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獣衛機伝ビーガード ~キッズアニメ世界に巻き込まれ転移した俺が、魔王ごと封印のち目覚めたら、続編か劇場版の疑いについて~  作者: 伊藤 珪


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第十五話 武勇伝・前編 シールドライノと魔王

 

 魔王、魔王か、魔王なぁ。姿形は……あぁ、ノゾミ、ひょっとして持ってないか、魔王の記録映像とか写真とか。あぁ……そうそう、コレ、コイツが魔王。見ての通り、シールドライノの倍以上でかい。巨体に見合ったパワーもあるが……やはり、脅威なのはこれだよな。この大アギト。普通のビーガードなら、喰いつかれたら、その時点で終了だ。まぁ、踏まれても終了だし、尻尾の一撃でも終了だけどな。……これが魔王だよ。

 

 ――ティラノサウルス・レックス型ディーガード、通称、魔王。ティラノは暴君、レックスは王って意味らしいぜ。

 

 悪い子は、夜になると魔王が来て、さらわれて食べられちゃうそうだから、3人とも良い子にしてるんだぞ? え? 嘘だ? さーぁ? どうかなぁ? はは、そうそう、ワンコの言う通り、良い子にしてれば大丈夫なんだから、怯える必要はないさ。

 魔王がどんな奴か、かぁ……まぁ、傲慢で唯我独尊な、本当に、独善的な奴だったよ。

 「俺は生まれついての王だ。俺が支配し君臨するのが当然だ。いや、当然ですら無いな、前提だ」ってな感じだな。『強者が世界を支配する』みたいな覇王とか『君臨こそが俺の道』みたいな戦乱覇者じゃねーのよ。最初から『王』なのさ……あるいは、そういう風に作られてるのかもしれねーけど。

 性格に見合う強さがあるのがまた厄介でなぁ。最初に戦った時は……スピノサウルスを下して、アロサウルスの襲撃を退けた直後だったか。ただの力押しだけでコテンパンにされてなー。アウレリオンとノクスファルクの合体技喰らって、平然と「つまらん。そんなものか、小さき者どもよ」だぜ? 戦略も戦術も無い、ただの力押しでケチョンケチョンだもんよ。

 

 「邪魔だ」でズドーン! 「くだらん」でバシーン! 「思い上がるな」でドギャァ! 「潰す」でメメタァッ!

 

 いやぁ魔王は強敵でしたね。って今だから言えるわマジで。本気で死ぬかと思ったもんよ。シールドライノやアウレリオンの切羽詰まった声なんて、その時初めて聞いたからな。

 生き残れた理由? シールドライノの背中にあった折り畳みポールウェポン、どうせ使いこなせないからーって4連装多目的ランチャーに変えてたのが功を奏したんよ。ありったけの煙幕ばら撒いて、ローレライの歌でレーダー狂わせて、スタコラサッサだぜ。

 

 で、ダメだこりゃ、このままじゃ勝てない、勝つ方法は? ってんで、マッドな博士とかに聞いたり、伝説や伝承に倒す方法無いか調べたりしてなー。

魔王を倒せる伝説の武器を追え! えぇ!? ティタノボアが呑み込んでる!? とかさー。

 旅をして、絆とか機体とか操縦技術とか鍛えて、魔王軍幹部を倒して……旅路の果てに、魔王討伐隊編成! ってなったわけよ。旅の間は色んな人間の手を借りたなぁ。『狂戦士バング』もその一人だよ。

 

 伝説の武器が何かって? ノゾミ、映像か写真かなんか……おぉ、これこれ。これが伝説の武器というか、強化武装を身に着けた姿だよ。『グレートアウレリオン』と『ノクスファルクエックス』な。おう、そーだろ、かっこいいよなぁ、いわゆる番組後半パワーアップ機体……と言ってもお前らには通じんか。ニクスシルヴァとローレライも強化されて、追加武装はついたんだぜ。シールドライノ? そのままだよ。装甲強化やジェネレーター出力上昇くらいはしたけどさ、マッドな博士のおかげで。

 で、戦略たてて、戦術見直して、今度こそって挑んだらさぁ……「……なるほどな」だよ。

 「正面から俺を倒せぬなら、俺の動きを制限する。速度を奪い、選択肢を削り、最後に逃げ場を塞ぐ。なるほど。貴様ら小さき者どもにしては、よく考えた。褒めてやる」と来たもんだ。

 ズルいだろ? 力押しの馬鹿かと思ったら、急に饒舌になりやがって。『策を巡らせなかったのは、策を巡らせる必要が無かったから』だったんだよなぁ。呂布かと思ったら曹操でした、ってな。おっと、今のは通じたか? 通じたんか。こっちの世界にも居たんだな、呂布とか曹操みたいなんが。

 

 でな、わりと全力を注いだ作戦だったから、今さら『撤退して出直す』なんて無理だし、まさしく死に物狂いの闘争だよ。

 「見事だ。だからこそ惜しい。それほどの知恵を持ちながら、最後に俺を倒す方法だけが足りぬ」とか。じゃかぁしいわ! これでもくらえ! ってな。

 ……効くかも? とは思っていたが、思った以上に効果があったんだよ。シールドライノの『腹部アンカー&ウィンチ』が。

 重量級大型ビーガードだからなぁ、シールドライノは。高い所に登ったり、低い所の物を引き上げたりする為だけの装備でも、ライノのパワーと重さなら、十分に武器としての流用も可能なんだよ。こいつを魔王の足に巻き付けて絡めて、全力で巻き上げつつフルパワーで移動して、魔王のヤローをこかしてやったぜ。

 現実のティラノサウルスも、トップヘビーでバランスを取るのが大変だったとか、足元が弱点だったとかの予想があったらしいからな。あとはあれだ、魔王は見た目より重量は軽いはずってのも予想はされてたんだよ。材料工学的には、そうじゃなきゃおかしいらしい。詳しくはわからんが。で、転ばせてやって……思いっっっきり煽ってやったぜ!

 

 「ねぇねぇ今どんな気持ち? 最後に俺を倒す方法だけが足りぬ、とか言った直後に転ばされて、今どんな気持ち?」とか。

 「そうか! 魔王様は強大すぎて、小さき者どもが目に入らないから、足元がお留守なんだね! ……プークスクス」とか。

 ライノも珍しくノってくれたなぁ「やめてやれヨウスケ。真実だけに残酷だ。……フッ」とかな。まぁ、作戦だと理解してくれたからだろうけど。

 

 ん? 作戦だよ、当然じゃん。本音というか、悔し紛れも入ってたのは否定せんが。けど、『士気の立て直し』には有効だったはずだぜ。魔王の意識も明らかにシールドライノに向いたしな。

 覚えておきなチビ共。物理的に崩れない相手なら、精神的に崩すという方法もあるんだ。向いてるのはココかな? 後でメスガキムーブ教えちゃるよ。

 

 で、必死にティラノの足元をうろちょろしながら時間を稼いでなー。仕方ないやん、魔王の攻撃を耐えられるシールドを発生させられるのは、シールドライノくらいだし。万が一被弾しても、機体そのものの頑丈さもシールドライノが頭一つ上だし。

 

 ん? あーワンコも勘違いしてたんか。実は囮に向いてるのは、軽快で機敏に動ける機体じゃないんだよ、鈍重でも堅牢で頑丈な機体なんだ。釣り出しならともかくな。……なんでかわかるか? ……もし被弾した時に、か。勿論それもある。けど、相手への心理効果も重要なんだ。

 ハエよりもカナブンの方が捕まえやすいだろ? 軽量級がうろちょろしてウザい。だと、最悪無視される可能性がある。けど重量級なら、何度か攻撃当てれば倒せる。って欲が出る。まぁ、だから冷静さを取り戻させないように、『口撃』も重要だったりするけどな。

 それになー……回避盾は、本人の技術とセンスが絶対に必要だけど、防御盾なら、凡人でも『最悪、装備で固めれば何とかなる』んだ。これはデカいぜ?

 で、だ、お前らには防御盾は居ないわけでな……だからこそワンコ、お前は絶対に「熱くなりすぎる」な。回りが見えなくなった瞬間、誰かが死ぬ。それくらいの覚悟を持て。相手を見るのは出来てるようだし、技術もセンスもあるみたいだけど、だからこそ、自分を見る癖も付けろ。倒せる時でも、嫌がらせを優先しろ。倒すのは仲間に任せて、自分は相手を封じ込めるのに専念しろ。……うん、良い返事だ。なぁに、一緒に居る間くらいは俺が防御盾やっちゃるよ。その間に成長すりゃいいさ。

 ん? 何だマミ。どうした? お前への助言? あー……お前はそのままで良い。ただ、俺が言った事覚えてろ。自分が出来るようにならなくていい。けど、仲間がどう考えて、どう動くのか、ってのは理解しておけ。

 で、最後に全員。俺のいう事を信じすぎるな。おぉ見事なズッコケ。…ははっ。いやまぁ、理由はあるぜ。もしハエのように機敏なカナブンや、カナブン並に硬いハエが居たら? ってね。ライノの言葉を借りるなら「戦場に絶対はない」だな。

 

 っと、貸してみなマミ、開けちゃるよ。……取らないから安心しな。ほれ、開いた。

 ところで何それ。ポテトチップス、ゲロトラックス味? 美味しいの? あぁ、そう……。



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