断章その8 百万の目
気づいたら主人公がまったく登場しない話になってた。
ということで、敵方がメインの話しは断章とし、話数を振りなおしました。
断章はメインの話しと同時並行、という感じです。
本日も断章とメインの話しをアップしています。
動画の再生数が100万を超えたのは、アップロードから6時間後のことだった。
最初に火がついたのはダンジョン関連のまとめサイトだ。
「ダンジョン出入口で警察10人が一瞬で制圧される」という見出しがつき、そこからSNSに飛び火した。
テレビはまだ取り上げていない。
だが、ネットはとっくに燃えていた。
* * *
【速報】ダンジョン待機スペースで警察10人が瞬殺される動画、再生数100万突破
1 名無しの探索者
これ本物?
2 名無しの探索者
本物だよ。俺あそこにいたもん
3 名無しの探索者
>>2
マジ? 助かる
4 名無しの探索者
>>2
逃げなかったの?
5 名無しの探索者(>>2)
逃げようとしたけど足がガクガクで動けなかった
あの男が入ってきた瞬間から空気がおかしくて
6 名無しの探索者
>>5
猛獣園やん
7 名無しの探索者
>>5
3層の先輩が固まってたって話ほんと?
3層クラスがビビるってどういうこと
8 名無しの探索者
>>7
俺も見たけど固まってた
あれはガチのやつだと思う
9 名無しの探索者
警察が来てからの0:47が本番すぎる
スロー再生しても何をしたか全然わからない
10 名無しの探索者
>>9
コマ送りで0:47:18のとこだけ一瞬影みたいなの映ってる
オレでなきゃ見逃しちゃうね
11 名無しの探索者
>>10
見逃してるやんwww
12 名無しの探索者
俺3層探索者なんだけどあの男そんなに強くないよ
俺なら余裕で対処できる
13 名無しの探索者
>>12
でも現場で3層探索者がガクブルだったって目撃談あるけど
14 名無しの探索者
>>12
はい偽物捕まえたーw
15 名無しの探索者
>>12
名前と層数言ってみてw
16 名無しの探索者
>>12
ご冥福をお祈りします
17 名無しの探索者
CG疑惑あるけどあんなCG誰が作るんだよ
18 名無しの探索者
>>17
壁のひびが後のニュースで確認されてる
本物だよ
19 名無しの探索者
服装よ
中世ファンタジーのコスプレかと思ったら警察10人倒してた
20 名無しの探索者
>>19
コスプレで草生えてたのに笑えなくなった
21 名無しの探索者
というか日本語ペラペラじゃん
訛りもない
あの恰好で日本語ネイティブって何者
22 名無しの探索者
>>21
中国が「異世界に人間いる可能性ある」って発表してたじゃん
あれ本当だった?
23 名無しの探索者
>>22
眉唾だと思ってたけど服装・銃が効かない・日本語ネイティブ
全部説明つくんだよな
24 名無しの探索者
>>23
やめて現実になりそうで
25 名無しの探索者
最後に「神谷直哉」って名前出てくるんだけど誰
26 名無しの探索者
>>25
知らん
検索しても何も出てこない
27 名無しの探索者
>>25
あれだけの騒ぎ起こして探してる相手が完全無名なのホラーすぎる
28 名無しの探索者
「明日は駅前だ」ってやばくない
明日じゃん
29 名無しの探索者
>>28
どこの駅前だよ
30 名無しの探索者
>>29
言ってないから全部の駅前が怖い
31 名無しの探索者
よし、俺明日駅前に動画撮りにいってくる
32 名無しの探索者
>>31
どこの駅前かわかってんの
33 名無しの探索者
>>31
アイツ、いいやつだったよな……
34 名無しの探索者
>>31
チーンw
35 名無しの探索者
>>31
動画だけ残してくれ
36 名無しの探索者
>>35
お前の弔電に使う
37 名無しの探索者
>>36
草
38 名無しの探索者
顔出して堂々としてるのが一番理解できない
捕まる気ゼロじゃん
39 名無しの探索者
>>38
捕まえられる警察がいないからでは
40 名無しの探索者
神谷直哉が出てこない限り続けるって
本人が今これ見てたらどんな気持ちなんだ
41 名無しの探索者
>>40
出てったら終わりだし出ていかなくても駅前が毎日大変なことになる
42 名無しの探索者
どうすればいいんだこれ
43 名無しの探索者
>>42
政府に全部丸投げして祈るしかない
* * *
一方、別の視点からこの動画を見ている者がいた。
鷲尾隆文は、事務所のモニターで動画を止めたまま、しばらく動かなかった。
「……神谷直哉」
「先生、これは——」
小山田が隣で口を開きかけた。
「わかっている」
鷲尾は静かに言った。
自分が追いかけていた「高校生」の名前が、こんな形で世に出た。
自分が意図的に出さなかった名前が。
「先生の動画を見ていた視聴者の中に、この名前と結びつける者が出るかもしれません」
「かもしれんな」
鷲尾は腕を組んだ。
「ただし確認する手段がない。あくまで推測だ」
「発信しますか?」
「しない。
この件に乗ったら、あの子が危険になる。
私が動くべき話ではない」
小山田は黙った。
鷲尾は再びモニターを見た。
「……静観する。ただし注視してくれ」




