表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/191

*****


 夜中の病院に、多くの人が担ぎ込まれる。

 しかも、来るのは若い女性。

 そしてもう一つ――体内の血が、極限まで無くなっていた。


「もう一人来ます!」


「またか!? これでもう十人目だぞ!」


「これ以上はかかえられません。他の病院に回して!」


 院内は慌ただしくなり、人手が足りない。

 そんな中抜け出した上条は、叶夜に電話をかけた。


「――アナタに、頼みがあります。今から私の部屋に行き、日向さんを保護して下さい」


 穏やかじゃない話。どうしてかと聞く叶夜に、簡単な説明をする。


「今、病院に血を抜かれた女性が多く運ばれています。おそらくは先程の残党でしょう。部屋にいれば安全ですが、今あそこは、アナタとミヤビであれば入れるようにしています。――この意味がわかりますか?」


 患者に残された傷跡。血の抜かれ方から気配。それらから、上条は雑華が犯人だと核心した。

 今のところ、雅にはまだ自我がある。しかし、彼に連絡が取れないことを考えると、最悪の状況を考える必要があった。


「アナタも、こちらにそれなりの家はあるのでしょう? 私も、こちらが終わり次第向かいますから、急いで下さい」


 幸いなことに、叶夜はマンションの近くにいた。

 何も無いことを願いながら、上条は、運ばれてきた患者の治療にあたった。


 ◇◆◇◆◇


 薬を断って、二日目の夜。

 痛みの感覚は長く、数分だったのが数十分になり、痛みも増してきてる。


「……、……っ!」


 次第に、声を出すのも苦しくなって。

 息をするのも、目を開けているのも――全てが、痛みに感じてしまう。




『―――…、から』




 どこからか、声が聞こえる。

 前に聞いたことがある優しい声に、私は自然と、その声に神経を集中していた。




『―――行くから』




 声が、はっきりと聞こえだす。それは女性の声で、大人の女性といった印象を受ける。




『もうすぐ――行くから』




 途端、私は飛び起きた。

 嫌な感覚……何がどう嫌なのか説明できないけど、とてつもなく嫌なものが、全身を包んでいた。

 声に集中していたせいか、今は少し、痛みも和らいできていた。

 気分を変えようと、起き上がりそばの窓を少し開けた。




「――――はぁ~…」




 大きなため息が出る。

 あとどれぐらい耐えればいいのか……次の痛みを思うと、気分が滅入ってしまう。

 ――ブー、ブー。


「っ!?――スマ、ホ?」


 ただのスマホの音に、やけに驚いてしまった。どうやらまだ、神経が過敏になっているらしい。

 ベッド横にある机。そこに、私のスマホは置かれていた。手に取れば、先生からのメールが。そこには、これから叶夜君が迎えに来るというメール。文章はそれだけで、余程急ぎのことでもあったのかと心配になってくる。


「っ――――はぁ」


 また痛みがきたわけじゃないけど、上半身を起こすだけでも、結構体力を消耗してしまったらしい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ