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勇者さま、電子決済はできません。
金曜日 9:00
入口では、ボロボロの剣を警備室へ預ける手続きをしている。
ーーー勇者だ。
預け終わった後、こちらへ走ってくる勇者。
「住民票を発行しろ」
机をバンっと叩きつける。
「申し訳ございません。番号札をお取りください。」
「いや、急ぎで…」
「番号札をお取りください。」
番号札をひったくり、待合室にドカッと座る。
魔王さまでも1回で理解したのにと私は思う。
勇者の番が来た。
「住民票だ。」
「では、手数料300円です。」
「…………」
勇者、沈黙
「あの、手数料300円」
「HeyHeyは使えるのか」
すっと携帯のHeyHey画面を見せる。
「現金のみです。」
勇者は、財布から300円を出す。
薄い財布なので、全財産なのだろう。
住民票を受け取り、すぐに席をたとうとした勇者。心配になり、声をかける。
「あの、免許も手数料がかかりますよ」
勇者の動きが止まる。あの…と声をかけようとした時
「HeyHey払いは可能か」
「窓口で聞いてください。」
勇者は、ゆっくりと頷いた。
その顔は、どこか疲れていた。




