第67話 静止する世界①
是非、ブックマークか評価を。
私にガソリンをください!!
うへ、アップが漏れていました。
すみません、、、
* * *
夜。
直哉は自室で机に肘をつきながら、スマホを横に置いて深呼吸した。
「……よし、イチカ、試すぞ」
昼間から頭の中で繰り返していた妄想を、ついに現実にする時が来た。
テーマは――時間停止。
イチカの声が脳内に響く。
『わかりました。本日の実験対象は……BB弾でいきましょう』
「だね。軽いし、危なくないし、ちょうどいいよな」
机の上には透明なケースに入ったBB弾。
直哉はそれを手に取り、指先で転がしながらニヤリと笑った。
「いくぞ」
魔素を少しずつ周囲に放出していく。
部屋に広がったところで、イチカがサポートし魔素を滞留させる。
『識界の準備完了しました』
* * *
直哉はBB弾を一つ摘み、軽く上へ投げる。
ヒュッ、と小さな音を立てて宙を舞う弾丸。
「――止まれ」
その瞬間、世界が息を呑んだ。
BB弾は空中でピタリと停止し、まるで時間が凍りついたかのように動かない。
「……っ、マジで止まった……!」
直哉は立ち上がり、目の前の光景をいろんな角度から眺める。
『……成功、ですね。
BB弾を計測。まったく動いていません』
イチカの声にもわずかな驚きが混じる。
直哉は顔を近づけ、指で触れるが空間ごと停止しているかのように、まったく動かない。
「すげぇ……これ、俺がやったんだよな……」
胸の奥が熱くなる。
まるで世界の理を捻じ曲げたような感覚。
1分ほど見つめた後、解除の意識を送ると、BB弾は再び落下し、机にコトンと転がった。
『解除もスムーズですね。もう一度試しますか?』
「もちろん!」
* * *
二度目、三度目――すべて成功。
BB弾は何度投げても、直哉の意識一つで空中に固定される。
「……俺、天才じゃね?」
『否定できません。これは驚異的な結果です』
イチカの声は冷静だが、分析の熱がこもっている。
『なぜここまで安定して発動できるのか……非常に興味深いです』
「俺も気になるけど、今は楽しませてくれ!」
ケースからBB弾を一握り取り出し、まとめて宙に放る。
「――止まれ!」
十数個の弾が、空中で星座のように静止した。
「うおおおおおおおお!」
『……すべて停止。個数制限はないようですね』
直哉は部屋を歩き回り、角度を変えて観察する。
「これ、動画撮りたいけど……ダメだよな、守秘義務的にも」
『はい、さすがに自重した方がよいでしょう』
* * *
次は机の上のペン、ノート、マグカップ――ありとあらゆる雑貨を使って試す。
結果はすべて成功。
『直哉、結果をまとめましたのでご覧ください』
イチカが報告を始める。
- 視界に入ったもののみ停止可能
- 視界外は不可
- 個数制限なし
- 明確な意識不要、視界にあれば効果あり
- 魔素消費は重量依存
- 推定:1キログラムを1秒止めるのに魔素100必要
直哉はメモを取りながらうなずく。
「なるほど……個数が増えても消費量が増えないのはいいな」
『はい。
まだサンプル数が少ないため予想も含まれますが、無機物の場合は正しい可能性が高いです』
「でも、1キログラム1秒止めるのに魔素が100必要なのか。
ゴブリン1体とめる場合はどのくらい必要なんだ?」
『ゴブリンは1体あたりの平均重量が28キログラムなので、魔素が2,800必要です」
「に、にせん!
無理じゃん……」
『はい、現状のままですとモンスターを止めることは非常に難しいと言わざるをえません』
「まじか、せっかく止められたのに!!」
『解決方法を考えましょう。
効率化も可能性がありますが、まずは部分停止をやってみませんか?』
「一部だけ停止ってことか」
『はい。
例えばそのゲームのコントローラーですが、接続部分だけ止めることはできませんか?』
「この差込口のところ?
わかった、やってみる」
直哉はコントローラーを軽く投げ、「止まれ!」と念じる。
するとコントローラーは空中でぴたりと止まった。
しかし止まっている部分が接続部分だけだったため、コードとコントローラー本体はぶら下がるようにぶらんぶらんしている。
「止まった……」
『魔素の減少量を計測中です。
……接続部分の重量に比例して減少しています』
「つまり、部分停止も可能……?」
『はい、そのようです。
どこまでが部分として指定できるのかは、これからデータを積み上げましょう。
生物であれば、例えば足の指一つ止めるだけでも行動を阻害することができます。
ゴブリンであれば指1本おおよそ30グラム前後です。
仮に指だけ止めるのであれば、1秒で魔素の消費は約3です』
「おぉ、それなら10秒とかでも全然止められるな!」
『はい。
効果的に使う必要はありますが、可能であれば実用にも耐えられるはずです』
「うほ、テンション上がってきた!!」
直哉はベッドに倒れ込み、空中で止まっているBB弾を見ながら笑った。
「……次は、生き物だな」
『危険性を考慮し、慎重にお願いします』
「わかってる。でも……楽しみだ」




