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「…………ミヤ、ビ」
「あれ、まだしゃべれるんだ? 結構しぶといねぇ~」
なんとか上体だけを起こし、叶夜君は雅さんを睨み付けた。
「……っ、き……くっ」
声にならない声を出し、叶夜君を心配した。大丈夫? って聞きたいのに、それを言葉にすることができない。
「自分が……何っ、してるか。わかってるのか!?」
「当たり前だろう? オレはね、血が欲しいんだ。それも美咲ちゃんの血が――ね?」
私を引き寄せ、雅さんはまるであてつけるように、首筋に顔を埋めた。
「っ、――お前はっ!!」
怒りを露にし、よろけながらも、叶夜君は立ち上がった。
それに雅さんは、呆れたような態度でため息をついた。
「やられ足りないってこと?――ま、楽しみはとっておこうか」
ドサッ! と、豪快に布団へ放り投げられた体。外と内からくる痛みに、意識は悶絶寸前。
二人を……止めない、とっ。
その思いだけで、なんとか意識を保っていた。痛む体に鞭打つように、私は無理やり、体を動かそうとした。
「あとでゆっくり貰うから、大人しくしててね」
ゆっくり、戸が閉められる。
このままじゃあ、叶夜君が殺される!
仮に無事だったとしても、雅さんが死んでいるかもしれない……どちらにしても、悪夢以外のなにものでもない。
助けたい。助けたいのに――…。
私には……まだ、どうすることもできないの?
二人のように動くこともできない。まして今は、まともに動くことすら……。
止める術は無いのかと、必死になって頭を働かせていた時、
『――――デキルヨ』
再び、石碑の声が聞こえる。それだけ痛みが強いのだろう。ハッキリと聞こえる声に、私は心の中で返事を返した。
『アナタハ、アカノメイカ。カミガキダカラ。デキルヨ』
相変わらず、すぐになにを言いたいのかわからない。何ができるのかと聞けば〝二人を止めることができる〟ということらしい。
それが本当なら……どんなことでもやる。
どうしらいいのかと訊ねると、声はそれに答える。
『モウスコシ。モウスコシデ、アナタハカワル。――アカノメイカニ、カワル』
私が……変わる?
赤の命華に変わるというのは、一体どういうことなのか。それも理解できないまま、更に痛みは増していき――意識は、そこで途絶えてしまった。
――――――――――…
――――――…
―――…
――誰かが、ワタシを呼ぶ。
必死になって、扉を叩く音がする。
時代は、ワタシを求めている?
周りは、ワタシを求めている?
ワタシの意思で、ここから出てはいけない。許されるのは、この身に不条理な死を付きつけられた時だけ。
――でも、今は違う。
死はまだ訪れない。
この思いは、ワタシの為じゃない。
呼ばれるのは、ずっと願っていた事。
護る為に――扉を破る。




