表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/191

◇◆◇◆◇


 痛みが……全身を駆け巡る。声を出すのはおろか、呼吸をするのもままならない。指先を動かすことも痛みとなり、私はただ、耐えることしかできなかった。




『―――ゲテ』




 まただ……痛みが増すごとに、頭の中で声が聞こえる。嫌な声ではないけど、今は何を言われても、答える気にはならなかった。




『――――ニ、ゲテ』




 段々と、言葉として聞こえる。それを理解した時――よりハッキリと、その声が聞こえた。




『ソコカラ……ニゲテ』




 この声は……石碑で聞いた時の声?




『――――シンジャウヨ』




 死んじゃうって……。

 なんて物騒な、と思いながらも、どうにか体を動かしてみた。ゆっくり上体を起こしていると、尚も声は警告を続ける。




『シンジャウ、ヨ?――マニ、アワナイ』




 それきり、声は途絶えてしまった。

 あの声が言っていたことが本当なら……すぐそばに、敵が来ていることになる。


「ぁっ……、くっ!」


 体を起こすことができない。でも、ここら逃げなきゃと思い、両腕に力を込め、這うように進んだ。

 外にいるであろう叶夜君を呼ぼうと、外側の障子に手をかければ、




「――――随分苦しそうだね」




 私が開けるよりも先に、勢いよく戸が開いた。

 開けたのは雅さんで、その姿にほっとしたのも束の間。


「いっ!?」


 突然乱暴に、腕が引っ張り上げられた。


「あ、ごめんね。今飲んでないから辛かったんだっけ?」 


 口調はやわらかなのに……いつもと様子が違う。謝ってるけど、その表情は、どこか楽しげに微笑んでいるように見えた。


「……、っ」


「声も出ないんだ? よっぽど痛いみたいだねぇ~」


 気のせいじゃ、ない。

 雅さんは本当に……本当に、楽しそうに笑っていた。

 怖くなった私は、叶夜君に助けを求めようとした。外とはいえ近くにいるはずだと思い、その姿を探すも――どこにも、その姿を見つけられない。




「――キョーヤは助けてくれないよ」




 ニヤリ、怪しく笑う。

 どういう意味かと思っていると、雅さんは私を引きずり、縁側へと連れ出した。




「っ?! き、ょ……」




 理解――できなかった。




 目の前に見えたのは、傷だらけで倒れている叶夜君。

 これを……雅さんが?

 違うと思いたい。なのに現実は、それを否定させてはくれなかった。


「ジャマするからさ、ちょっと本気出しちゃった。はははっ」


 ここにいるのは、いつもの雅さんじゃない。私の知らない……別の人にしか見えななかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ