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現代ダンジョン奮闘記  作者: だっち
断章 異世界からの侵略

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221/269

第187話 4層ボス攻略会議

気づいたら主人公がまったく登場しない話になってた。

ということで、敵方がメインの話しは断章とし、話数を振りなおしました。

断章はメインの話しと同時並行、という感じです。

本日も断章とメインの話しをアップしています。

直哉は自室のベッドに横になって、天井を見ていた。


別に眠いわけじゃない。

ただ、考えていた。


オクタヴィアとの戦いのことを。

エンバルムとの戦いのことを。


どちらも、なんとかなった。

なんとかなった——だが、そういう言い方しかできないのが正直なところだ。


オクタヴィアの時は、何度も押し返された。

エンバルムの時は、最後の最後に篠崎と最上がいなければ終わっていた。


倒した。

でも、勝ち切った感じがしない。


(……もっと強くならないといけないな)


口に出すほどのことでもないが、今は少し切実だ。

ただ漠然と「強くなりたい」と思っていた頃とは違う。

具体的に、足りなかった。


直哉はため息をついて、起き上がった。


* * *


翌日の昼、4人はファミレスに集まっていた。


「会津、もう一回行かない?」


直哉が切り出すと、武虎が「ほう」と眉を上げた。


「会津って、あの超巨大ゴーレムか?」

「そうそう。

ほら、結局オクタヴィアにもエンバルムにも、こう、ね。

やっぱもっと魔素量上げたいなって思ってさ」


「それはそうだな。たしか前回言った時は、1週間で150ぐらい伸びたんだっけか」

「150も!?」


「ああ。沸きのスピードも早かったし、いいかもな」


スマホをいじっていた真弓が顔を上げる。

「……ちょっと待って。

会津ダンジョンの1層は虫」

「あー、だったね。

でっかいダンゴムシとかいた気がする」

「無理」

「そうだけど、通り抜けるだけで——」

「無理」

「いや、でも魔ー」

「無理」

「かなりあー」

「無理」

「」

「無理」

「いや、まだ何も言ってないし……

そんなに無理なのかよ」

「無理」


「それじゃあ、こっちはどう?

4層を本格的にやって、ボスを倒して5層への道を開ける」


「4層か、確かに、まだボスは倒してないな」

武虎が腕を組む。


直哉はしばらく考えた。

「……それも悪くないな。4層のボスってヴァンパイアだったか」


「らしいですね。詳しくは知らないけど」

「じゃあまず調べるか」


* * *


その夜、4人でビデオ通話を繋ぎながら情報を整理した。


「4層に特殊個体がいるらしいんだが」

直哉が画面を見ながら言う。


「何体?」

「1体だけ。ただ——情報がほぼない」


「ほぼ、って」

「遭遇した人の話が出回ってないんだよね。

見かけた記録が一件だけ出てきたんだけど、その先が書かれてなかった」


「倒せなかったか、書けない事情があったか、どっちなのかな」

陽平が静かに言った。


「まあ、ロクなもんじゃないのは確かだろう」

武虎が短く言う。


「遭遇したらその場で考えるしかないな」

「うーん、そうだね」


「モンスターハウスは?」

『4層の既存マップデータには、モンスターハウスに相当する固定エリアの記録はありません』

「なかった、か。ラッキー——」


「でも、ゾンビ・クロットの現象、あれがそれにあたるでしょ」

直哉は少し考えてから、「あー」と声を出した。


「百鬼夜行の。モンスターが大量に湧いて、放っておくと合体するやつ」

「固定の部屋はないけど、実質的にはあれがモンスターハウス代わり、でしょ」


「確かに。あれを無視したら洒落にならないもんな」


あの時は合同でなんとかしたが、固定エリアではない分、どこで起きるかわからない。


『前回の発生ケースでは、墓地エリアの地面の亀裂から大量出現しました。

魔素の急増が前兆として確認できています。

感知次第、即座にお伝えします』

「頼む。次はもうちょっと余裕を持って対処したいしね」


* * *


「ボスの情報はどうだ」

武虎が聞いた。


「ヴァンパイアらしい。4層の中心部にある洋館に住んでるんだと」

直哉はメモを画面に映した。


「洋館の場所は、墓地荒野の中央あたり。

マップが整備されてないから大雑把な情報しかないけど、4層の奥に向かえば辿り着けるはずだね」


「ヴァンパイアを倒すと5層への扉が開くのか?」

「そう書いてあった。

ただ、実際に倒した記録を持つ探索者がほとんどいないから、本当なのかどうか」


「弱点は?」

「銀、聖属性、光……みたいな話は出てるけど、まあ良く言われてるやつだよな」


『一般的な吸血鬼の伝承と混在している情報が多く、4層のボス個体に正確に当てはまるかは現地での確認が必要です』

「やってみないとわからない、か」

武虎がぼそりと言った。


陽平がスマホの画面を見ながら首を傾ける。

「洋館……モルデガルドさんのとこみたいな感じかな」

陽平が言うと、武虎が鼻を鳴らした。


「いや、あそこより雰囲気悪いだろ。

4層だぞ? 墓地のど真ん中にある洋館なんて、絶対ロクでもねぇ」


「まあ、ヴァンパイアだしね……」

直哉はメモをスクロールしながら続けた。


「とりあえず、弱点っぽいのをまとめると——

銀、光、聖属性、火、あと“血”絡みの攻撃に反応する可能性がある、って感じ」


「火は効くのか?」

直哉が身を乗り出す。


「伝承だと“日光”が弱点だから、火も相性悪いって説がある。

ただ、4層のボス個体に当てはまるかは……」


『現地での確認が必要です』

イチカが淡々と補足した。


「でも、火とか光なら俺ので、ワンチャンあるか?」

直哉が拳を握る。


「いや、あれエフェクトだけじゃん」

陽平が即ツッコミを入れた。


「見た目は火だろ!」

「見た目だけで属性なし」

真弓が冷静に言う。


「ちくそう……」


「そいえば、吸血ってあるのかな?」

「……吸血?」

「ヴァンパイアだし」

「血吸われるのか?」

「うん、ヴァンパイアと言えば、だよね。

トラさんって映画とか見ないの?」

「道場がメインだったしな」

「脳筋」


「吸血されるとどうなるんだろう」

直哉がスマホを見ながら呟く。


「弱体化、行動阻害、最悪“眷属化”の可能性もあるって書いてある」


「眷属化って、操られる的なのか?」

「まあね。

でも、あくまで伝承だからね。

実際の4層ボスがそうかはわからないけど……」


「……いや、でもキモイな……血吸われるの……」

「トラさん、意外と繊細だな」

陽平が笑う。


「うるせぇ!」


みんな笑いながらも緊張を隠せない。

4層をクリアした人はごく少数だ。

篠崎さんや最上さんもまだクリアしていない。


次の戦いは、これまでとは違う。

だが、だからこそ——胸が高鳴る。

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