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「――――戦いは、やはり好みませんね」
目の前の敵を排除すると、上条は重いため息をついた。
「さて――日向さん」
振り向き、後ろにいる美咲に呼びかける。だが反応はなく、ただじっと、上条を見つめるばかりだった。
「――今は、眠って下さい」
悲しみを含んだ声。
今起きていることは、上条にとっては喜ばしいことだと言うのに。それを、素直に喜ぶことは出来なかった。
「アナタはまだ、時期を迎えていません。ですから」
そっと、片手で美咲の両目を覆う。そして――。
「今夜のことは――忘れなさい」
やわらかい、軽やかな声。その声と同時に、上条は美咲の目蓋を閉じさせた。
すると、美咲の体は前へと倒れる。それを受け止める上条は、なんとも複雑な表情をしていた。
「薄々考えてはいましたが……こうして目の前に現れるなど」
驚きましたね、とため息をもらす。
「本当に、アナタには驚かされます」
優しく、美咲の頭を撫でる。眠る姿を眺めていれば、
「一体、何があったんですか!?」
頭上から、声が聞こえた。見上げれば、叶夜と雅の姿が近付いて来ていた。
「ここらにまだ変な雰囲気があるし――って、リヒトさん!目、戻して戻して!!」
まだ戦闘体勢の上条に、雅は言う。
今の上条の力は強く、目を見ただけでも気力を持って行かれそうになるほどだった。
「これは失礼。――まだ、気が抜けなかったもので」
いつもの濃い茶色の瞳へ戻すと、上条は再び二人に視線を向ける。
「念の為、この辺りを警戒していて下さい。人に害を与えるようなら、それなりの処置を」
頷く二人。すぐさまこの場を離れたのを確認すると、上条は美咲を運ぼうと立ち上がる。だが上条が向かったのは病室ではなく――自分の自宅。このまま病室に一人残すのは危険過ぎる。かと言って、薬を絶ってる今、二人に任せるのも危険。だから上条は、結界を施してある自宅で、美咲を休ませることに決めた。
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「なんで――お前らが手出しする」
血溜まりの中、雅は踏み付けているモノに問う。
「血の回収はお前らで、命華はオレの担当――なんとか言え!」
足に力を入れ、ぐちゃっ、と血飛沫がはねる。苦悶の声をもらしながら、そのモノはゆっくり、言葉を発していく。
「ハヤッ、ク、、、メイカ、ヲ……」
――ぐぎゃっ。
「ナイショで動くのは気にくわない」
――ぶぎゃっ。
「だから――お前らは糧になれ」
思いきり、足の下にいるモノを踏みつけた。返り血が顔にかかるも、気にすることなく、周りにいるであろうモノたちに言う。
「覚えておきな。オレより先に手出ししたら――これだよ?」
口元の血を舐めとり笑うと、周りのモノに、血の回収を指示する。
「できるだけ女。若いのはイイけど、子どもはダメ」
小さく、獣のような低い唸り声が答える。
それを確認すると、雅はその場を後にした。




