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魔王さま、呼び出します。


連絡先がない魔王さまは困っていた。

ここに来たばかりの魔王さまに番号はあるはずもない。


課長も、不在でこの場では対応できない。

考えた末、八尾は思いつくーー

「魔界課の方に聞きましょう。」


八尾が魔王課への準備をしようとした時

魔王さまが止める。


「我が今から、呼んでやろう。」


魔王さまは目をつぶる。


するとーーー

使用禁止の電話ボックスが、わずかに揺れた。


次の瞬間、エルさんが現れた。


「魔王さま、なんでしょうか。」

少し怒っている。


「エルよ。連絡先を用意せよ。」


「……は?」


エルさんの眉がぴくりと動く。


「人間界で働くのに必要らしい。」


「それは……そうですが」


エルさんは深くため息をついた。


「魔王さま。ここは人間界です。いきなり呼び出さないでください。」


「なぜだ。我は王だぞ。」


「だからです。」


ぴしゃりと言い切る。


八尾はそのやり取りを、少しだけ引いた目で見ていた。


「……あの、電話番号が必要でして」

「あぁ、そういうことですか」


エルさんは八尾に向き直ると、すぐに理解したように頷いた。


「では、こちらで用意いたします。」

「できるのか?」

「できます。」


即答だった。


「ただし——」


エルさんは魔王さまを見た。


「出張料として、15000円となります。」

「なに……?」


魔王さまの顔が固まる。


「税別です。」



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