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「は、はい。最初は、違う言葉を言われたんですけど――ここに来たら、「めいか」って聞こえて。めいかって、なんなんですか?」


「メイカは、オレたちにとって『命を繋ぐ』存在かな」


「命を、繋ぐ? それと私と……どんな関係が?」


「基本的に、オレも美咲ちゃんみたいにあまり食事はしないってことはわかるよね? オレたちにとっての食事は花で、その糧になる花を作れるのが命華。それ以外にも、メイカは医者みたいな存在で、こーして触れてると、力が回復する。――文字通り、『命の華』ってこと。ちなみに、メイカ以外の言葉っていうのはわかる?」


「えっと。フィ、なんとか。――――フィ、オーレ?」


「へぇ~、フィオーレか。ま、その話はまたにするとして――今は、オレのこと元気にしてくれない?」


 軽く後ろに傾き、顔を近付ける雅さん。

 片腕はしっかりと私を抱き留め、もう片方の手で、私の頬に触れてくる。


「元気に、と言われても……」


 本当に、こうやってるだけで回復するの?

 ただ単に、雅さんがくっつきたいからにしか見えないんだけど。




「嘘……ついてませんか?」




 思わず、そんなことを聞いていた。


「ついてないよ。さっきも言ったように、美咲ちゃんからはイイ匂いがするからね。だから、メイカの可能性が高いと思うんだ」


「私はそのめいかだから、くっつといいんですか?」


「そーいうこと」


「……それが本当なら、協力します」


「あ、でももっとイイ方法があるだよねぇ~」


「どんな方法ですか?」


「それはねぇ――」


 ニヤリ、怪しい笑みで私を見る。

 声もあの夜のような艶やかな声になり、胸が、変に緊張していく。




「口付けすること――だね」




 雅さんの人差し指が、私の唇に触れる。たったそれだけなのに、本当にキスをされたような気分になってしまう。


「……それは、さすがに」


 くっつくのだってやっとなのに、キスだなんてとんでもない!

 思わず後ろに行く体を、雅さんは両腕でしっかりと抱き留める。


「ははっ、この状況で逃げられるわけないでしょ?」


「別に、逃げようとしたわけじゃ……」


「そーいえば、カレシがいなかったなら、キス経験もないってことだよね?」


「っ! 当たり前、です」


「なら、オレと初めてしちゃう?」


「ま、またまた。そんな冗談」


「冗談じゃない」


 急に、声が低く感じた。

 瞳が淡く輝き、射るような眼差しで、私を見つめている。

 そんな目で……見ない、で。

 胸が苦しくて、嫌だなんて言えなくなる。

 拒絶からくる嫌な感情はないけど、やっぱり……恥ずかしい。




「それかさ――血をくれよ」




 以前にも聞いたことがある、悲しみを含んだ声。それまであった恥ずかしさは消え、心配な気持ちが込み上げてくる。




「どうしてそんなに――悲しそうな目をするの?」




 公園での雰囲気に似て、その様子が儚げで。




「心が――泣いてる」




 自然と手が、雅さんの頬に触れていた。




「――――っんだよ、アンタ」




 力強く、体が引き寄せられる。しばらくすると、抱きしめた腕が、微かに震えているように感じた。


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