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「それじゃあ……貰うわ」
ニヤリ、と口元を緩める女性。
少年はピクリとも動かず、ただ地面に横たわっている。
「っ! あ、がっ……!?」
「美味しい……やっぱり、男の血はいいわね」
様子からすると、女性は少年から血を吸っているようだった。
できることなら、目を逸らしたい……だけど、それはしてはいけないことだと思う。
理由なんてわからない。あの人に言われたというだけでなく、自分でもどうしてか、見届けないといけない気がした。
何度も目を逸らしそうになりながらも、ぐっと堪え、目の前の光景を見続けた。
「ねえ、……さん」
「これで……エルも同じよ?」
少年から離れると、女性は嬉しそうに笑う。まるで舞うかのように、楽しそうに跳ねていた。
「いたぞぉー! 雑華の女だ!!」
あっという間に、女性の周りは無数の兵士たちに囲まれてしまう。そんな中でも、女性は笑みを崩さなかった。
「餌がたくさんね。でも……貴方たちはいらない!」
そう言うと、女性は兵士たちに突撃して行った。
武装する相手に対し、女性は素手で相手を殺していく。
それこそ、まるで布ように……簡単に、兵士たちの体を引き千切る。
『もう……無理、かな』
消えそうな女性の声。それを聞いて、これが女性と交わす最後の言葉だと悟った。
『エルを、……おね、がい。あの子、を……たす、け、―――…』
それきり、声は消えてしまった。
これでもう、あの女性は心までバケモノになってしまったのだと理解した。
「あはははははっ! 弱いわ……弱すぎる! こんなの面白くない!!」
殺戮を続ける女性に、兵士たちは逃げ腰だった。
ある者は腕をもがれ、またある者は足をもがれ。人の形すらわからぬ肉片になる者もいて、戦うことを諦め、逃げ出す者も出てきた。
誰もが、この女性には敵わないと思い始めた時、
「――――エメ姉さん」
静かに、少年は言葉を口にする。
ゆっくりと立ち上がると、少年は腰に携えていた短剣を手にした。
「それを、どうするつもり?」
笑顔で、女性は訊ねる。
それに少年は、顔色一つ変えることなく、淡々と言葉を述べた。
「今から――貴方を殺します」
「私を? せっかく同じにしてあげたのに」
「貴方はもう……深く落ち過ぎた」
短剣を握り締め、少年は女性を射るように見据える。




