【閑話】第8話 イレギュラーモンスター
是非、ブックマークか評価を。
私にガソリンをください!!
やばい、ストックが心もとなくなってきた。
けど、とりあえず時間外にアップロード。
本編は予定通り18時更新です。
そろそろハートという名の栄養補給をよろしくお願いしますw
* * *
龍脈――
それは大陸の地下深く、岩盤の層を貫き、地殻の奥底で脈動する巨大な魔素の奔流である。
その流れは一本の川ではなく、無数の支流が絡み合い、時に合流し、時に分岐しながら、大陸全土を網の目のように覆っている。
地表に現れるダンジョンも、地中に眠る魔石鉱脈も、魔物が自然発生する巣穴も、すべては龍脈の“節”と呼ばれる魔素の噴出点から生まれる。
龍脈は大地の血管であり、魔素はその血液。
魔素が滞れば大地は枯れ、魔素が暴れれば災害が起きる。
龍脈は、世界の生命活動そのものを支える基盤だった。
かつて、龍脈は大陸内部だけで閉じた循環を保っていた。
魔素は大地を巡り、魔物を生み、魔石を育て、魔物が死ねば魔素へと還り、再び龍脈へ戻る。
この循環は、数千年もの間、揺らぐことなく続いていた。
だが――
帝国が転移門を通じて魔素を“地球”へ流し始めたことで、その完結した循環は初めて破られた。
転移門は、龍脈から魔素を吸い上げ、地球へと流し込む“穴”となった。
最初は、ほんのわずかな魔素が漏れ出る程度だった。
だが、その微弱な流れこそが、世界の魔素循環を静かに、しかし確実に変質させる第一歩となった。
魔素は流れを求める。
流れが生まれれば、そこへ集まる。
転移門は、龍脈にとって“新たな出口”となった。
* * *
転移門は、魔素を求めて龍脈へと同調を深めていった。
まるで生き物のように、門は龍脈の流れを探り、絡みつき、結びついていく。
ダンジョンは、そして魔石鉱脈は、魔素の噴出点から成長した龍脈の“果実”であり、全ての果実は龍脈と繋がっている。
転移門は、その果実の一つに触れた。
そして、時間をかけてゆっくりと、しかし確実に繋がりを強めていった。
最初に起きた異変は、近隣のダンジョンの魔素が微かに揺らいだことだった。
次に、遠方の魔石鉱脈の魔素がわずかに減少し、採掘量が不自然に落ち始めた。
やがて、龍脈全体が転移門へと“魔素を流す”ようになり、門は世界の魔素循環の一部として組み込まれていった。
研究者たちは気づかなかった。
門が、世界の根に触れ、魔素の流れそのものを変えつつあることに。
龍脈は本来、外部と繋がることを想定していない。
だが、転移門は龍脈にとって“異物”でありながら、魔素の噴出点という意味では“龍脈の果実の性質と同調する存在”だった。
そのため、龍脈は門を拒絶するのではなく、むしろ“新たな果実”として受け入れてしまったのだ。
* * *
魔物が倒されると、肉体に宿っていた魔素は霧散し、やがて龍脈へと吸い込まれていく。
それは自然の摂理であり、世界の循環の一部だった。
だが、魔素の中には“極まれに”魔物の記憶の欠片――
怒り、恐怖、執念、戦いの本能、あるいは死の瞬間に刻まれた強烈な感情――
そういった“残滓”が混じることがある。
残滓は本来、龍脈の中で薄まり、長い時間をかけて消えていくはずだった。
それは世界が魔物の死を受け入れ、浄化するための仕組みだった。
だが、転移門が龍脈と繋がったことで、その残滓は“別の出口”を得てしまった。
門は龍脈から魔素を吸い上げる。
魔素の中に混じった残滓も、同時に吸い上げる。
本来なら消えるはずの“魔物の死の記憶”が、門を通じて異世界へと流れ込むようになった。
そして――
その行き先は、地球だった。
地球のダンジョンは、転移門から送られた魔素が作り出したものだ。
その魔素の流れに、“残滓”が混じり始めた。
最初は微弱だった。
地球の魔素濃度は低く、残滓も薄く広がり、形を成すことはなかった。
だが、地球のダンジョンが成長し、魔素濃度が高まり、魔物の死が積み重なっていくにつれ――
残滓は“形”を得るようになった。
それが、イレギュラーモンスター誕生の始まりだった。




