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第72話 公爵令嬢の誕生日パーティー

 特別に食堂の一角を借りることになったのだけど…。

 学院生がわらわら集まってきたわ! なになに、どういう事!?


「だって沢山いたほうが楽しいじゃん! 今日は新学期初日で講義もないしさ!」

 エラリーの伝手だったわ。ホント知り合いが多いわね。平民の子らが中心だけれど、ちらほら貴族もいるわね。男爵家と子爵家が中心で…あら。


「お金持ちばかりでは?」

 エラリーと同じように、『お金で貴族位を買った』系の新興貴族が多いわ。

「そうだよ、だって私、伝統的貴族の方って苦手だし。あ、ギリアム先輩は別ですよ、みんなギリアム先輩みたいにフレンドリーならいいのに!」

「はは、それは光栄だね。実際、平民学生を好ましく思わない貴族は多いからね」

「一応お伺いしますけど、アシュレイは?」

 確認だけれど、アシュレイはギリアム先輩の妹よ。私の同学年の。

「あの子が来ると思う?」

「いいえ」

 あの子は伝統的な貴族思考だからね。嫌いな私の誕生日パーティーなんて絶対来ないわ。


「あらあら。すっごく豪華ね」

「先生!」

「ふふ、お誕生日おめでとう、フランソワさん。何かプレゼントを用意すればよかったわ」

「いいえ、先生の講義を受けられるのが何よりのプレゼントですから!」

「嬉しいわ、そう言ってくれると。明日からの補講も頑張りましょうね」

 急に現実に戻る発言だわ。


「フランソワはん、マルタはんの特製やで!」

 グラスに注がれたオレンジジュースよ。あら? 炭酸が入ってる。

「へぇ、姫さま。即席でオレンジソーダにしやした」

「流石はマルタだわ!」

「最近、炭酸生成の効率化を見つけやして。もうすぐ全員に渡りやす」

「わいの炭酸充填装置もバージョンアップしたで! 歯車を増やして充填数を増やしたんや!」

「…いまシオンが漕いでる自転車もどきね?」


 さらっ、と流したけど、自転車も最新鋭の機械なのよね。馬が無くてもすいすい走れる、未来の機械なの!

 その自転車もどきを漕ぐと、後ろに付いている円盤が回って遠心力がかかるのね。

 その力で炭酸を充填させる(圧力をかける)って理屈みたい。


「あれ、どこから手に入れたの?」

「簡単や、ワイが作ったんやで」

「天才?」

「せやで!」

 がはは、とニコラスが豪勢に笑ったわ。私が不在の四カ月の間にも、ちゃんと研究が続いていたのね。素晴らしいわ!


「皆さんにはレモンソーダですわ。どなたか、お手伝い頂けます?」

 メイドのリンダよ。エラリーたちが配膳をお手伝い。

 テーブルの上にはオードブルが何個も! ハムにチーズにサンドウィッチ、それから鯖の箱詰めにシャケのムニエル、アサリの酒蒸し、その他その他…ご馳走ばっかり!

 唯一の成人勢、ローランお兄様とセシルお兄様も今日はノンアルコールみたい。他の全員が未成年だしね。


「それじゃ、僭越ながら…今日は私の誕生日に集まってくれてありがとう! それから、皆お疲れ様! 新学期も頑張りましょう!」

 乾杯!



「はい、お疲れシオン」

 汗だくになったシオンにオレンジソーダを渡してあげたわ。一言目。

「ぬる」

「ハンスがいないんだもの」

「そういや、あいつどこ行ったんだ? 一緒に帰ってきただろ」

「違うのよ、別の船だったでしょ。私たちだけ、ノイエ・エーテル号だったから早く帰れただけで」

「そうなのか」

「あと1~2週間じゃないかしら?」

「結構かかるな」

「ええ、再会が待ち遠しいわ。ハンスも留年の危機だけど」

「ふふん、俺と同じだな」

 ハンスはあなたより学力はあると思うわ。魔力はともかく。


「でも、不思議な事もあるもんだよな」

「なにが?」

「俺、誕生日が秋分の日でさ」

「そうなの? なんだ、言ってくれれば…お祝いしたのに! というか、お互い正反対の記念日なのね」

「そうだな。でも、秋分の日は忙しかったし」

「確かに」

 去年の秋分の日、つまりハーベストムーンの日よ。グランド・ディベートの当日ね。

 確かにお祝いしている余裕は無かったわ!


「ふうん、確かに面白いね」

 ギリアム先輩だったわ。

「お代わりいります?」

「頂くよ。僕も氷魔法が使えればよかったのだけど」

「ぬるいですよね」

 ハンスの復帰が待ち遠しいわね。


「それで、面白いって?」

「いや、キミたち二人だよ。全部正反対だね、と思ってね」

「というと?」

「まず、性別。これは明らかだけれどね。それから、髪色」

「確かに」

 シオンは首を傾げたわ。

「シオンは漆黒のような黒で、私は金髪ブロンドですわ」

「それも透き通るような、陽光を照らすような、ね」

 やだ、ほめ過ぎですわ。…という修辞ではなかったみたい。

「一方でシオン君は闇夜のような漆黒だ。それに、魔力もね。シオン君の9999は既知だけれど、僕はフランソワの『エラー』が気になるんだ」

「確かにエラーでしたわ」


 魔力ゼロ、と言い張っているけれど、学院の魔力測定器(第1部第3話)で確かに 『エラー』表記がされたのよね。魔力ゼロなら『0』表記のはずなのだけれど。


「私も何かあるのかしら?」

「そうかもしれないね。ふふ、僕がセドリック研究室に参加したもう一つの理由だよ」

 いつの間にか研究対象にされてたのね?


「ま、深い話は今度にしよう。今日は僕も色々忘れて楽しみたいね…今度王都に行かないと…父上に留年の言い訳をしにね…」

 とても気の重い話だったわ。

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