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魔力塔の姫君  作者: 夢子
学園生活【一年生・前期】

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33/39

クラスメイト

 入学式を終えての翌日。

 今日からが本番、フリージアの学園生活が始まると言ってもいい日を迎えた。


「じゃあ、フリージア、学校でね」


「はい、ジェイ兄さま、行ってらっしゃい」


 今日は朝練があるジェイソンは、フリージアを残し先に学園へ向かう。

 ジェイソンとは学年が違うため学園内でフリージアと会う機会は少ないけれど、それでもお昼の約束をしたりは出来るのでジェイソンはご機嫌だ。


 何かあったらすぐに自分を頼るようにと兄らしい言葉を言い残し、ジェイソンは学園へ向かって行った。


「ジェイソンが羨ましすぎる……」


 王城で働く長兄のジャレッドが残念そうな様子で呟く。

 フリージアとは通学期間が重ならなかったため、ジェイソンのことが羨ましいらしい。

 可愛がってくれる兄たちにフリージアは感謝しかない。


「私はお兄様と一緒に朝ごはんが食べられるこの時間が大好きです」


「うん、そうだねフリージア、一緒のご飯って美味しいよねー」


「うん」


 入学式後の為お父様もお母様も王都の屋敷にいるし、エルドレッドも常に傍にいてくれる。

 その上美味しい食事を満足するだけ食べられて、安心した場所で眠ることが出来る今の環境を、フリージアは幸せだとしみじみ思っていた。





「おはようございます」


 学園に着いたフリージアは魔法科の教室に向かいクラスメイトに声を掛ける。

 このクラスの生徒はフリージアを入れて五人。

 魔法使いが少ない今、これでも今年の生徒数は多いらしい。


 友人カミラの兄はこの学園の魔法科三年生だけれど、三年生は三人しかおらず一年生よりも少ない。

 二年生に至っては一人も魔法科の生徒がいないというのだから、どれほど魔法使いが希少か分かる。


 ただ、魔力持ちであっても魔力量が少ないと魔法科ではなく普通科を選択する生徒も多いので、それも原因だと思う。

 少ない魔力量ではどんなに勉強しても使える魔法が決まってしまうからだろう。


 けれど魔法を学ぶことで魔道具を作ったりと選択が広がるため、国としては少しでも魔力があれば魔法科に入学して欲しいようだ。

 ただそこは家の事情もあるだろうし、なかなか難しい。


 その為選択の自由のある国ほど魔法使いと呼べる人間が少なく、イェネーブル王国のように自由がなく魔力があれば魔法使いとして学ばなければいけない国ほど魔法使いが多い状態になっているようだった。


「ティエルノ様、おはようございます」


「ティエルノ様もお早いですね」


 フリージアよりも先に登校していた生徒は二人。

 平民出身のオリバーと、伯爵子息のルーカス・シホンだ。


 この二人はシホン家の息子と使用人の息子という間柄らしいが、年齢も同じで魔法使いという共通点もあり、主従関係もなく普通の友人であり幼馴染と言った間柄で仲がいいらしく、学園にもシホン家の馬車で一緒に登校しているようだ。


 これは本人から聞いた訳ではなく全部エルドレッドからの情報だけれど、そこは流石というか間違いはないようで、フリージアが来る前も仲良く談笑していたようだった。


「今日から宜しくお願いします。私のことはどうぞフリージアと気軽に呼んで下さい」


「えっと、我々がフリージア嬢とお呼びしても宜しいのですか?」

「あの、俺、いえ、僕もお名前をお呼びしても?」


 伯爵令嬢とはいえ国王の姪っ子であるフリージアの名を呼ぶことに対し、彼らは少し遠慮気味な様子だけど、フリージアは笑顔で頷いた。


「はい、勿論です。どうぞ敬称なくフリージアと気軽に呼んでください。少ないクラスメイトですもの、仲良くしていただけると嬉しいです」


「本当に? 良かった、じゃあ、フリージア、私のこともどうぞルーカスと呼んで下さい」

「俺のことはオリバーで、フリージア、宜しくな」


「うん、二人ともよろしくね」


 ルーカスとオリバーと親交を深めていると、教室の扉が開き魔法科の生徒が二人入ってきた。

 先に入って来たのは侯爵家の息子ベルナルド・クリズム、その後ろからは少し俯き加減で男爵家の令嬢アミティ・フラーが入ってきた。


 ベルナルドの方はルーカスとオリバーと面識があるのか「やあ」と気軽に笑顔を向ける。

 けれどアミティの方は緊張気味だからか顔色が悪く、少し離れこちらの様子を伺っている。

 親交を深める男子生徒たちの傍を離れ、フリージアは同性のクラスメイトであるアミティへ声を掛けた。


「フラー様、フリージアです、仲良くしてくださいね」


「あ、あの、私はアミティ・フラーです。よ、宜しくお願いいたします」


 魔力を持ちで魔法使いになれる力を持つアミティだけれど、実家は余り裕福ではなく、その上アミティ自身が五番目の子供とあって、魔法使いだと分かっていても家族には大事にされていなかったようだ。


 国から支払われる魔法使いへの支援金も親が使い、アミティの教育に使われることは無かった。

 親はアミティを将来的に結婚という形でどこかの貴族家へ売ろうとしていたみたいで、支援金の使い道を調べる監査官の手によってアミティは保護されたそうだ。


 だからだろう、魔法使いとして小さなころから教育を受けていないアミティからは自信がない様子が見て取れた。


「フラー様、私にことは気軽にフリージアと呼んでください、フラー様のこともアミティ様とお呼びしても宜しいですか?」


「は、はい、勿論です。あ、あのフリージア様、私のことはアミティとそのまま呼んでくださって構いませんので……」


「有難う、アミティ、じゃあ、私のこともフリージアって呼んでね、二人しかいない女の子だもの、友人として仲良く頑張りましょうね」


「は、はい、あの、凄く嬉しいです、有難うございます」


「うん、私も、アミティ宜しくね」


「はい」


 アミティと親交を深めていると後ろから視線を感じた。

 そちらへ振り向けば男の子三人がフリージアとアミティの握手を見ているところで、何故か皆いい笑顔を浮かべている。


 その上、尊い……とか女の子はいいなーとか何かを呟いていて、三人ともフリージアとアミティに興味津々と言った様子だ。


 フリージアはアミティの手を取って、そんな三人に近付いた。


「クリズム様、フリージアです、こちらはアミティ、三年間宜しくお願い致しますね」


「ああ、勿論だよ、僕のことも気軽にベルナルドって呼んでくれよ。僕は侯爵家と言っても六番目で爵位を継ぐことも無いし、こっちの二人とも小さいころから交流があって仲もいいんだ。だからフリージアとアミティとも仲良くなれると嬉しい、少ないクラスメイトだから皆で勉強も乗り切ろう」


「うん、ベルナルド、宜しくね」

「ベ、ベルナルド様、宜しくお願い致します」


 ベルナルドは穏やかな性格だからとエルドレッドから聞いていた通り、侯爵家の子供だからと偉ぶる様子もなく、平民出身のオリバーのことも友人だと認めている。


 クラスメイト達の和やかな雰囲気にアミティも少しホッとしたのか顔色の悪さが無くなる。

 まるでフリージアが学園に通うからいい子ばかりを選んで同級生にしてくれたような気もしなくもないが、そんなことはたとえエルドレッドであっても国王のフェリックスでも出来るはずがなく、フリージアは馬鹿げた考えを打ち消した。


 それにそんなことが出来るのならば、この後に会うであろう()()()を真っ先に消し去るはずだろう。



「皆揃っているか? 席に着いてくれ」


 クラスメイトたちと談笑し、今度一緒に街に遊びに行こうかなんて話になっていると、クラスの担任であるエルトール・ミラー先生が入ってきた。


 そしてその後ろにはフリージアが気を付けなければならない相手、イェネーブル王国からの留学生も一緒に入ってくる。


「皆、クラス担任のエルトール・ミラーだ。昨日は挨拶しかできなかったが、このクラスを三年間受け持つことになっている、宜しくな」


 先生の挨拶にクラスメイト達皆が「よろしくお願いします」と返事を返す。


 エルトール先生は薄い水色の髪と瞳を持っていて、エルドレッドよりも少し年上の先生だ。

 エルドレッドからは魔力は多くないけれど、教え方は上手いと聞いている。


 それに優しそうな笑顔を見れば、何があっても大丈夫と言えるような安心も出来る気がした。


 だからその横でクラスメイトたちを見下したような笑みを浮かべる一人の生徒の姿は、悪い意味でとても目立っていた。


「それからこっちはイェネーブル王国からの留学生ロバート・ロックスだ。これから三年間皆のクラスメイトになる予定だ、仲良くするように」


「イェネーブル王国出身のロバート・ロックスだ。魔法のことは私がお前たちに教えてやる、光栄に思えよ」


 イェネーブル王国の男性らしい物言いに、フリージアだけでなくクラスメイト全員が驚きを隠せないようだった。


おはようございます、夢子です。

本日もお読みいただきありがとうございます。


こちらは雨です。

体も怠くやる気が出ない。


ほんと、魔法使えたらいいですよね。

それかドラ〇もんが欲しい。

通勤が嫌すぎる。

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