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勇者さま、右と左がわかりません。
ーーー視力検査室
入室すると、僧侶の格好をした男が1人いた。
「あら?勇者ちゃんじゃない」
「おまっ……中村か」
「やだぁ。昔みたいに下の名前で呼んでよ?」
勇者へウインクするその男。
どうしてここに、と思ったが、先に中村が口を開く。
「討伐免許ぉ?勇者ちゃん、持ってたんじゃないの?」
「持ってない」
「あららぁ。ほら、こっちおいで」
行きたくない……勇者の足が動かない。
「討伐に、視力はいるのか」
「当たり前でしょ。見えなきゃ魔王も倒せないわよ?」
渋々、検査台の前に座る。
「見えた方向を言ってね」
「あぁ……」
しどろもどろになる勇者。
ーーー検査開始
「見えたぞ」
「右とか左とかあるでしょ?」
「こっちだ!」
勇者は、見えた方向を指でさす。
そこで中村は気がついた。
「勇者ちゃん……もしかして、右と左、わからないの?」
「…………次も見せろ。」
「いや、進めないわよ。」
12:00ーーー
キーンコーンカーンコーン。
「はい、昼休み入りまーす」
「…………」
勇者は、検査台の前で固まったままだった。




