魔王さま、家賃が払えません。
勇者が、免許センターへ向かったあと、一息つく。
八尾さんと鈴木課長に呼ばれた。
「今日会議で、魔界課に魔王さまの家の鍵を取りに行くはずだったんだが、難しくてね」
八尾さん頼める?とお願いだった。
なぜか魔王、勇者専属窓口になったわたしは、
手が空いていたので了承した。
「ありがとう」
助かったよと鈴木課長もホッとした表情になる。
「魔界課に行く電話ボックスだけど、人間が使うと船酔いみたいになるかもしれないから」
気をつけてねとビニール袋を渡され、よろしくと消えていった。
周りは急に忙しそうに、わたしから逃げる。
仕方ないので、使用禁止の電話ボックスの扉を開けた。
ーーー魔界課
三半規管が強いのだろう。わたしは、船酔いにはならず、到着した。
「あの…総合受付課の八尾です。」
以前お昼休憩で同席したダークエルフのエルに話しかける。
「鈴木課長から伺ってます。魔王さまのマンションの鍵ですね」
少々お待ちください。と席を立つ。
周りはヒソヒソとわたしの顔を見ながら話すが聞こえない。
「八尾ではないか」
どうしたのかと魔王さまが、魔界課の待合室にいたのだろう、話しかけてきた。
「魔王さま、こんにちは。」
気まずい空気だったので、話しかけられ少し安堵した。
「うむ、エルから家賃がどうのこうのと言われてな」
話を聞きに来たのだと腕を組み笑う。
あぁ…エルさん大変だな。と心で呟く。
「魔王さま、家賃3ヶ月分滞納です。」
「…………」
魔王さまは、静かに目を逸らした。




