↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
獣衛機伝ビーガード ~キッズアニメ世界に巻き込まれ転移した俺が、魔王ごと封印のち目覚めたら、続編か劇場版の疑いについて~  作者: 伊藤 珪


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
18/35

第十四話 命の洗濯と日常の価値と

 

 ノゾミが言うにはな、マリンちゃんが護衛と令嬢と共にやってきて、歌って、護衛と令嬢と共に去る。そこに、英雄ヨウスケの姿は無い。十分に目くらましにはなりません? ってな。

 シールドライノさんは目立つ機体ですし、聖堂関係者には口止め済なら、英雄復活は誤報じゃないのか? そう思わせるくらいにはなりますわよ? 

 そう考えたら、歌うだけ歌って午後にはこの街を発つ。ありだと思いませんこと? それに『マリンちゃんだけ』なら、知っても今ならアロサウルスは見逃す可能性が高いですわ。だってどう考えても、魔王の残骸の方が優先順位高いですもの。……あぁ、本当ですわね、狡猾すぎて読みやすいというのは。おほほ。

 

 ……だってよ。ちなみに音源は、ノゾミのノートPCがあるそうだ。いつ使えなくなるかわからないから、大事に使ってますわ。と言っていた。


 バルバット? 「言動を思い返すと、アロサウルスとは敵対してる可能性がありますわ、少なくとも、嫌ってはいそうですわね。接触のタイミングと方法を考えても、私達を狙うというより……警戒を促しに来た。という方が腑に落ちません? コウモリを名乗ったのも、敵でもあるが味方にもなる、というアピールではないでしょうか。……ただし、それら全てが演技だという警戒は当然しておくべきですが」だそうで。

 他にも「コウモリ型の恐竜? リョウほど詳しくはないですが、「世界一短い名前の恐竜、イー」がコウモリに酷似してたとか? 姿形だけですが」とか、「私はむしろ、ビーガードとディーガードの中間で、彼だけが唯一の「シーガード」。とかの方が面白そうに感じますわね、設定的には」とか言ってたな。「バルバットの狙い? さぁ、そこまでは……そういうのを読むのは、むしろあなたの方が得意そうですけどね」とも言われた。なんでやねん。

 

「歌うだけ歌ってトンズラ作戦。ねぇ……アロサウルスの野郎に限定したとしても……痛い目にあってるんだから、狡猾な思考を半歩ずらしてくるくらいはしそうだがなぁ……ふむ」

 

 少し考えてみる。……そして結論は、狙わないな、だった。何故って、現時点では、ピザン達に守られてるローレライを落とすのは至難すぎる。

 何せ『浮いている』からなぁ、ローレライは。空中に逃げられたら、追うのが難しい。プテラノドン型ディーガード? 2、3機じゃ相手にならねーよ、仮にも魔王討伐英雄機だぜローレライは。それに飛行型は、強いけど脆いし。ラウド隊だって、近距離が強いとはいえ、遠距離攻撃武器が無いわけないだろうしな。……それでも、10機くらい数を揃えれば何とかなるかもだが。けどそれだけの数の飛行型ディーガードは、移動するだけで目立つ。まぁ、それ以前に、それだけの数が揃えられるかも疑問だが。

 ……ありうるとしたら人質を取る戦略だろうけど、何を人質にするのが有効か、アロサウルスからはわからんだろう。……実際は、そこらの誰かでも、マリンには十分な人質にはなるが、人はどうしても基準を自分で考える。アロサウルスからしてみりゃ、そこらの誰かが人質になるとは思うまい。

 それに……もしそこを見抜いて人質作戦をされても……ピザン、あいつは、『苦渋の決断』が出来るタイプだよな、どう見ても。『マリンの安全』は揺らぐまいよ。

 あとは警戒するなら、狙撃か。とてつもない破壊力を持った、遠距離戦が得意なディーガードも居たには居たが……やはり、難しいだろうなぁ。あいつも、目立つし。

 

 今は屈辱に耐えて、まずは魔王機の残骸を狙う。か……確かにそれが一番ありそうだ。

 魔王か……あのクソ強い魔王の残骸を利用して、アロサウルスのクソ野郎がパワーアップ……最悪で最低のシナリオだな、それは……。

 

「えい」

「おぅわっ!?」

 

 マリンっ、おまっ、背中に氷をっ!? 何をっ……あー……そっか。怖い顔でもしてたんかね、俺。

 

「ふふ。大丈夫ですよ、ヨウスケさん。この世界の人たちだって、そんなに弱くないです」

「ひぃ……ひぃ……ったく。……ま、そうだな。魔王はともかく、幹部くらいなら何とかする、か」

 

 実際、バングのおっさん達はアロサウルスを撃破寸前まで大破させたし、武人気取りの虚飾ヤロー……図体だけは魔王よりデカかった、ギガノトザウルスは、俺たちが強欲ウワバミ野郎のティタノボアを討伐してる間に、この世界の連中だけで討伐された。

 ……ギガノトサウルス戦は、多くの兵と四人の二つ名持ちが落とされた、激しい戦いではあったそうだ。が、勝ちは勝ちだ。

 『猪武者バルザン侯爵』『神速の貴公子ロザリオ』は引退に追い込まれ、『傭兵王バギン』『鬼子母神エイラ』が戦死したそうだが……というか、マリンが氷を持って構えてるので、この思考もやめにしよう。

 ……というか、その氷、どこから出した? 机上のアイスペールに手を伸ばした様子は無かったぞ? 「……まさか、魔法、か?」と声が漏れた。

 

「ふふっ、そうです。驚きました? 練習したんですよー、なんせ四年も放置されてましたので!」

「うぐっ……悪かったと思ってるよ……いやでも、驚いた。俺らにも使えたんだな、魔法」

「たぶんヨウスケさんも使えますよ、シールドライノさんと縁を繋いでるから、地属性が使いやすいのでは?」

「ふぅむ。いやでも、スペル覚えるのめんどくさいなぁ。滲み出す混濁の紋章、不遜なる狂気の器……とかさぁ。闇より出でて闇より黒く、くらい短いなら覚えられるけど」

「なんでジャンプ限定なんですか。私も頑張って覚えようとして……実はいらないことに気が付きました」

「いらない?」

「異世界言語スキルです。……世界に対して、魔法を行使したいという要求とか、行使するという宣言のつもりで発言すれば……」

「あぁ、なるほど、火の礫を作って発射する、という言葉が、そのままファイアボルトの呪文になる、と……」

「です。なので、意識の切り替えというか、頭の中に魔法の回路を作るというか、そんな訓練の方が重要ですね」

「……ノゾミとか、興味津々で研究してそう」

「してますわよ?」

 

 お。電話終わったか。というか、やっぱしてたんか、魔法の研究も。……おかしいな。俺、コイツと出会ってから、まだそんなに時間経ってないのに、なんかやたら高い解像度で、コイツの事理解できてる感じがするぞ。いやまぁ、その理由はなんとなくわかるんだよなぁ。

 

「ノイマン型コンピューターの話はしましたわよね? 魔法使いは、それだと予想してます。脳内に別個の記憶領域を作って、用途に合わせて別のプログラムに入れ替え、データを参照して、CPUからの命令で……まぁつまり、入力・出力・記憶・演算・制御を脳内で分割して行って、呪文を介して世界に干渉し、体外で魔力を現象に変換させるわけですわね。これを単独の目的に限定して、魔力を注ぐだけで火をつけたり、明かりにしたりするのが、魔道具です。……たぶん」

 

 これだよ、これ。なんというか、思考というか、嗜好がオンナノコしてねーんだよ、コイツ。新幹線とか戦闘機とか、戦艦とか語らせたら止まらねーんじゃないかな。ホントに止まらなかったら面倒臭いから試したりはしねーけど。

 

「アイスたべる~」

「ほらほら、マミ、アイスはいいけど、ちゃんと体を拭いてからだよ!」

「ちゃんと拭いた!」

「こら! ワンコ! 下着だけで行くんじゃないよ! ヨウスケも居るんだからね!」

「……これ使ってもいいのかしら」

「ココ、アンタにお化粧はまだ早いよ! 素材で勝負しな!」

 

 おっと。脱衣所が騒がしくなってきたな。チビ共風呂上がったのか。つうかグラナ、マジオカン。

 ……ノゾミ、こいつの真の恐ろしさって、実は「人運の良さ」にあるんじゃねーだろうか。それとも「人を見る目」が良いのか? あるいは両方か。

 ともあれ、チビ共来るなら、難しい話はここまでだな。……いや別に、そう決めていたわけじゃないが、なんとなく、な。

 

 

 

「カァーッ! 効くねぇ~!」

「ぺろぺろもぐもぐ」

「……けぷー」

「ワンコ、人前でゲップは、はしたないですわ」

「くぅん……ごめんなさい」

「ふん、ふふん♪ 狐の尻尾はつやつやふさふさ~♪」

 

 女の子率高けーなおい。まぁ、チビ共とオカンとノゾミだから、居心地悪いわけじゃねーけども。

 護衛の連中? リビング的な部屋の前室の護衛部屋みたいな所から、一歩も入って来ねーよ。いや襲撃でもあれば来るんだろうけど。

 「野営に比べれば天国ですよ、豪華な夕食も出るし、シャワーもあるし」とディックは言っていたが。後で飲み物でも差し入れるか。酒はまずいよな?

 

「ヨースケ、聞いてもいい?」

「お? 何だワンコ、サッカーの技か?」

「それも興味あるけど、魔王の事聞きたい。魔王との戦いってどんなのだったの?」

「あぁ、それは私も興味ありますわ。私はリョウから聞いてますけど、また別の視点の話も聞きたいです」

「私も興味あるわ! だってヨウスケ、ぜんぜん英雄に見えないもの! 本当に魔王と戦ったの?」

「魔王と戦ったのはマジだよ。ただまぁ、英雄なんて本当に結果論だ」

「もぐもぐ……もぐ?」

「マミも興味津々な目で見るじゃんよ……そんな、面白い話でもないぞ?」

「聞きたい。……だめ?」

「あー……なんかスナック菓子でも持ってきますね?」

 

 そう言ってマリンが席を立つ。

 マリンの奴、ヨウスケさんが子供にせがまれたら、断れないでしょうねぇ。とか思ってやがるな?

 

 その通りだよこんちくしょう。

 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。