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第34話 魔族の話

11/10 誤字を訂正しました。内容を少し訂正しました。

「それじゃぁ。リナ。魔族ってどんな奴らなんだ? どうやら人と敵対しているって事は何となく分かるんだが、誰も詳細を教えてくれなくってさ。」


「魔族ねぇ。そのこと誰かに聞いた?」


「いや。教えてくれる雰囲気じゃなかったから誰にも聞いてない。」


「そう。それは良かったわ。あんまり誰彼(だれかれ)聞かない方が良いかもね。」


「そうなのか? 何でだ?」


「禁忌って程じゃないんだけどね。異世界(こっち)の人、特に人族は余りそのことを話したがらないわ。と言っても、気になるわよね。」


「そうだな。そう言われると余計に気になるな。それに、今後のこと考えると、少しくらいは情報は入れときたいな。」


「そうねぇ。魔族は大陸の南にある大きな島に領土を持つ種族でね。私たちはそこを『魔族の国』って呼んでるわ。ここアガルテは、魔族の国とは海を隔てて隣接しているのよ。だから、軍事的にも力を持っている城塞都市なの。魔族との戦いの最前線都市って訳ね。」


「そういうことか。それで、会戦が起こっても、直ぐに対処できるのか。で? 魔族は?」


「魔族って言っても一言では語れないの。そうね。一般的にいう魔族は、魔人族とそれに使役される魔物たちのことを指すわ。」


「魔人族?」


「そう。魔人族。見た目はあまり人族とは変わらないわ。違うのは瞳の色が紫なのと、ちょっと耳がとがっているくらいね。ぱっと見は区別がつきにくいわね。耳がとがっているだけならエルフも耳がとがっているしね。」


「お! エルフもいるのか!」


「エルフ? いるわよ。あら? あなた何か良からぬ事考えてるんじゃないの?」


「え? そ、そんなことないぞ。」


「怪しいわね。ま、確かに地球(あっち)で言われてるようにエルフには美人が多いけどね。」


「マジか!」

キッて目でリナに威嚇される。


「もう。ホントに男ってなんでみんなそうなの? エルフって聞くだけで、どうしてそうだらしない顔になるのかしら。あんなのただ若く見えるだけの貧乳族じゃないの。」

そう言ってリナは両手で自分の胸を持ち上げて俺にすり寄せてくる。


「そ、それで、なんで魔族は人間を襲うんだ?」

リナが余計なことを言わないように、俺は話を元に戻す。


「魔族はね。元々は南の果ての領土で静かに暮らすだけの種族だったの。人を襲いはしなかったわ。」


「じゃぁ、それがどうして今は人族の領地に侵攻してくるんだ?」


「魔族が人族を襲うようになったのは今から約300年前。例のやらかした勇者が魔王を名乗ってからよ。」


「え? じゃあ、現状があるのはその()()()()()()()()()()()()()()のせいって事なのか? って()()()()()()()()()()()()()()ってなげーな。何か呼び名はないのか?」


「人族は彼女のことは『魔王』っ呼ぶわ。でも、魔族は『勇魔王』って呼んでるらしいけどね。」


「勇魔王。勇者であり魔王であるって事か。てか、彼女? その勇者は女だったのか?」


「そうよ。変?」


「いや。勝手に勇者は男だと思ってたから。そっか。女の勇者か。それにしても、なんでその勇魔王は魔王を名乗って人族を襲うようになったんだ?」


「あなた、異世界(こっち)の人たちについて、何か感じることはない?」


「感じることか? そうだな。それほど人に会ったわけじゃないけど、自分勝手な人が多い気がするな。利己主義って言うかな。あと、戦場で感じたんだけど結構残酷なのな。魔物を殺してるときの顔がちょっとヤバい感じだったよ。」


「そうね。概ね間違ってはいないと思うわよ。みんながそうだとは言わないけど、あなたが言うような人が地球(あっち)に比べると格段に多いと私も思うわ。特に、魔族に対してはそれが顕著だわね。」


「それがどうしたんだ? 何か関係があるのか?」


「人族は(いにしえ)から魔族を虐げていたのよ。魔族からは人族には手を出さないのに、人族は魔族を滅ぼそうと躍起になってたの。そのせいで魔族は人が住みにくい南の土地に逃げて静かに暮らしてたんだけど、その300年くらい前に大掛かりな魔族殱滅作戦があったらしいわよ。それで、人族に切れた勇者が魔人族を助けるために魔王を名乗ったそうよ。」


「なんで、人族はそんなに躍起になって魔人族を滅ぼそうとしてたんだ?」


「詳しい理由までは私も知らないわ。かなり昔のことだからね。でもまぁ、その辺りも王都に行けばもっとよく分かるんじゃないかしら?」


「あぁ、王都。そうだな。王都に行くんだったな。」


「……あのさ、リナ、あの……ええっと。」


「何よ。はっきりしないわね。言いたいことがあるならハッキリなさい。男の子でしょ?」

そう言いながらリナがいきなり俺の股間をつかむ。


「わぁっ!! いきなり何すんだよ。」


「ちゃんと立派なのがついてるじゃない♡」

嬉しそうにリナが言う。


「もう……。いやさ。王都へはどうやって行けば良いのかなって……いや。違うな。リナ。俺と一緒に王都に行ってくれないか?」


「あ〜。」

リナは人差し指を口に当てながら、しばし考える。

「ごめんね。一緒には行けないわ。」


「そうか……。」

期待してた答えと違ったからか、俺は自分が思ってたよりがっかりした気持ちになった。


「もう。そんなにあからさまにがっかりしないでよ。一緒には行けないけど、そのうち私も王都には行くから。」


「え? どういうこと?」


「実は、前々から店を王都でも出さないかって言われててね。で、ヒデオの王都行きの話が出たときからその準備を本格的にしてたのよ。」


「あぁ、準備ってその……。」


「そうなの。だから、その準備がまだ残ってるからヒデオと一緒には行けないの。これでも、このお店のオーナーですからね。ちゃんと段取りつけとかないといけないのよ。でも、直ぐに追いつくからさ。先に行って待っててよ♡」


「そういうことなら。……うん。わかったよ。先に行って王都で待ってるよ。」


「そういえば、ヒデオ。あなた服はそれしか持ってないんじゃないの?」


「ん? あぁ。そうだ。クリーニングの手配ありがとうな。」


「いいぇ。お安いご用よ。それより、今日はまだやることがあるから無理だけどさ。明日にでも街に出て買い物しない? 王都行きの準備もしないとだし。」


「おぉ! いいね。それ。是非お願いするよ。一緒に買い物行こう。」


「ふふふ。なんだか楽しみね。」


「そうだな。じゃぁ。俺は今から教会に行ってみるわ。」


「そうね。それが良いわね。教会の場所は分かった?」


「来た道戻れば良いんだろ? 分からなかったら誰かに聞くよ。」


「そうね。今度は変な顔されたりはしないから大丈夫よ。ふふふ。」


俺は席を立つ。


「リナ。」

少し考えてから俺は、大きく腕を広げる。


リナも俺がしたいことを理解したのか立ち上がって、俺の胸に抱かれてくれる。


リナの香りがする。俺はリナを抱きながら頭をなでる。


「色々ありがとうな。」


「うふ。あなたのためですもの。」

俺はリナの頬にキスをした。


「じゃぁ。教会に行ってみるわ。」


「うん。気をつけてね。」


そうして、俺は店を出て教会に向かうのであった。

今日は実験的に18時に次話を投稿します。

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