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獣衛機伝ビーガード ~キッズアニメ世界に巻き込まれ転移した俺が、魔王ごと封印のち目覚めたら、続編か劇場版の疑いについて~  作者: 伊藤 珪


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第二十話 講師・遊間ヨウスケによる戦闘指南実技編。あと、名付け。  

 

「ワンコ、ステイ。細かく位置取りを変えるのは良い、だが持ち場からは離れるな。お前は一人しかいないんだ、深追いしてる間に別の敵が来たら、仲間はどうなる? 指示があるまでは大きく動くな。敵の誘導はココに任せろ」

《わんっ》

「ココ、怖いのはわかるが、遠くまで逃げすぎるな。もし伏兵が居たら、死ぬぞお前。せっかく良い目を持ってるんだ、逃走予定のルートもちゃんと思考の内に入れろ」

《ぴぅ。わわわ、わかったわ、ちゃんと見る!》

「マミ、……は、そのままで良い。ただまぁ、お前の能力、周囲に溶け込む力は過信すんな。撃ったら移動、それは守れ。……オヤツ抜きにさせるぞ」

《やー! ちゃんとやる! ちゃんとやるから! おやつ~!》

 

 本日は移動四日目。今日中には次の街に着く予定だ。ディーガードの姿は見えないが、だいぶ魔獣の影がちらつくようになってきた。

 ……次の街はかなり荒れていると聞いたが……街周辺の魔物の駆除も出来てないのか……? 少し、覚悟をしておいた方が良いかもしれん。

 チビ共が強くなる分には何も問題ない、という事で、今日はピザン達に頼んで、チビ共の実践訓練という名目で、護衛を変わってもらった。ピザンだけジークエーバーと一緒に残る、という条件で、ラウド隊の連中はひっこんでもらってる。

 で、俺は普通にライノに乗っている、トラックの運転席からじゃ、全体を見れないからな。……現在位置的にも、そろそろライノを出しても大丈夫だろう、と思ったのもある。が、それ以上に……これだけ街の周辺が物騒だと、普通にライノを最初から戦力に入れて考えていた方が良い、という判断だ。

 シールドライノが後ろに控えて、トラックの直援にジークエーバーという実に豪華なバックアップ体勢なわけで、これ、トラックの安全に関しては大丈夫だろうなぁ。ピザンとジークエーバーは、シールドライノの見立てだと、「一般兵のハウンドなら、5機でようやく互角ではないか?」レベルだそうだし。「何より、操者がちゃんとした軍事教練を受けているのと、機体がベテランなのが大きい。正しく考え、正しく動き、正しく戦えるからな」だそうだ。

 で、レッツゴー三匹だが……オークの集団が出たので相手をさせたが、なかなかいい感じだ。

 

 まずワンコ。普通に優秀だ。確かにちょっとオバカだが、ちゃんと理解できるように言ってやれば、素直に言う事を聞く。で、理解さえ出来ていれば、個人の判断の範囲では普通に優秀だし。……ちっとばかしある狂犬の面も、止めてやれば、ちゃんと止まるからなー。

 次にココ。こいつ、ビビりだ。周りをよく見てるのも、臆病さの裏返しだな。とはいえ、短所っぽく語ったが、ひっくり返せば長所になる短所だからな。少し大げさに脅すと、怖いからちゃんという事を聞く。頭も良いから飲み込みも早い。戦術とか戦略まで覚えたら、一番の化け物……化け狐になるかもしれんなぁ。うん、チームリーダーにココを選ぶあたり、ノゾミの目も間違いないな。

 で、マミ。現時点では一番完成してる。狐は化かす、狸は化ける。ココほど魔法そのものへの適性は無いが、時間と共に周囲に溶け込んでいく種族由来の能力は、狙撃手には非常に有効だし。それに、狙撃手に最も必要なのは、良い目でも器用な手先でもなく、動じない心。というのも天然でやってる。若干サボり癖があるが、十分に修正可能な範囲だ。……やっぱ人運も持ってるな、ノゾミの奴。

 羨ましいか、って? いやそれほどでも? 俺も負けてはないからな、人運に関しては。これは断言できちゃうぜ。

 

《オーク肉たくさん……んふー》

《にひひ~、食いしん坊ねマミは!》

《おなかいっぱいは良い事だぞ!》

 

 普段から仲も良いみたいだから、連携もちゃんと取れてるしな。

 総評としちゃ、良いチームだ。本来はこれに、情報処理・命令指揮のノゾミが加わるわけだし。

 

「で、ライノの目から見て、どうよ」

「悪くない」

「おぉ。なかなかの高評価。指導するならどこさ」

「……ワンコの負担が大きすぎる。出来るなら、もう一枚前衛が欲しい。……贅沢を言えば、ワンコを前衛も出来る中衛にさせたい」

「まぁ、だよな。……ノゾミも気がついてはいるっぽいんだよなー」

「もしくは……ローレライのような、戦場を把握できる機体の投入、だな」

「……普通ならそっちの方が難しそうだけど、ノゾミだからなぁ」

 

 レーダー車的運用機体とドローンで戦場を俯瞰、フェリシアで情報を統合しますわ! とかやりそう。

 あー、にしてもオーク肉か……かつ丼喰いてぇなぁ、グラナに頼んだら作ってくれるかな? そういやそろそろ昼時か。

 

 

 

「ビーガードの名前、決まりましたわ!」

「「「わー!」」」

 

 昼食を食べ終わると、ノゾミがチビ共を集めて宣言した。……ちなみに、昼飯はスパゲティだった。

 ニンニク効かせたトマトソースに、ベーコンとか玉ねぎ入ってるやつ。これ何ていうんだっけ。チビ共が居るから辛さ控えめとか言ってたけど。

 まー、これも絶品だった。たくさん作ったはずなのに、全然残らなかったもんな! かつ丼も作れると言っていたし、今度作ってくれるそうだ! うひょぉ! 楽しみ!

 で、まぁ、それはそれとして、ちゃんと聞いてやらんとな。なにせビーガードコアの名前は、単に機械に名前を付けるのとは、違った意味を持つのだし。

 

「やっと決まったかー。で、何にしたん?」

「ワンコ機、ココ機、マミ機の順番に、宗谷、雪風、鳳翔ですわ! ……長門は、最後が悲劇的でしたので……」

「そーや!」

「雪風……にひ、綺麗な名前! 素敵!」

「ほ~しょ~……すき」

「そっちから取ったかー、うん。良い名前じゃん」

 

 「えっと、船の名前ですよね?」とマリンが聞いてきたので、答えてやる。

 「特務艦、駆逐艦、軽空母の名前だよ。全てに共通するのは……あの戦争で、最後まで沈まなかった艦だって事かな? 具体的な事までは知らんが」、と。

 すると、ノゾミが若干興奮気味に俺の言葉を引き継ぐ。

 宗谷は戦時中の戦績そのものは、そこまで華々しいものではありません。が、その後が異常です! 引揚船、巡視船、そして南極観測船! 救難出動350回以上! 救助した船125隻! まさに北の海の守り神! 不可能を可能にした奇跡の船! それが宗谷ですの! しかも、まだ「現役の船」としてお台場に浮いてます!

 雪風は戦績が異常ですの! まさに幸運艦の代名詞! 開戦初頭からミッドウェー、ガダルカナル、レイテ沖、沖縄特攻、主要な海戦のほとんどに参加し、ほぼ無傷、たまに軽傷! 他にも漫画みたいなエピソードもたっくさんありますのよ!

 鳳翔は目立ったエピソードはありませんが、日本の空母はここから始まった、という象徴的な艦でありながら、きっちりと最後まで生き残ってますの。最初から最後まで、戦いを見て来たのですわ。目立たないけど、居ないと困る。狙撃機には相応しい名前でしょう?

 

 うん。何というか。やっぱそういうの好きで、語らせたら長いなコイツ。

 まぁでも、ちらりとチビ共を見ると、全員「おぉ~」って顔してら。うん、機体の名前に込められた『想い』はちゃんとチビ共に伝わってるっぽいな。

 ……ネーミングってのは、センスだけじゃないんだよな、やっぱり。


「それでは全員騎乗! 愛機に名前を教えてきてあげなさい!」

「「「はーい!」」」


 わー! という感じでチビ共が駆けていく。愛機に乗り込んで、名前を教えてやるのだろう。

 ……これが人間の名前だったら、こう、儀式っぽく、一番格上のローレライあたりが命名したりするのだろうな。

 ビーガードの名前も、王とか皇帝が下賜する事はあるらしいが、名誉ではあっても、だから強くなるとか、だから幸運とかのジンクスは無いらしい。


「ちなみにヨウスケさんなら、なんと名を付けたんですの? 参考までに教えてくださいまし」

「俺なら? ヨシツネ、マサナガ、ヨイチ、かな」

「くっ……統一感もある、機体の特性にも合ってる、口に出した時の響きも良い、ちゃんと強いエピソードもある……さらに、戦国じゃなく源平から取る渋さ……流石ですわ」

「お前の付けた名前には負けるさ」


 繰り返すけど、俺のは小手先口先の技術だもんよ。生きて戻って来る。という想いを込めたノゾミの命名には、とてもとても、な。


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