


「待って」


 と遥が言った。

 マルセルは立ち止まり、「何だ?」と振り返る。


「大きい蛇がいる。近づいてきてる」


「どんな蛇だ?何色だ?」


「薄暗くて見えにくいけど青っぽい感じ」


 マルセルは一瞬ニヤッと笑ったが、その後真顔になってヤニックを見てから「青?」と確認するように遥に訊いた。


「青っぽく見える」


 マルセルは「なるほど、だからか」と呟いてから、今度はヤニックをはっきりと見た。


「ヤニックは外に退避した方がいい」


 ヤニックは首を傾げる。


「何故ですか?」


「ここにいるのはコウモリくらいで、大ネズミのような洞窟に住む獣や魔物が出てこないのが不思議だったんだが……ヤニックは訊いたことないか? 蛇はアスルスネイクだ」


 ヤニックは目を丸くした。

 遥が「アスルスネイク?」とマルセルとヤニックを見比べる。

 ヤニックは頷き、


「分かりました。僕は離れた方が良いと思います。お役に立てずすみません」


 と言って、一足早くで道を戻っていった。


「なんで?どうしてヤニックだけ?」


「アスルスネイクは人間を襲ってくることはないんだが、獣の類は襲う。肉食の大蛇だ。ヤニックは獣人族だから襲われる可能性を秘めてる」


「ヤニックから獣臭はしなかったけどな」


「アスルスネイクは目は悪いが鼻が利く。既に近づいてきているなら、ヤニックの獣人族の匂いに反応したのだと思う」


 私はふと心配になったことがある。


「私たち、ヤニックとずっと一緒に行動してるから匂い移ってたりしない?アスルスネイクに勘違いされたりしない?」


 マルセルは「ああ」と納得したような声を出した。


「可能性はあるな。浄化魔法で匂いを消してくれ」


 私と遥は自分を浄化した後、二人がかりでマルセルを浄化した。

 遥はマルセルを浄化させながら、


「襲われたら撃退すれば良いんじゃないの?アスルスネイクは倒せないくらい強いの?」


「手を出してはいけないんだ」


「アスルスネイクに?」


「アスルスネイクは魔鉱石の守り神と言われている。だからアスルスネイクには決して手を出してはいけないとされている」


「魔鉱石の守り神?」


「アスルスネイクがいるということはそこに魔鉱石がある。もちろんアスルスネイクがいなくても魔鉱石がある場所は多くある。しかしアスルスネイクがいるということは100%魔鉱石が存在している」


 私と遥は顔を見合わせて、互いに少々興奮した顔をしていることを確認した。


「アスルスネイクは人間を食うことは無いとされている。おそらく人間の味が口に合わないのだろう。だから、こちらから仕掛けない限り攻撃はしてこない。人間はありがたく魔鉱石をいただくだけだ。さあ、進もう」


 私たちは奥へ奥へと進んでいく。やがて暗闇から薄っすらと明るさが出てきた。


「光を消して」


 マルセルの指示で私たちはブローチの光を消した。薄暗い先に薄っすらと現れる大きな青い蛇アスルスネイク。青い肌、青い瞳、シュルッと出てくる黒っぽい舌。私たちに緊張が走った。


「静かに、通り過ぎる」


 マルセルの先導で私たちはアスルスネイクの脇を静かに通り過ぎていく。マルセルが言っていた通り、アスルスネイクは私たちが歩く方向をずっと目で追うけれど、特に何もしてこない。


「ほらな」


 アスルスネイクの脇を通り過ぎた先に薄っすらと光る鉱床があった。麓の地下洞窟とは明らかに量が違った。


「これ、全部採るの大変じゃない?」


 遥がマルセルに訊くと、マルセルは首を横に振った。


「全部は採らない。アスルスネイクに一部を分けてもらう。そういう心づもりで採掘する」


 そう言って、マルセルは魔鉱石の採掘を始めた。

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