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人の世に戻ると、上条はすぐさま叶夜に連絡を取った。そこで耳にしたのは、雅の症状悪化と、美咲の変化について。急ぎ叶夜の家に向かえば、庭先で叶夜が待っていた。
「二人は今どちらに?」
「日向さんはオレの部屋に。ミヤビの方は、一番離れた場所に」
「放っておかなかったのですね。感心なことです。――後は、私が面倒を見ます。呼びだされているのでしょう?」
「そうですが……ミヤビのことが」
「再び襲うようなことがあっても、問題はありません。――その場合は、私も眼を使いますから」
「――わかりました。お願いします」
離れたのを確認し、上条は叶夜の部屋に入った。
「――まさか、ここにいるとは思いませんでした」
横になっている美咲のそばに、笑顔で座っている女性。叶夜にも知られず部屋に入っていたのは――。
「お久しぶりですね、エメさん」
美咲が過去に見た女性、その人だった。
「お久しぶりです。悪いですが、今、美咲ちゃんに私の過去を見てもらっているので」
「――アナタも、予知を知る者ですか?」
「一応は。でも、華鬼の長ほどではありませんね。――美咲ちゃんは大丈夫。ちょっと命華の血が活性化したみたいだけど、今は落ち着いてます」
「そうですか。――アナタは、これからどうされるおつもりで?」
「仲間を束ねようかと。後は――エルに、力を渡せればいいんですけどね」
それは、本来彼女が持つはずの無い力。
事情を知っている上条は、なんとも複雑そうな表情を浮かべていた。
「今、彼に力は渡せないでしょうね。先程も、呪いの進行により日向さんやキョーヤを襲っていたようですし」
「全く。いつもみたいに貰えばいいものを」
「もしかしたら、餌としてみれないのかもしれませんね。私としては、その方が好ましいですけど」
「それは私も同じです。でも、このまま血を吸わなければ、あの子は数日で自我を失うと思います」
これまで見てきた体験から、エメは不吉な言葉を口にした。現実に起きてほしくないが、その可能性は限りなく高かい。
「彼から動かない場合、こちらからなんとかしておきましょう。――では、私は隣にいますので」
部屋に残ったエメは、大きなため息をはいた。
「早く貰わないといけないのに」
そっと、美咲の頬に触れる。
「本当……恋でもしちゃったのかしら?」
それだったら嬉しい。けれど、これまでのことを思うと、エメは素直に喜ぶことができなかった。
「また目の前で傷付いたら――立ち直れないでしょうね」
「――――…」
微かに反応を示す美咲。そろそろ目を覚ます頃だと思い、今は、そのことを頭から消した。




