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獣衛機伝ビーガード ~キッズアニメ世界に巻き込まれ転移した俺が、魔王ごと封印のち目覚めたら、続編か劇場版の疑いについて~  作者: 伊藤 珪


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第十話 技術開発大好き希望ちゃん(ノゾミ視点)(前編)

 

 かりかりと、『工藤希望のひみつノート』に、思い浮かぶ事をつらつらと、日本語で記している。

 

 ・遊間ヨウスケ。スケベと聞いたのに、あまり絡んでこない。私に魅力が無いとでもいうのか。これでも、学校ではそれなりにモテていたのだぞ。……通っていたのは女子校だったが。

 ・仮説。未討伐の魔王軍幹部が居るので、魔王戦役が終わって居ない扱いなのでは? 未討伐の魔王軍幹部を倒したら、地球へ戻れる?

 ・討伐確定魔王軍幹部。スピノザウルス。ティタノボア、ギガノトサウルス。残骸回収済、確定で討伐されている。

 ・未討伐確定魔王軍幹部。竜脚類、詳細不明。前足の方が長いようだ、ブラキオサウルスと仮称する。帝国領に居るために調査が難しい。

 ・討伐不明幹部。アロサウルス。いまだ残骸が見つかってない。慟哭の山を越えて、帝国領に逃げ込んでいる? 可能性は低くないと思う。

 ・仮説。定番、魔王軍は七つの大罪に対応している可能性。スピノザウルスがやたら嫉妬深かった、ブラキオサウルスが自衛以外で戦闘をしない(怠惰?)という話もある。……けど、嫉妬の悪魔と言えばリヴァイアサンだが、スピノサウルス? あんた実は色欲担当? 大蛇なティタノボアはやたら貪欲だったという報告もある、嫉妬担当ではなく暴食担当? 強さの順番もおかしい、何より、七罪なら一体足りない。要調査。待って……七罪? キリスト教の無い世界なのに? この世界の宗教も要調査。

 ・マリンちゃんの証言。遊間ヨウスケは成人女性には積極的に行くらしい。年上好きなのだろうか。グラナが危険?


 まぁ、こんな感じの事を書き留めて、後で整理したりしなかったり。

 ……普通に書くと、この世界の言葉になるのよね、でも「日本語で書く」と思うと日本語で書けるの。リョウから聞いていた通り。なるほどこれが異世界言語理解系スキルか! と、最初のうちは色々試したりしたわ。

 南無阿弥陀仏とかアーメンとか、杞憂とか四面楚歌、通じたり通じなかったりしたのよねー。どうやら、類似した概念とか、故事成語や慣用句があると、それに置き換えてるらしいわ。なかなかの高性能よね。

 ……もうこのスキルだけで、世界をデザインした存在がいる事は疑いようもないわ。火薬の例を持ち出すまでも無く、ね。

 まぁ、とにかく、日本語である。秘密を書くなら、どんな暗号よりも有効だと思う。……けど、完全絶対に安全でも無い、とも思っている。

 軽く調べたら、『過去の伝説の勇者』も日本人の少年少女だったりしていて、しかも、帰らなかった、あるいは帰れなかった子も居るらしいのよね。だから、日本語が伝わっていたとしても、決して不思議ではないんじゃないかしら。まぁ、低確率だとは思うけど。

 

 想像の中のヨウスケさんが、「なんで俺はあの時、ちちしりふとももなんて書いたんじゃー!」と頭を抱えた。少し笑えた。

 

 ちらりと見上げる、ビーガードとか、獣衛機とかと呼ばれる人型巨大ロボ……ローレライとシールドライノ。中ではヨウスケさんとマリンちゃんが、秘密のお話の真っ最中だ。巨大ロボとは言っても、実際の背丈は4メートル前後。大型重量級と呼ばれるシールドライノでも、背丈はミドルクラスのミニバンの全長よりは小さいのだけど。軽量級の猫型ビーガード、リンクスなんかは小型車よりも小さいし。これくらいのサイズの人型ロボってなんて呼ぶのかしらね?

 このロボも謎が多いのよねぇ。この世界でローマ的な役目をした国が『見つけた』ものを、『分解、解析、研究してコピーした後に発展』させたそうなんだけど。それとは別に、魔王が現れると、神の手によるものとしか思えない高性能機が現れる。のだそうだから、謎だ。

 謎だけど……『キッズアニメ的』と言われれば、その通りだとしか言いようがないのも確か。

 メインエネルギーは魔力。魔力で発電して、機体各所のアクチュエーター……シリンダーやモーターを動かしてる。この魔力式発電炉も、アクチュエーターも、小さくて軽いのに出力がパないのよ。ここは完全に地球のテクノロジーの方が負けてるわ。

 なので、この世界、ニコラ・テスラ的天才は現れていない。なぜなら、このビーガードがあったから。最初から『交流電力で文明を作る』のが前提になってるのよね。リョウがその辺も調べていた。「一般に使われている電力は220V50Hz、海外でよく見る規格だった。アダプターをかませば、スマホの充電ができたよ。アダプターを作ってもらう必要はあったけど」だそうで。100Vじゃないのは、単に効率的な方を採用したのかしら?

 

 あ、そうそう。私の名前は工藤希望。クドウ・ノゾミよ。花の高校一年生……になるはずだったのよ。この世界に呼ばれなければ。

 一応、女子御三家と呼ばれるくらいの名門には通ってたんだけどね。高校で姉とか妹とかが出来るの楽しみにしてたのになぁ。

 

 え? 口調が違う? あのね、現代日本の女の子が普段から、あんな口調で喋ってるわけないでしょう。

 あれは舐められないための、ハッタリよハッタリ。貴族令嬢に思わせるためにやってるの。

 

 この世界に呼ばれたのは、もう一年以上前になるかしらね。最初は、リョウ達も呼ばれた時の石造りの大広間で。学校から帰った時の制服のまま、自室のノートパソコンを拡げてた時に、気が付けば転移していて。無人の部屋に飾られていた垂れ幕や旗の紋章を見て、あ、リョウ達のスマホに写ってた世界だって気が付いて……。

 

 まぁ私も、その手のオタク趣味には少し詳しかったので、自分が異世界転移したらどうするかーとか、考えて遊んでいた経験が生きたのよね。

 まして、弟が転移して戻ってきたんですもの、そりゃ妄想も捗ったってものよ。……まさか、その妄想が役に立つ日が来るとは思いもしなかったけれど。

 だから最初から、知識と身分をフルに使ったわ。一応、センス・ライ系の魔法とかも実はあるんじゃないかとか警戒しながら。『ひいお爺様は大臣経験があった』とか『その際に時の宰相から正三位の位階をもらった』とか本当の事だけを言って貴族では? と思わせたりして……読んでて良かったカクヨム・なろう系よ。

 ……まぁ、そんな小細工よりも、『工藤リョウの実姉』という肩書が一番強烈に効いたんだけどね。部屋の物を大量に持ち込めたので、証明も楽だったし。

 

 いや本当に、英雄の姉、という立場は楽だったわ……。持ち込めた部屋の物を奪われずにすんだし。さすがに王に直接どうこうは無理だけど、王妃様に接近は出来たのよ。むしろ、女同士である事を利用して、王妃様を攻略するのが鍵だと思っていたからラッキーだったわ。

 『今、私が呼ばれた意味があるのでは?』とか『リョウの実姉ですもの。恥ずかしい真似は出来ません』とか言って、猫型B級ビーガードのリンクスと、亜空間コンテナボックスを借りる事が出来たしね。

 代価はロータリーエンジンの構造図を渡したわ。少し惜しいけど、個人で開発出来るものじゃないから、あれは。むしろ、開発は国に任せて、もし実用化したら美味しい所をもらうつもりよ。ロータリーコンプレッサーとかね、ふふ、画期的なクーラーとか作っちゃうわ!

 「なぜ上下運動を? 全て回転で賄えばよろしいのでは? つまり、こうですわ!」とプレゼンして……。知れば知るほど、よくそんな事思いついたな! ってなる、天才の発想だからねー、ロータリーエンジンって。

 ……フェリックス・ヴァンケルさん、ありがとう、活用させてもらってます。ちゃんと後で「私の発明ではないですわ」って名前出しますから!

 にしても、ビーガード関連の技術が便利で強すぎて、そこで発想が止まってる事例も多いのよねぇ……もったいない……けど、ロケット燃料とか下手に開発したらどうなるか……あるいは、火薬のように、なんらかの制約があるかもしれないけど。

 で、まぁ、第二王子様の「面白い女だ、良いな」っていう言葉で、変な貴族のちょっかいも避けられて。「まずはマリンちゃんに会いに行きますわ!」と王都を脱出して……シュミッツ社――リンクス作ってる工廠のある街に行って。

 あれ、王妃様の援護射撃よね。第二王子のあの、「おもしれー女」発言って。また会えたらお礼しないと。

 

 で、とにかくまずは基盤、足元を固めないと、って。最初にやったのは、持ち込んだビーガードの玩具のコピー品販売よ。

 ぶっちゃけ、売れたわ。だって、日本の玩具メーカーが本気で造形した代物よ? そりゃぁ、そこらの粗悪品じゃ太刀打ち出来ないわよね……お値段もそれなりだけど、お値段以上のクオリティだもの。それで、お金を作って……あ、マリンちゃんが下りて来たわ。

 

 たぶん私と同じ結論に至ってると思うんだけど、さてどうかしらね?

 ヨウスケさん、あの人、たまに「なるほど、それは!」って発想してくるから、面白いのよね~。

 


感想待ってます。


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