↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/225

第72話 公爵令嬢の誕生日パーティー

 特別に食堂の一角を借りることになったのだけど。

 学院生がわらわら集まってきたわ。なになに、どういう事!?

「だって沢山いたほうが楽しいじゃん! 今日は新学期初日だし、講義もないしさ!」

 エラリーの伝手だったわ。ホント知り合いが多いわね。平民の子らが中心だけれど、ちらほら貴族もいるわね。男爵家と子爵家が中心で…あら。

「お金持ちばかりでは?」

 エラリーと同じように、『お金で貴族位を買った』系の新興貴族が多いわ。

「そうだよ、だって私、伝統的貴族の方って苦手だし。あ、ギリアム先輩は別ですよ、みんなギリアム先輩みたいにフレンドリーならいいのに!」

「はは…それは光栄だね。実際、平民学生を好ましく思わない貴族は多いからね」

「…一応お伺いしますけど、ヴィクトールは?」

「あいつが来ると思う?」

「いいえ」

 あの人は伝統的な貴族思考だからね。嫌いな私の誕生日パーティーなんて絶対来ないわ。


「あらあら。すっごく豪華ね」

「セドリック先生!」

「ふふ、お誕生日おめでとう、フランソワさん。何かプレゼントを用意すればよかったわ」

「いいえ、先生の講義を受けられるのが何よりのプレゼントですから!」

「嬉しいわ、そう言ってくれると。明日からの補講も頑張りましょうね」

 急に現実に戻る発言ね?

「フランソワはん、マルタはんの特製やで!」

 ニコラスがオレンジジュースを手渡してくれたわ。あら? 炭酸が入ってる。

「へぇ、姫さま。即席でオレンジソーダにしやした」

「流石はマルタだわ!」

 一方で、テーブルにはオードブルが並び始めたわ。厨房主任のリンダ特製みたい。 

 エラリーたちが配膳をお手伝いしていたわ。ハムにチーズにサンドウィッチ、それから鯖の箱詰めにシャケのムニエル、アサリの酒蒸し、その他その他…ご馳走ばっかりね!

 唯一の成人勢、ローランお兄様とセシルお兄様も今日はノンアルコールみたい。他の全員が未成年だしね。

「それじゃ、僭越ながら…今日は私の誕生日に集まってくれてありがとう! 新学期も頑張りましょう!」

 乾杯!


「はい、お疲れシオン」

 シオンにもオレンジソーダを渡してあげたわ。ぐい、と飲んで一言目。

「ぬる」

「ハンスがいないんだもの」

「そういや、あいつどこ行ったんだ? 一緒に帰ってきただろ」

「違うのよ、別の船だったでしょ。私たちだけ、ノイエ・エーテル号だったから早く帰れただけで」

「そうなのか」

「あと一、二週間じゃないかしら?」

「結構かかるな」

「ええ、再会が待ち遠しいわ。ハンスも留年の危機だけど」

「ふふん、俺と同じだな」

 ハンスはあなたより学力はあると思うわ。魔力はともかく。

「でも、不思議な事もあるもんだよな」

「なにが?」

「俺、誕生日が秋分の日でさ」

「そうなの? なんだ、言ってくれれば…お祝いしたのに! というか、お互い正反対の記念日なのね」

「クジラ食わせてくれたから。忙しかったし」

「確かに」

 去年の秋分の日、つまりハーベストムーンの日よ。グランド・ディベートの当日ね。

 確かにお祝いしている余裕は無かったわ。


「ふうん、確かに面白いね」

 ギリアム先輩だわ。

「お代わりいります?」

「頂くよ。僕も氷魔法が使えればよかったのだけど」

「ぬるいですよね」

 ハンスの復帰が待ち遠しいわ。

「それで、面白いって?」

「いや、キミたち二人だよ。全部正反対だね、と思ってね」

「というと?」

「まず、性別。これは明らかだけれどね。それから、髪色」

「確かに」

 シオンは首を傾げたわ。

「シオンは漆黒のような黒で、私は金髪ブロンドですわ」

「それも透き通るような、陽光を照らすような、ね」

 やだ、ほめ過ぎですわ。…という修辞ではなかったみたい。

「一方でシオン君は闇夜のような漆黒だ。それに、魔力もね。シオン君の9999は既知だけれど、僕はフランソワの『エラー』が気になるんだ」

「確かにエラーでしたわ」

 魔力ゼロ、と言い張っているけれど、学院の魔力測定器では確かに 『エラー』表記がされたのよね。魔力ゼロなら『0』表記のはずなのだけれど。

「私も何かあるのかしら?」

「そうかもしれないね。ふふ、僕がセドリック研究室に参加したもう一つの理由だよ」

 いつの間にか研究対象にされてたわね?

「ま、深い話は今度にしよう。今日は僕も色々忘れて楽しみたいね…今度王都に行かないと…父上に留年の言い訳をしにね…」

 とても気の重い話だったわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。