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夜中の病院に、多くの人が担ぎ込まれる。
しかも、来るのは若い女性。
そしてもう一つ――体内の血が、極限まで無くなっていた。
「もう一人来ます!」
「またか!? これでもう十人目だぞ!」
「これ以上はかかえられません。他の病院に回して!」
院内は慌ただしくなり、人手が足りない。
そんな中抜け出した上条は、叶夜に電話をかけた。
「――アナタに、頼みがあります。今から私の部屋に行き、日向さんを保護して下さい」
穏やかじゃない話。どうしてかと聞く叶夜に、簡単な説明をする。
「今、病院に血を抜かれた女性が多く運ばれています。おそらくは先程の残党でしょう。部屋にいれば安全ですが、今あそこは、アナタとミヤビであれば入れるようにしています。――この意味がわかりますか?」
患者に残された傷跡。血の抜かれ方から気配。それらから、上条は雑華が犯人だと核心した。
今のところ、雅にはまだ自我がある。しかし、彼に連絡が取れないことを考えると、最悪の状況を考える必要があった。
「アナタも、こちらにそれなりの家はあるのでしょう? 私も、こちらが終わり次第向かいますから、急いで下さい」
幸いなことに、叶夜はマンションの近くにいた。
何も無いことを願いながら、上条は、運ばれてきた患者の治療にあたった。
◇◆◇◆◇
薬を断って、二日目の夜。
痛みの感覚は長く、数分だったのが数十分になり、痛みも増してきてる。
「……、……っ!」
次第に、声を出すのも苦しくなって。
息をするのも、目を開けているのも――全てが、痛みに感じてしまう。
『―――…、から』
どこからか、声が聞こえる。
前に聞いたことがある優しい声に、私は自然と、その声に神経を集中していた。
『―――行くから』
声が、はっきりと聞こえだす。それは女性の声で、大人の女性といった印象を受ける。
『もうすぐ――行くから』
途端、私は飛び起きた。
嫌な感覚……何がどう嫌なのか説明できないけど、とてつもなく嫌なものが、全身を包んでいた。
声に集中していたせいか、今は少し、痛みも和らいできていた。
気分を変えようと、起き上がりそばの窓を少し開けた。
「――――はぁ~…」
大きなため息が出る。
あとどれぐらい耐えればいいのか……次の痛みを思うと、気分が滅入ってしまう。
――ブー、ブー。
「っ!?――スマ、ホ?」
ただのスマホの音に、やけに驚いてしまった。どうやらまだ、神経が過敏になっているらしい。
ベッド横にある机。そこに、私のスマホは置かれていた。手に取れば、先生からのメールが。そこには、これから叶夜君が迎えに来るというメール。文章はそれだけで、余程急ぎのことでもあったのかと心配になってくる。
「っ――――はぁ」
また痛みがきたわけじゃないけど、上半身を起こすだけでも、結構体力を消耗してしまったらしい。




