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召喚勇者は便利屋じゃないんだよ! ー俺は名誉や金より安らぎが欲しいー  作者: しいたけ
第1章

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第33話 スキルレベルの話 その2

 呆れた顔で天井を見つめていたリナは、ガバッと言う音が聞こえそうな勢いで俺の顔に近づくと

「で? まさか、称号持ちなんじゃないでしょうね?」

と聞いてくる。


「称号って剣聖とか剣神ってこと? さすがにそれはないよ。今一番スキルレベルが高いのが『格闘体術』と『護身体術』の Lv.5 だな。」


「あぁ、そう言えば合気道やってるんだったっけ。」


「そうそう。それ、元々持ってるスキルはスタートラインが違うのか?」


「まあね。それは転移者に限った話になるけどね。」


「あ、そうか。転移者じゃないと元々スキルなんて持ってないか。」


「そういうこと。それにしても Lv.5 ってことは上級じゃない。それって、結構すごいわよ。」


「そうなのか?」


「だって上級の上は超級があるけど、その先はもう達人とか聖人とかの称号持ちでしょ? そんな人、そうそういないわよ。それだともう軍の幹部クラスね。」


「そっか。じゃあ俺って意外といけてるのかな。」


「もう!あんまり調子に乗らないの。」


リナが肘で俺の腹をつく。

何気ないやり取りだが、なんだかこそばゆい甘い感情が湧く。


「あ、あとさ……。スキルのレベルを減らす事ってできないのかな?」

ちょっと、罰の悪さを感じて話題を変える。


「え〜? なにそれ。何でそんなこと聞くの?」


「いやさ。『嗅覚強化』ってスキルが Lv.4 なんだけどさ。戦場だと匂いがきつくってさ、結構大変なんだよ。」


「あ〜。なるほどね。そういや、目を覚ましたときもそんなこと言ってたわね。それにしても、スキルのレベルを増やしたいって人はいても、減らしたい人がいるとは思わなかったな。 あれ? ひょっとしてヒデオのスキルって常時発動してるの?」


「え? 違うの?」


「違うわよ。普通は、スキルを使うって意識したときか()()()()()()()()()()()()に発動するものよ。そもそも常時発動なんてしてたらいくら通力があっても足りないわよ。あなたどれだけ通力あるのよ。」


「通力? そう言えば公爵も何かそんなこと言ってたな。通力がないとかないとか。」


「なにそれ、全くない感じじゃない。通力ってのは、HPでもMPでもない裏のゲージって呼ばれている値のことよ。」


「裏のゲージ?」


「そう。正式名称じゃないけど、一般にはそう言われてるわ。でも、通力は神器でもその数値は分からないのよ。」


「神器で分からないのに、なんであるって分かるんだ?」


「それね。これまでも、HPでもMPでも説明が付かない現象が色々あってね。例えばスキルの中には長期発動できないものもあるでしょ。その時間が人によってまちまちだったり、同じレベルなのに効果に差があったりするのよね。でも、その現象はHPにもMPにも関連性がなくってさ。で、研究の結果、第3のゲージがあるんじゃないかって事になって。便宜上それを通力って呼んでるの。」


「へ〜。確かにステータスには『通力』ってないもんな。で、それってどんなものなの?」


「それはまだ良く分かってないの。研究中ってところかな。地球(あっち)の神通力とかも感覚的には近いかもね。分かりやすく言えばオーラみたいな感じ? 通力がすごい人は、存在感が違うわよ。でも、それこそ女神様に聞けばいいんじゃないの?」


「あの駄女神、最初に話して以来全然音沙汰がないんだよ。俺のことなんかもう忘れてるかもしれないな。」


「あら。別に逢いに来て貰えなければ、逢いに行けば良いじゃない。」


「そんなに簡単に言うなよ。どうやったらあの空間にいけるのかなんて分かるかよ。」


「そうでなくて、あるじゃない。神様に会える場所が。」


「???」


「もう。やっぱりヒデオは日本人ね。」


「ん?」


「きょ・う・か・い 教会よ。教会に行けば神様と交信できるんじゃない?」


「マジか。教会に行くと話せるのか。」


「みんながみんな話せるとは限らないけどね。あなたは勇者でしょ? 可能性はあるんじゃないかしら? でも、神と人では波長が違いすぎるから普通の会話ではなくて神託って形になるだろうけどね。」


「そうか。教会か。その教会ってのはどこにあるんだ? 王都とかか?」


「教会ならちょっとした街ならどこにでもあるわよ。もちろん、アガルテにもあるわよ。そりゃ王都の教会の方が大きいけど。」


「え? アガルテにあるの?」


「ええ。ここから歩いて直ぐの所よ。っていうか、ここに来る途中になかった? 広場の正面の通りをまっすぐ行ったとこなんだけどな。」


「マジか。ちょうどおばさんに道を聞いた辺りかな。じゃあ早速……」


「ちょっと、ヒデオ。あのね。思いついたら即行動なのね。もうちょっと考えなさい。神様は逃げたりしないわよ。」


「いや。これでも俺は思慮深い方だと思ってるんだけどな。」


「そう? それより、私も暇じゃないの。今、色々と準備しないといけないことがあって、これでも結構忙しい身なのよ。」


「あぁ。そっか。ごめんごめん。」


「で? 他にはないの? 聞きたいこと。」


「聞きたいことは山ほどあるんだけどなぁ。ありすぎて、何から聞いたら良いのかよく分かんないんだよね。」


 そう言いながらも朝考えていたことを思い出す。

 テーブルに置いてある紅茶を一口飲んで、俺は魔族について教えて欲しいとリナに切り出した。

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